予兆
四葉はこの頃、妙な胸騒ぎを感じていた…。
その胸騒ぎの正体が解ったのは、感じ始めてから1週間経ったある瞬間だった…。
「…到頭、見つけたわ。
ホント、マジで一生懸命探したんだから。
絶対、許さないから…
待っててね…四葉 虔太君。」
第2話:予兆
「…太?おい、どうした虔太?大丈夫かー!」
「っ!!…ゴ、ゴメン永瀬。」
「ホントお前、この頃変だぜ。何か、あったか?」
「いや、別に何も…」
「それに昨日は、いきなり早退しちまうし…」
「昨日は…たまたま気分が悪くなっただけさ。」
「そうか?まぁ…それならいっか。」
永瀬は、いつも俺を気に掛けてくれて、俺は心から感謝してる。
しかし、そんな優しい彼だからこそ、相談為辛い。
このまま…いつまでもアレの所為で俺は…
「お早う。んじゃ、早速皆に新しくこのクラスの一員となる転入生を紹介しよう。…湯川さん、入ってきなさい。」
俺の胸騒ぎは転入生がやって来る今日ですら、収まっていない。
(くっ…一体何なんだ、この嫌な胸騒ぎは…)
(ガラガラ)
教壇の横にある前ドアから、小柄な女子がゆっくりと入ってきた。少女の姿を見て、永瀬は立ち上がって馬鹿丸出しで大喜びしていた。
「スゲェ可愛いじゃん!ほら、虔太も見てみな。」
俺は、永瀬に促されてゆっくりと顔を上げて教壇の所を見た。その女子を見た時だった…俺の身体と意識は数秒間だけフリーズした…。
「…い!…おいっ!聴こえるか虔太?!」
「っ!………お、俺…どうしたんだ?」
「お前、正気に戻ったかぁ…はぁ…良かった!また、お前がおかしくなってたんだよ。」
「それで…授業は?」
そう俺が尋ねると、永瀬は長い溜め息を吐いた。
「お前、まだ正気に戻ってないみたいだな。…今日は短縮授業だって先週和田が言ってただろ?」
(短縮授業…成程。だからもう授業が終わって、教室にはほとんど人が居ないんだ。)
俺は、あと一つ永瀬に聴きたい事があった。
「俺が意識を飛ばしている間、何かあったか?」
すると、永瀬はまた長い溜め息を吐いた。
「お前な…意識を無くしてる間、何にも知らなかったのか?」
「あぁ…どうやら。」
「あぁ、“四葉君”ってホント酷いヒトね。」
「っ?!だ、誰だ?!」
俺と永瀬は、同時に声のする方に顔を向けた。
「あ…アンタは…」
「湯川さんっ!」
永瀬は、机の上に座ってこちらを見ていたあの少女を見て、飛び上がった。
「エヘッ、あなたは四葉君でしょ?あたし、湯川 凛音。これから宜しくね。」
少女…湯川は、軽く自己紹介したと同時に手を出してきた。
「握手…しよっ?」
そう言った湯川の笑顔は…自然に出たモノでは無かった…。




