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人工王子  作者: 神田 明理
過去〜現在へ
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昔話 其の一

俺が生まれたとき。姉はすでに8才だった。


父と母は熱愛で学生結婚、お互い18で姉を生んだ。大学受験の大事な年で二人の両親も馬鹿じゃない・・というか、かたや大手不動産会社社長一家、かたや大病院の創業者一族の直系の後継者一家。というおそらくはかなりレベルが高かった人たちなので、そんな状況に素直に『おめでとう』とは言ってこない。すざまじい反対っぷりだったという。それには俺も賛成だ。


しかし当の本人たちはなに、結婚なんてとうの昔に了承してもらったじゃないかという開きなおりっぷり。


問いただせば15年前の事だという。両者共に5才。子供の戯れと思ったに違いない。


結局両家の親は根負けして『好きにしろ、出ていけ。』などといったらしい、それこそが運の尽き。2人は言葉通り好きにした。


すぐに籍を入れ、姉も生むことにした。家から出て2人での生活を始めた。ここで浮上するのは金銭面と当人たちの学習面だ。


2人の苦労生活が始まった__などと言うことは決してない。


なぜか?当時父はレートをやっていた。そしてその成功者だった。普通のサラリーマンなんかより断然稼いでいたわけである。父は学校に毎日行っていたし、母はしばらく学校を休学して主婦のような事をやっていたものの、出産後は子供を個人のシッターに任せて復学した。


そうして生まれたのが姉、ひな子だった。


彼女はほぼシッターに育てられた。


しかし愛情が薄かったとかそういうことはなかったらしい。


姉曰く母や父は学校から帰宅すると「ひなちゃん、ひなちゃん」と相当うるさかったらしいし、姉のあの性格は愛されてこそ頭角を現したのだろう。


ただ、愛に飢えているわけでは無かった姉にも暇はあった。姉は賢く、塾に行く必要もなく、両親は働き盛りでそれはそれは暇だったらしい。


それに、自分たちの不在をかなり心配していたらしい両親は娘に使い道のないほどお金を渡していた。しばらくは使い道がなかったひな子だがそのうち自分の趣味を見つけた。




そう。『自分磨き』だ。




姉は幼稚園に通い始めて自分が抜きん出て可愛いことを知った。


可愛いことを悟った姉はどうせなら日本一になってやろうと幼いながらに考えたらしい。


いや、恐ろしい。


そのうち姉は年長にして自分の服は自分で選んで買うというものすごく怖い子供に成長した。


はたから見ればマセた生意気なガキ。だっただろうがそれは違うと思う。姉は本当に心の成長が早かったのだ。


七歳になる年、近くの公立小学校の評判が芳しくなかったので学区外の公立小学校へ入学した姉は清楚でほんわかしたキャラを見事に演じていたらしい。(自宅にいる姉からは想像もつかない・・・)


そんなとき姉は二度目の出会いをした。相手は少女マンガだ。同級生の話についていくため流行っている一年生向けのアニメ、マンガは『チェック』していたらしいが、姉がはまったのはバリバリ青春ものだったという。


少女マンガにどっぷりつかった姉が八歳になった頃、転機が訪れた。


そう。俺が生まれたのだ。


そのころの姉はどこかに少女マンガの主役にいるような男を現実世界に探していたが男をみていて絶望のあまり涙を流したらしい。


だから自分の母が再び妊娠したことを知り宣言したらしいのだ。


「ママ、パパ。次産まれる子は男の子よ。誰がなんと言おうと男の子だから。ううん、私がママに男の子を生ませてみせる。」


当時8歳の姉の宣言には続きがあった。


「それから産まれた子は私が育てる。私が日本一の王子様に育てるわっ!」


そして両親は…


「いいよ。」


「任せるわよ。」


と二つ返事だったという。


それからというもの姉は古今東西の胎児を男の子にする方法、教育法を学び、教育本を山ほど購入し、セミナーに出席し、今までどおり漫画もたくさんよんだ。


そして産まれたのは当然男の俺だった。


生まれて家族に対面した瞬間、姉は俺にこう言ったという。


「いい?よーく聞きなさい。弟。あなたは王子様よ。」


その数日後俺には名前が与えられた。


天。


俺の名前は和泉 天になった。


保護者の名前は和泉 ひな子。


最強で家庭内で最も権力のある恐ろしすぎる姉だった。


こんにちは!神田です。


昔話は少し続きます。


台詞が少なく退屈かもですがお付き合いください。


注釈・天はそのまま てん と読みます。



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