忍者はニンジャでジャ◯ーズでしょ。
流石にちょっぴり度肝を抜かれたあたし。
満足げにうんうんと頷いちゃってる黒子。
(別に今は黒子じゃない)
と、体操のお兄さんさながらに姿勢よく両手を高々と上げて登場ましました忍者。
忍者……
ニンジャ……
NINJA……
「……あんたもジャ○ーズ繋がりか!」
「じゃ○ぃず?」
知らないのも無理はない。
忍者が一世を風靡したのは瞬きよりも儚い一瞬だったし、ゲンジが解散して、気づいたら忍者も解散してたっていうね。
てか、忍者っていうだけあって、何故か体操のお兄さんみたいな役どころのメンバーがいたりしてね。
あたしも、うろ覚えだけども。
「あんたもさ、今度、紫に頼んだらいいよ。『ぜひ出演よろしこんびなーと』って」
「こんびなーと……?」
「まあ、コンビナートじゃなくて昆布でもいいけど」
「昆布は存じていますがな!」
「いますがな?」
頭に頭巾、口布までしてるけど、たぶん、イケちゃってるメンズな部類 (予想) なこの忍者。
どうも、口調がおかしげだった。
……ネジ、飛んじゃってる系?
(人のこと言えない)
「如何です?帝とわたしの歓迎の計らいは。お気に召されましたか?」
「やーばいよ。掴んでる、掴んでるよ黒子!」
飛んじゃっててもいい!
ばっちし掴まれた!
忍者はマジシャンだね! (違う)
「拙者、帝にお仕えしている忍びの丞太郎と申しますがな!」
「……丞太郎?」
体操のお兄さんでしょ?
(違う)
似合わない。
丞太郎って感じじゃない。
忍者はニンジャでジャ○ーズでしょ。
ジャ○ーズで忍者が丞太郎?
丞太郎だって?
ふざけちゃいけないな忍者!
「あんた、ファン獲得の意志があるの!?」
「ふぁん……?」
ファンもわからんか、どうなってんだ平安京!
(自分勝手)
未だ両手を高々と上げたままの忍者をびしっと指差して、隣に黒子にあたしは叫んだ。
「猫耳!猫耳用意!」
「かしこまりました」
かしこまった黒子がぱちんっと指を鳴らしたなら、早々と、侍女が猫耳を差し出した。
いや、あたしが言ったんだけども。
「……用意がいいね」
「思いつく限りをご用意させていただいております」
出来るな、黒子。
感心してる場合じゃない。
あたしには今、新たなる使命が生まれている!
「あんたはね、丞太郎で留まっていい人物じゃあない!あんたは……」
「せ、拙者は……?」
どきわくな期待を込めてあたしに視線を投げた忍者に、受け取った猫耳をびしっと装着して言い放った。
「マリーちゃんよ!」
「ま、マリーちゃん……!」
こうして。
また一人、ゲンジに次ぐ、新たなスターが誕生しようとしていた。
あ、まだ帝に会ってねえわ。