82話 暗躍する者 カナメ編
「お嬢さん初めてお会いすると思うが、私に御用があるとストーティオン伯爵から聞いた。何用だろうか?」
ストーティオン伯爵は少し前まで現国王にすり寄って居た当主が急逝して前伯爵が再度引き継いだ家だ。今の伯爵は王家と少し距離を取り見定めていると言う所だろう。周りが見える御仁が殿下の味方になってくれれば嬉しいのだが、呼ばれた此処は聖女様の秘密のお部屋の一室と聞かされ入ってきた。
「お初にお目にかかります、私聖女様の補助員をしております「アソウ」でございます。お見知りおきください。」
目の前にはまだ幼女と言った女児が、白色の襟の付いたワンピースに白いエプロン。ベールも白色で統一された奇麗な格好で立っている。
その少女のベールから見える髪は王の好きなピンクブロンド。少女の瞳も美しいピンクの宝石ルベライトのよう。美しくきらめいている瞳の少女は一歩、一歩私に近づきながら話す。
「私今聖女様のお傍で再生魔法の研究をしております。第三王子様がセルジオ殿が腕を失った事、その事に心を痛めているとお聞きしまして、その痛みを取り除ければと思いセルジオ殿に来ていただきました。」
では今ルクレチア 殿下は聖女様のお傍に居ると言う事か。こんな王都のど真ん中で保護をされていたのか。灯台下暗しだな。無事で良かった。
「取り除くとは?」
私はアソウ殿の言葉に首をかしげた、取り除くにも私の腕が戻ってくるわけでもないのに……
「まだ動物等などでしか実験はして居りません。人体では初めてなので今後どのような副作用があるかはわかりません。剣が振れるようには戻らない可能性が大きいです。日常生活には支障が無いように調整いたしますがいかがですか?」
「アソウ殿、君は何を言っているんだい?まるで腕が生えるような言い方を先ほどからされているけれど?」
「生えますよ。私再生魔法の使い手と言いましたでしょう」
「では!私はまた殿下のおそばでお守りすることが出来るのか!!」
「今まで通りとはいかないかもしれません。それでもよろしければ。」
「あと、セルジオ殿は存在が消えます。私のこの魔法は私の命を食らう魔法です。万人をお治しすることはできません。なのでセルジオ殿には別の名前・別の髪色・別のお顔で殿下にお仕えする事になります。それで構いませんか?」
「あの方のお傍でお支えできるのであれば瑣末な事だ。私からもお願いする。」
私は深々とアソウ殿に頭を下げた。
「かしこまりました。ではしばらくお休みください。」
彼女の了解をもらったとたん私は水色の大きな何かに一気に取り込まれた。何事かとキョロキョロしてみたがすぐに眠けがやってきてそのまま眠りについた。私が最後に水色の膜越しに見たのは彼女と黒い背の高い人物だった。
***
はい!!ピンクブロンドのカナメです~♡まるで魔法少女みたいなこの姿!恰好!実は気に入ってます(笑)あーーー孫のミカちゃんに見せたい!!こういうのきっと好きよね♡コスプレしてたもんね。地毛でピンク可愛いよ♡
念のために変装ですが楽しいです。
さてさて、私の目の前にはウハハに取り込まれたセルジオさん。
今までいた部屋の隣にベッドの置いてある部屋。ウハハにベッドの上にセルジオさんを出してもらう。
「トーさんオレンジの時と一緒でまずは栄養たっぷりの溶液…この場合何でくるむ?ずっとウハハに取り込んでもらうわけにもいかないしな」
「液体よりもっと粘度の高いものが良いんじゃないか。オレンジの時は土にひたすら栄養やっただろ。」
「じゃあポーションの水分を出来るだけ少なくして、そこに点滴的に癒泉の水を加える?。あぁ!!以前トーさんが作ったスライムポーションの応用!
