其の伍、リラックス平安京!
※おげひん注意。
さてさて。
本日もまたすこぶるどっこい真夏日和りな平安京。
あっちい!
あっちんだよ平安京!
お前ら何で平気の平助みたいな顔でそんな暑っ苦しい着物着ちゃってんの?
平助だから?
ああ?助けベエだからってか!?
「……くっだらん」
ま、それはそれとして。
只今あたし、呉服問屋に向かっている。
「こまち殿、お出掛けでしたら牛車をご用意しますが?」
侍女だか次女だか次長だか課長だか、とにかくその辺がそんなこと言ったけど、あんなおっそろしくのっろい車なんか乗れない。
到着する前に、脱水症状起きるっつの。
さっさか歩いて数十分。
(結果、結構遠かった)
到着した呉服問屋の暖簾をばっさとくぐり抜けたあたしは、
「ヘイユー!シージャックだ手ぇ挙げろ!」
「ひいいいい!?」
得物 (例のパチンコ)片手に、颯爽と土足で店主のオヤジんとこまで上がり込んだ。
やってみたかったんだ、我が憧れはキャプテンジャック・スパ○ウ!
ヨー・ホー!
「い、いいいのちだけはお助けを!」
「タマまでは取りゃしねえ、あたいの言う通りのもん作りな」
パチンコで命取れっかよ。
精々、タマくらいのもん……
「ぶふっ (噴出)」
っかーっ!
やだねやだね、オヤジギャグって!
何気に、ガチでヘソで茶が沸きそうなレベルなのが、実は最高に面白いんだよね!
それはそれとして。
袖口に突っ込んだ例のブツを取り出して、オヤジの目前にぱらりとかざす。
「こ、これは……!」
「おー流石は天下 (※紫情報)の呉服問屋。ワンピースって言うんだけど、これがどんだけ画期的次世代着物か、一目でわかっちゃった?」
ようやく得物を下ろしてやれば、オヤジはあたしの見事なデザイン画 (ワンピースっぽいのを描いただけの半紙)をしげしげと覗き込んで、しきりにこくこく頷いていた。
「……作りましょう」
「話が早いねオヤジ」
「う、売ってみても……?」
なかなかな商人と見た。
「半分とは言わないかな、まあ……30パはあたしに寄越しな」
30パがわからんかったらしく、「え?」みたいに首を傾げたオヤジに、鼻フック食らわせた。
体でわからせたあたしは (無理矢理)出させた茶をしばきながら、鼻歌混じりで、ワンピースの出来上がりを待つことにした。
一時間後。
「さいこーう、リラックス平安京!」
暑っ苦しい着物を脱ぎ捨て着替えたあたしは、スキップ混じりで紫宅へと帰宅したのだった。
もちろん、支払いは紫のツケです★
「あの方は一体……」
「店主、例の数学者のこまち殿とかいう方ですよ」
「紫様のとこのか!て、天才だ!」
「……しーじゃっくって、何だったんですかね」
「さあな……何てったって天才だからな……」
しばらくして。
『りらっくす平安京』と名付けられたワンピースが、この呉服問屋から、売り出されることとなる。
ワンピースだって言ったじゃねえか。