表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

其の陸、ブルータス、お前もか

「よいですかこまち殿、二度とあのようなことをなさってはなりません」

「何でよ、シージャックはキャプテンスパ○ウの本業よ?海賊なんだよ?ONE PEACE!」

「きゃぷてんすぱ……わん、ぴーす?」

「ONEPEACE(世界平和)」

「それが願いであれば、貴女のしでかしたことは真逆です!」

「……うぜー」

「こまち殿、『うぜえ』とは一体……?」

「『ブルータス、お前もか』ってこと (違う) 」

「ぶるうたす……?」



こないだのパチンコ命中と呉服問屋襲撃以来、いちいちいちいち紫がうっさいのなんの。

どうやら、ミッチェルがパクられてゲロったらしい。


あいつ、根性ないな。


どうも暑苦しくて仕方なかった着物をどうにかしたくて呉服屋に鼻フック決めてワンピースを作らせてやったっつうのに!

いいじゃん!

あのオヤジ、平安京にワンピースブームメント起こしてうっはうはじゃん!

あたしもしあわせ、オヤジもしあわせ、ニューアイテムを身に付けた愚民共も涼しくてしあわせ!

正にONE PEACEじゃん!


元の時代でも、TKがそんな歌作ってたじゃん!

起こそうぜ、ムーブメント!


まあ、流石はあたしってことで。


それにしても。



「これだからボンボンはなー」

「こまち殿……聞いておりますか?」



パチンコ取り上げくらってから、微妙に軟禁状態だし。

(聞いてない)



「人様をあのような危険物で狙うなど……うんたらかんたら」



まあ、よくよく考えたらあたしは怪しい奴には間違いないわけで。

(やっぱり聞いてない)



「だいたい、坂田のご子息殿と言えば……あーだこーだ」



確かに、紫はあたしによくしてくれてるとは思うけど。

(もう全く聞いてない)



「顔に墨を飛ばすなど、もってのほかでして……ぴーちくぱーちく」



そういえば。


紫って『あの』紫式部なの?

源氏物語の?

マザコンかと思えば、ロリコン疑惑も浮上しちゃってたりするあれを書いた?



「……こまち殿、聞いていらっしゃいます?」

「紫」

「……何でしょう?」



真剣に紫を見詰めたあたしに、紫が、怪訝な顔で首を傾げる。


博識、上流階級、温厚、無駄に親切。

そんな言葉が、紫には確かに似合うのかもしれないけれど。


取り敢えずは。



「……あんた意外と、アキバ系なんだね」



アキバ系がわからなかったのか、相変わらず首を傾げたままの紫に、続け様にこう言った。



「源氏物語」

「な、なななっ、な、何故それを……!?」



かーっと真っ赤になった紫に、あれまだ公表してなかったのかと確信した。


ふーん……。



「光源氏ねえ……」

「ひいいいいっ!な、内密に!内密になさってくださいませ!」



おたおたと真っ赤なままに慌てる紫は、多分、あたしがにやりと笑ったことなど。


絶対、気づいてないんだと思った。


源氏物語か。


どっかに、カーくん (そういう年代)でも登場させてみるかな!

いいじゃん、いいじゃん、そういう時代錯誤こそ、超自然現象フリンジなあたしが成すべきことじゃん!



「こまち殿!聞いてらっしゃるのですか!?」

「♪よーうっこっそー平安京ここーへー♪」

「こまち殿!あっ、どちらへ!?」



真っ赤になったアキバ系貴族を置いて、懐かしソングを口ずさみながら、あたしはご機嫌でそこを後にした。


ミッチェル脅して、今度はローラースケートだな!



「……ああ……わたくしの源氏物語が危ない……!」



ちょっと動向を把握しつつある紫だったが、あたしには敵わない。


やると決めたら真っしぐら!

現代人三宅こまち、腕が鳴るぜ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