スライム溶液を無くなった肩口のあたりに付けよう。最初っからある程度の溶液に付け込んでおきたいな」
「スライム型の溶液か良いな。大きくなりすぎたらいけないぞ。ある程度反対の手と同じ大きさが生成できる位のスライム溶液を肩口から付けておこう。あとはカナメの創造力と理解力と生成力だな。」
「頑張る」
私はトーさんの顔を見て頷いた。
コンコンコン
ドアが叩かれ聖女様が入ってきた
「おはよークロト~カナちゃん~セルジオさんどう?頼まれていた物持ってきたよ」
「おはよ~彩音ちゃんさっき眠った所。これから処置するからお手伝いお願いします」
「あったりまえよ!私も勉強させてもらうね。頼まれていた死刑囚の死体の一部をどうするの?くっつけるの?」
「違うよ。人体の細かい成分わかんないから分解して成分にして使う」
私はトーさんと顔を見合わせ錬金開始。まずもってきてくれた死体の一部今回は念をもって腕をもらってきてもらった。うぅぅグロイ……怖い……私は目を閉じ息を細く長く吐き出した。
フーーーー
気合いを入れ目を開ける。両手を腕の上に広げ、錬金で粉末になるまで分解する。細かくさらさらとした粉になるように思い描き
「分解生成」
錬金用の魔法陣が光その上に置いてあった腕が粉に変化。その粉を先ほど作ったスライム溶液にすべて入れる。今度は寝ているセルジオさんの横に移動してここから私の規格外のクラフト!ユルリリィー様!力を貸して!
両手をスライム溶液の上にかざして、セルジオさんの反対の腕を見て想像する。骨、肉、血管、神経、皮膚。
想像するセルジオさんが剣を振る姿。物も持つ姿、書き物する姿それが出来る腕を想像して
「生成」
スライム溶液の中に腕が出現肩口と腕の付け根部分はきちんとつながっている。よし。私は彩音ちゃんを見て頷く。「任せて」そう言って今度は彩音ちゃんがセルジオさんの腕に魔法をかける
『骨は主軸・神経は中枢から末端へ・血管で血を全身に送り・筋肉で全てを支え・脂肪で臓器を保護し・皮膚で身体を守る‥‥‥ 神の光 再生魔法!!』
辺りがキラキラキラキラ光その光はセルジオさんの腕にすべて集中して腕の中にゆっくり消えた。
私達3人は違和感なく付いているセルジオさんの腕を凝視する。
セルジオさんが起きて違和感あるようならトーさんのポーション服用しながらダメならもう一回彩音ちゃんの魔法かな。
私たち3人とセルジオさんの側に居てくれたウハハは一緒に最初の部屋に移動した。机の上にあったものは全部片づけ、そこにドリップ式の珈琲セットを出す。癒泉の水を空中に出すとゆっくり火魔法で加熱してお湯が沸いたらセットした豆の上にゆっくり落としていき珈琲を淹れる。
「ちょっとなんて器用なことしてるの!!凄い魔法操作ね」
「トーさんも、私の魔法の師匠もできるよ?みんなできるものだと思ってた」
彩音ちゃんは凄い顔をする。
「二人がおかしいチート持ちって知ってるけど…なにカナちゃんの師匠もおかしな人なの?」
「冒険者ギルドの救護員してる人。優しい好青年だよ」
「一介のギルド職員がこんな魔法つかえるの?嘘!今の常識ってハイレベル過ぎない?私、無理よそんな事」
辺境っていろいろ出来る人多いけどな?
「じゃぁ、また辺境に冒険に来たらいい。今度は俺たちも一緒に行動するよ。」
彩音ちゃんはパーッと笑顔になり
「じゃあコルドナ領が新国家になって落ち着いたら行くね!と言うかいっそのこと私もそっちの国に移ろうかな~」
「「ん?」」
いま凄い言葉が聞こえたけど…どゆこと?




