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人工王子  作者: 神田 明理
mission2 部活に入ろう。
7/19

version1 とりあえず帰ろう。

 バスケ部が普通ではない事を理解した俺たちは『りょうちゃん』さんの満足そうな後ろ姿を見送り数秒間黙り合った後、


「とりあえず、帰ろうか。」


「ああ。」


 ちょっと現状から逃げてみる事を選択した。


 体育館を出てしばらく続いていた沈黙状態だったが、


「お前も電車か?」


「そうだ。薫風線に乗る」


 校門の前でお互いの行き先が同じく駅であった事を確認し会話が再会された。


「俺もだ。この学校は徒歩圏の奴が多くてな、電車やバスみたいな公共の乗り物で来る奴と徒歩の奴で半々くらいに分かれるんだ。」


「そんなに徒歩の生徒がいるのか」


「ま、有名な学校じゃないからな。・・・ところで」


「なんだ?」


「部活だけど・・・」


「・・・とりあえず確認したい。日本で言う部活は全てあんな感じなのか?」


「違うな。俺が正しければ普通じゃなかったと思う。」


「安心したよ。人の声で揺れる体育館なんて初めて見た。」


本当に安心した。地震大国日本がこんな事でいいのだろうか?


「俺も。うちの学校のバスケ部は有名人が多い。といっても芸能人とかじゃないぜ。そうだな?例えば水谷っていたろ?クラスに。分かる?」


記憶を辿ると始終笑顔を絶やす事が無かった男子生徒の顔が思い浮かんだ。


「廊下側から2列目の前から4番目の奴か?」


「よく覚えてるな、そうだ。あいつはお調子者で底抜けに明るいから毎年のクラス替えであいつのいるクラスが『あたり』って言われるんだ。あいつと一緒のクラスになれた年は『あたり年』とみんないう。同じ中学から来た奴が広めてすっかり定着した。」


「なるほど。おれは『あたり』を引いたわけだ。」


「いや、それはどうかな?あいつが『あたり』といわれるのは単に面白いからじゃない。『あたり』のクラスは他のクラスより楽しい一年が送れる。いわば強運の持ち主だ。もしかしたらその一つはお前がうちに入った事かもしれないぜ。クラスメイトにとっちゃフランス帰りのイケメン君は楽しい一年を送るのに持って来いだ」


「俺が『あたり』を引いた。ではなく俺が『あたり』に引き寄せられたと?面白い。」


「だろ?その水谷もバスケ部。要するに個性的な奴らが揃ってるって事だな」


「なるほどね。じゃあバスケ部も『あたり』なのか?」


「かもな、確かに学内の影響力は強いかもな。なぜか生徒会やらなんやらの役員もいるらしいし、人気もあるから。」


「兼業できるのか?」


多忙なイメージのある委員会と運動部。兼業など聞いたことが無いが・・


「ああ。部長とかじゃなければな。そういう俺も去年書記だったから今年は会計あたりにお呼びがかかるかね?」


「そうなのか。意外だ。」


てっきりなにもしていないのかと思った。


「休んでる間に決まっててさ、応募者一人で即決定。驚いたぜ。」


なるほど。押し付けられたわけだ。


「・・・災難だったな」


「ネタだよ。」


「頑張れよ。」


「そんなことを言ってくれるのはお前だけだー」


「頑張れよ。」


「おい!そんな哀れみの眼差しで見つめて来るな!」


「頑張れよ。」


「もう分かったよ!」


青年達の下校路は続く。





 こんにちは!神田です。


 謎の水谷君(笑)そのうち出ますかね?


 今後ともよろしくお願いします。

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