29 異世界に せっかく来たんだ 旅をしよう!!
ナギ君にトーさんの帰還を告げお礼を言って、私達は帰宅した。
玄関に私とウハハが先に入り、
にこにこにこにこトーさんを見上げる
トーさんは照れながら
「ただいま」
「お帰りなさい」
「ウハハノハー!!」
また私とウハハはトーさんにムギュっと、くっついた。トーさんもニコニコかわいい。
狼さんが玄関前で
「俺も入っていいか」
と覗き込んでいる。ウハハがトーさんの顔みて
「ウハー」
っと低音な声を出す、
トーさんはウハハに微笑んで
「悪い人じゃないよ」
っとフォローらしい言葉が出た。
狼さんの目が半眼になっている。笑える。
「ウハハ、入れてあげて」
トーさんのかおを観て私はウハハにお願いした。
ウハハはしぶしぶと言った感じで、狼さんを結界内にプルンっと招き入れた。狼さん我が家初訪問である。屋根の上に2日住んでたけどね。
「おぉ!!スゲーなスライム!!なんだ今のプルンって感触!!おもしれーー!!もっかい!!試したい!!」
狼さんは凄いテンションでウハハを持ち上げて”もう一回”コール”。この狼さんいくつだよ…落ち着けよ。
私は、トーさんを見上げご飯を作るべく何が食べたいか聞いてみる
「トーさん何が食べたい?」
「カナメの豚汁に、だし巻き卵、唐揚げも食べたい」
「腕によりをかけて作るから待ってて!!」
「あぁ。」
トーさんはニコニコニコニコ。
ウハハはニコニコなトーさんの肩に飛び乗って狼さんを威嚇してる。かわいい。
トーさんがそれを見て笑いながらウハハをなでている
ウハハもトーさんも嬉しそうだな
ふと狼さんを見ると
笑っているトーさんたちを慈愛のこもった眼差しで見ている姿があった。
あぁ……この人は、トーさんの事ちゃんと大事に思ってるんだ……
私は知らずに口角を上げてしまう。
しょうがないなぁーーー狼さんにもしっかり食べてもらいますか!!
我が家は、キッチンとリビングが連なっているワンフロアの間取りだ。
そのおかげで、みんながリビングに集まって話したり笑ったりしている姿が、キッチンからよく見える。
キッチンでは、トントントンっと包丁がリズミカルに鳴る。
実は、私は知っているのだ。トーさんはキッチンで鳴る、音を聞くのが好きみたいで、お鍋のぐつぐつも、揚げ物のジュワワって音もすごく楽しそうにいつも聞いている。トーさんの楽しそうな様子を見ていると、私も自然と笑顔になる。
昔ながらの間取りの台所だった日本では、ご飯を作る間は一人で寂しく、みんなと会話する時は、大きな声で話さないといけなくて。
でも、今の家では、ご飯を作りながらみんなと会話したり、笑い合ったりできる。
みんなと一緒に食卓を囲む時間が、前よりもずっと楽しくなった。
そして、ご飯作りがもっと好きになった。
「このカリットジューシーうまいぞ!嬢ちゃん!!」
「カナメ、この豚汁最高!!」
「ウハハノハ!!」
今日も、みんなが私の作ったご飯を美味しいと言ってくれた。3人から美味しいと言ってもらえて、私はテレテレ。
みんなの笑顔が、何よりのご褒美だ。
「「ごちそうさまでした」」 「ウアハッハハ」
食後に手を合わせて挨拶をすると
狼さんが不思議そうに聞いてきた。
「嬢ちゃんは聖女様が好きなのか?あの人も、相変わらず人気があるな」
私が首を傾けていると、狼さんも不思議そうに首をかしげる
「え?違うのか?じゃあなんで聖女様の真似してるんだ?」
私はトーさんを見る。トーさんは微笑んで軽く頷いた。私は狼さんと向き合い
「私、聖女様と同じところから来たんです」
狼さんは固まった。数秒フリーズしていたかと思うと錆びた人形のごとくギギッギ…と首をトーさんの方に向けてハクハクと口を開け閉めしてる。トーさんは狼さんを見ながら、また頷いている。何このやり取り?暗号ですか?ジェスチャー?意味わからん。
今度はおもむろにトーさんが声をかけてきた
「今回の仕事で、聖女様にお会いしたんで、日本の食事広めてくれてありがとうって伝えたら、ぜひとも『同郷の俺の娘』に会いたいって言われた」
なんかトーさんが『娘』強調しながらドヤッテる。かわいいw
でもモモモの一件もあるし…話合うかしら?
「望郷の念かな…話したいのかもな。泣いてたよ」
「会いに行きましょう」
私は手を握りしめ即答した。そうだよね、突然異世界に召喚されて、故郷の話も何もできない状態が20年。
寂しいよね。そんな女性をほおっておけない!!
「まだ娘は小さいから数年後って伝えたんだが」
「同郷の若いお嬢さんが泣いているんだから『善は急げ』でしょう!!」
「若い...????…そうか…まあ、今固定の仕事もしてないし、良いか。旅行がてらカナメとウハハと旅って言うのも良いかもな」
私の気迫にトーさんはたじろぎながら思案して納得してくれた。良かった。
横から狼さんが参戦
「旅に出るなら、ササにも顔見せに来い。ここ数年顔も出しに来てないだろ。あいつお前の事心配していたし、お前もササに家族を直接紹介しろ」
「ササ?」
「おう!!俺の相棒で伴侶のササだ。こいつの事ほおっておけず、世話ばかりしていた奴だよ」
狼さんはトーさんを指で指しながら言う。あぁ!!この前お話に出てきた人だ。私はトーさんをみて、
「じゃあ旅に私たち家族の紹介も追加しよう!!」
ね!!っと笑って見せると、トーさんはしょうがないとはにかんで見せた。
「じゃぁ、準備が出来たら出かけるか。」
「はい!!」
狼さんは、ササさんに私たちが行くことを告げて、一緒に楽しみに待っているといって帰っていった。
「さぁ、旅の準備と辺境から離れる挨拶だな。」




