番外編2 ―そして少年は騎士になる―
それに気づいたのは舜が最初だった。そして、一目散に駆け出した。一緒に遊んでいた子どもたちを残して。
それは小さく、普段なら見落ていたかもしれない。だけども、赤ら顔の男が担いでいる物体は間違いなく真名だった。
「真名を放せ!」
男の後ろから声を掛ける。
無造作に担いでいる時点で真名に対する配慮など感じない。すなわち大人ではあるが、敵だ。
親たちの前で守ってやると宣言した。男として誓いは必ず守る。真名は必ず守る。
睨みつけている舜の方へ男が振り返った。
「なんだ、このクソガキが!」
振り返りざまに放った男の蹴りが舜の腹部に当たり、舜はそのまま後方に吹き飛んだ。
背中から落ちた衝撃で一瞬呼吸が止まった。
「――こ、の」
ふらつく足で必死で立ち上がる。
すでに興味をなくした男は舜に背を向けている。
「まなを放せ――」
倒れ込みながら、必死で男の足にしがみついた。
身動きが取れなくなった男が必死で舜を振りほどこうとする。しかし、肩に真名を担いでいる為、思うようには動けない。
そして、その騒魔は舜と遊んでいた子どもが大人を呼んできたことにより終焉した。
どんないい訳も通用しない。
子どもが先に手を出したと言ったところで5歳の少年に暴力を振るうことが正当化できるはずがなかった。
そして、実の子とはいえ、暴力を振るったことは真名の身体に残るアザが証明している。
今度こそ、男は真名の前から完全に姿を消すこととなった。
「舜、えらかったわね。まだ、痛むはずだから横になってなさい」
目を開けた舜に母親が声を掛けた。確かに身体を動かそうとすると痛い。その痛みが先ほどの事が現実だと舜に実感させる。
「まなは?」
「真名ちゃんは無事よ。舜のおかげよ。母さん、鼻が高いわよ」




