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体育祭 元落ちこぼれvs女帝 3

※三人称



『おーーっと!! またもやリリス・アリスタルフとその召喚獣ルナがトップに躍り出るーーッ!! このペアリレーも制覇なら、現在出ている競技全ての一位を総なめだぁ!! これはまさに今年のMVP候補の筆頭ッ! 恐ろしいコンビが出て来たぞーー!!!!』


「みんなガンバレー! アリスタルフさんに負けるなーー!!」


「いや無理でしょ! なんであいつ普通の人間の癖して、あんな召喚獣並みに動けるんだよっ!?」



 実況する声と生徒達の送る声援。

 そんな騒がしく俗物的な場所にあって、競技場観客席の最前列に特別に設えられたこの場所だけは優雅そのものだった。



「エリザベッタ様、お飲み物をお持ちしました」


「あら気が利くわね。ありがとう」



 まるで玉座のような朱色のソファーの横にあるミニテーブルにグラスの縁にスライスしたレモンが飾られた淡い紫のグラデーションの美しいドリンクが運ばれ、ソファーの上で寛ぐエリザベッタは、運んできた生徒会の腕章をつけた生徒に美しく微笑んだ。



「……ねぇアリスタルフさん達、また一番なんですって。確か先ほども一番でしたわよね?」



 お礼を言われ、ぽーっと頬を染めていた生徒会メンバーは、エリザベッタの問いかけられハッとすると、居ずまいを正した。



「はい。リリス・アリスタルフと召喚獣ルナのコンビは、陸上競技、球技競技……どんな競技においても他を圧倒しております。特にリリス・アリスタルフは、馬型やヒョウ型の召喚獣よりも足が速く、ゾウ型やゴリラ型の召喚獣よりも力が強い。正直召喚獣ルナよりも余程脅威と言えるでしょう。午前の競技はあとは障害物競走を残すのみですが、現時点で既にリリス・アリスタルフの独走状態です」



 報告を聞きながらエリザベッタはグラスに手を伸ばし、ドリンクと同じ薄紫の瞳を細める。



「あらあら。アリスタルフさんってば、すごいのね。でもこのままでは他の生徒のみなさんはツマラナイでしょうね。すべての生徒が楽しめる体育祭にすることも生徒会長の努め。……分かっているわね?」



 エリザベッタが言いながら腕章をつけた生徒に視線を向ければ、「はいっ!」と生徒は返事をして恭しく去っていく。

 その後ろ姿を見送った後、エリザベッタはグラスに入ったドリンクを口に運び、足元に優美に寝そべるレオナルドの鼻を優しく撫でてやる。



「グルル……」



 すると気持ちが良いのかレオナルドはエリザベッタの手に甘えるように顔を擦り付け、そんな姿にエリザベッタがクスクスと笑う。


 そして視線を向けるのは、競技場のトラックにて人々に囲まれ一位の旗を手渡されている黒髪黒眼の少女――リリス・アリスタルフ。

 彼女の禍々しいまでの漆黒の光彩は、どれだけ人がいようが否が応でも彼女の異質な存在感を際立たせる。隣にいる美しい純白の羽根を持った召喚獣と並べば、それは尚更顕著だ。


 そんな少女をエリザベッタはじっと見つめ、そしてゆっくりと口角を上げて呟いた。



「――ふふ、これから起きることをアリスタルフさんはどう切り抜けるのかしら? 楽しみね、レオナルド」



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