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安全第一異世界生活  作者: 笑田
イルグリット王国 魔道具編
129/216

128話 ピンクの魔石と発光スライム

「また漏れてんのか?」


「まったく。先生は漏れるはずがないとか言っておきながらこのありさまだよ。こんな事だから、魔力遮断の付与を付けてないと怖くてこんな所入れないわ」


「ちげーねーな。町の連中みたいに変な行動取るようになっちまう」


少し離れたところで大声でしゃがれた男の声がする


「おーい!あっちのスライムたちがまた魔力過多になって光り始めたぞ!!急いで手伝え!!」


男たちが数人バタバタ動き回っている。皆一様に全身を覆う白い服を着ている。まるで雪だるまに足と腕が生えているような様子は笑いが漏れた。動きにくそうだ……

魔力遮断って言ってたな。魔力遮断の付与があればここが怖くないか…ふーん

俺はコソリとシンにやりたいことを告げると、シンの目がスンっと座った。しぶしぶ男たちの前に行ってもらった。


「にゃぁ~ん」


シンの人鳴きで男たちはバッとシンを見る。


「なんで猫が?どうやってここに入ったんだ?」


「リボンなんかつけてるぞ。なんだ?貴族様の飼い猫か?」


「お前らそんな事よりスライムを運ぶのを手伝ってくれ!!」


ふむ。この3人以外の声も動きも無いな。連絡するそぶりも無い。俺はシュルシュルと黒い影を伸ばし、近くに居た男たち二人の口を押えて拘束して、そのまま闇沼に引きずり込んだ。シンは目玉がこぼれるほどに目を見開いて大口を開けている。そんなシンに


「今捕まえた男たちから魔力遮断の付与の付いたものを取ってくるから隠れて待っててくれ」


「ニャ?」


俺はそう言い残し自分の影に出した闇沼に沈んでいった。


***


【灰猫 シン 視点】


何にゃ今のは…黒い鞭?蔦?と言うか、あの人どうやってあんなガッチリ鍵のかかった入口突破したの?今何で影に落ちて行ったの…ホント 意味わかんないんだけど…さっきの奴らも居なくなったし…

でもまだ、奥に一人スライムがーって叫んでたやつがいたよね…見に行こう。


アタシは、奥に居た男の行動を見に静かにそちらに歩を進めた。少し奥に行くと先ほどの道が嘘のように明るい場所に出た。壁から、床から大量の光るスライムが居る。

スライムがひと際集まっている所に大きなピンクの魔石が床から生えるように佇んでいる。その魔石にスライムがまとわりついている。まとわりついているスライムの色は主に茶色が多く水色・緑とピンク色…ホントに大量にスライムがいた。男はピンク色の発光スライムを掴み木箱に入れていき、それを台車に運んでは下水に流している…何してるんだ?ただその空間は魔力が濃いみたいで近づくと頭がクラッとしたので、クロトさんが返ってくるのを先ほど男たちが消えた辺りの岩陰で待つことにした。


あの大きなピンク色の魔石。あれは私が持っている魔石の原石?クロトさんも持っていた…それも昔隣国でも見た…


『この欠片はイルグリット王国の国境を越えてから森で偶然見つけたものだ。俺はこれと同じようなものを昔見たんだ。オーラシアン王国で。起動後魔獣がどうなるのか見たことがある。あれは…下手すると人間にも影響する』


まさかあのメイン通りの流れる人の波はこれの影響?じゃあ皆を助けるには……あの魔石は消滅させた方が良い代物なのでは…そうすれば爺も解放される?爺……

いや、でも今の街の人たちは魔石が無くなるだけで元に戻るものかな?どうだろう…


「待たせたな」


いきなり背後から声をかけられ飛び上がるほどおどろいて大声を出してしまい、


「二"ャァ!!!!!!!」


「こら、静かに!」


眉を寄せてクロトさんに叱られた。すんません。チキンなのでびっくりさせないでください。心臓バクバク言ってるから!!まじで!!


「この服、魔力遮断だったみたいだ。ひとまず人型になってワンピースの上にこの白いの着てくれ」


あたしは岩の裏で獣化を解いて着替える。


「クロトさんは着ないんですかニャ?」


「サイズが合わないんだよ…背がな…なのでちょっと解析して改造する。シンは魔力耐性低そうだからキチンと着ろよ」


そう言いながら、モノクルの鑑定鏡をかけて魔力遮断がされてる服を解析し始めた。すごいな…さっき手に入れた物をすでに解析し始めるなんて…あたしはたぶんすべてが平均以下の能力しかないからな……耐性か…たぶんさっきクラッときてるから耐性あんまないんだよな…

白い洋服はだぼだぼだけどウェストのあたりをひもで縛って折り返すと存外悪くない。

クロトさんはまだ解析続けてる?…ん?解析じゃないなあれは…錬金?白い服がいろいろな粉に分かれて…付与の術式が黒いものの上に浮かび上がってる。

その浮かび上がってる術式を大きな焦げ茶色のマントの上に置き


「生成」


っと唱えると、ピカっと光った。クロトさんはモノクル越しにマントの確認をして頷いた。


「よし。まぁまぁの出来カナ」


「クロトさん錬金術師だったんですニャー。初めて実感しましたニャ」


バサッとマントを羽織って、フードを被るとニヤリとわらった。


「冒険者より、こっちの方が稼ぎが良いんだよ。まぁ付与の写しなんて効果落ちるんだけどな…その白服が100%だとすると、俺のこのマントは50%くらいかな。ないよりはましだな」


「奥の部屋に大きなピンク色の魔石が有ったニャ。その周りにすごい数のスライムが居て、発光したら下水に流してるニャ」


あたしは立ち上がり奥の方に歩を進めた。クロトさんもその後に続いてくれる。


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