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お題シリーズ3

わからないぬ

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その犬は混乱していた。


 分からない。


 分からないでござる。


 犬は獣だ。


 だから、迷子になっても本能で帰るべき家を見つける事が出来る。


 けれど、すべての犬がそうであるとは限らない。


 その犬は、散歩の途中で飼い主から逃げ出した後、数時間自由を謳歌していた。


 が、いざ帰ろうと思った時、家が分からない事に気が付いたのだ。


 分からない。


 分からないでござる。


 拙者、お家に帰れないでござる。


 犬は激しく混乱していた。


 その犬は、野生の犬ではない。


 生まれた時から人の手によって育てられてきた。


 だから、外で生きられるとはまったく思えなかった。


 外には危険がたくさんでござる。


 じことか、ゆうかいとかにあったらダイヘンでござる。


 犬はすごく困って道行く人に片っ端から助けを求めた。


 しかし怖がる人達ばかりで、問題は解決しない。


 このままだとおっかないほけんじょ、とかいう場所につれていかれるかもしれない。


 ほけんじょやいやでござる!


 犬は知っていた。


 それは飼い主がテレビを見ながら眠ってしまった時の事だ。


 テレビでほけんじょなる建物の事が特集されていたのだ。


 だから、ほけんじょにつれていかれた犬のまつろを知っていた。


 だれかたすけてーでござる!


 わんわん、きゃんきゃん。


 何度も吠え続けていた犬は、幸いだった。


「あれ、もしかして○○さんちの○○くん?」


 家に何度もやってくるおばさんに出会う事ができた。


「もしかして逃げ出しちゃったのかしら。おいでおいで。おばさんがお家につれていってあげるわよ」

「わぅぅぅん!」


 犬は感激して、涙目になった。


 実際どうなったか分からないが、このまま彷徨い続ければ苦労した事は確実。


 家に帰るあてができて良かったと、酷く安堵していた。


 それからその犬はすう十分後、見慣れた我が家に帰る事ができた。


 ちょっと怖い思いをした犬は、大好きな散歩のときも当分大人しく歩くだけだったそうだ。



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