慌ただしい日
ね、寝坊しちゃった。
普段眠る時間に眠ってないせいで
ちょっとだけ寝坊して
走りながら学校へ向う。
普段の私なら、こんな状況だと
確実に遅刻確定なんだけど
何だか今日は調子が良くて、足が速い!
「今日は調子が良いかも、足が速い気がする!」
(私と契約したからだね、身体能力が上がるんだ)
「そうなの!? そ、それは良かった!
なら、遅刻しないで済むね!」
結構田舎だけど、
学校はまだ走って行ける距離だ。
あまりお店はないけど、生徒は結構多いしね。
「うぅ、だ、誰か……て、手伝って…」
「ん? どうしました?」
「あ、く、車が溝に嵌まって、か、会社に」
「そ、それは大変ですね、手伝います!」
「あ、ありがとう!」
道中で車が嵌まったという女の人が居た。
私はすぐにその車を持つ。
「せーので行きましょう」
「2人で大丈夫かしら」
「そこまで深く嵌まってないし、
きっと大丈夫ですよ。
それに、ここはあまり人が来ませんし…
1度試してみましょう」
「そうね」
「じゃあ、せーの!」
「あ!」
よーし、車が浮いて溝から出せたよ!
「す、凄い、一瞬で…」
「良かったですね、じゃあ気を付けてー!」
「あ、お礼は」
「お礼は良いです-!
お互い時間ありませんし!」
「ちょ、足速い……
あ、ありがとうございましたー!」
いやぁ、足が速くなったお陰で何とかなりそう!
「うぅ、あ、足が…」
「あ、お婆さん、どうしました?」
「こ、転けてしまってねぇ…足が痛くて」
「え!? そ、それは大変ですね、背負います!
病院はまだ空いてませんし、ひとまずお家に」
「ごめんよ、お嬢ちゃん、でも良いのかい?
学校に遅れてしまうよ?」
「だ、大丈夫です! ほら、私は足が速いので!
さ、遠慮しないで」
「すまないねぇ」
怪我をしたお婆さんを背負って、私は走った。
お婆さんの案内に従って、お婆さんの家に。
あ、ここは愛梨ちゃんの家だ。
「すみませーん!」
「はーい、え? 霊宮さんの娘さん。
詩歌ちゃんだったかしら」
「はい、詩歌です、
実は愛梨ちゃんのお婆ちゃんが」
「え? あ、お義母さん!? どうしたの!?」
「その、足を怪我しちゃったらしくて
足が痛いって言ってたんです。
病院はまだ空いてませんし、ひとまずお家に」
「そうなの!? ありがとう、詩歌ちゃん!
お義母さん、あるけますか?」」
「大丈夫だよ、何とかね」
私は愛梨ちゃんのお母さんにお婆ちゃんを預ける。
「すみません、後はお願いしますね」
「そうね、学校の時間が…ま、間に合う?」
「大丈夫です! 足は速いのでー!」
「はぁ、良い子とは聞いてたけど、本当ね。
それに足速いし、元気な子ね」
ひぃー! これ以上は遅れるー!
あ! 信号は青! 余裕で間に合う!
(詩歌! 待って!)
「え? あっぶなぁあ!」
急いで渡ろうとしたら、目の前に車が!
確実に引かれてたと思ったけど
無意識に体が反応して車を避けた。
あ、危なかった……信号、青だったのに。
「あ、ありがとうリック、お陰で助かったよ」
(気にしないで、あ、点滅してるよ!)
「あぁ! い、急げー!」
そのまま、辛うじてギリギリでセーフ!
あ、危なかった。あの信号が赤だったら
多分間に合ってないけどセーフ!
「はふぅ……つ、疲れたぁ……」
「詩歌さん、今日は随分とギリギリね」
「あ、あはは、す、済みません……
で、でもセーフですよね!」
「確かにセーフではあるけど
危ないからギリギリは良くありません
焦って車にでも轢かれたら大変ですよ」
「そ、そうですよね、実感しました……」
「え? だ、大丈夫だったんですか?」
「あ、はい、何とか」
「ちょ! 詩歌、大丈夫だったの!?
怪我とかしてない!?」
「し、してないよぅ」
私の話を聞いてた
同級生が凄く心配してくれた。
ちょっと申し訳無いことをしちゃったよ。
「あ、それと実は今日は驚きのサプライズ!」
「ん?」
「じゃーん、癒美ちゃんが来ました-!」
同級生達が道を空けてくれる。
同時に私の視界に癒美ちゃんの姿が入った。
「癒美ちゃん!? よ、良かった!
無事だったんだね!」
「う、うん……」
よ、良かったぁ、
悪魔に取り憑かれてたと思ってたけど
ただの勘違いだったんだ!
「どうして今まで来なかったの?
凄く心配したんだから!」
「その、家でちょっと……そう、お母さんが」
「そうなの!?
どうして教えてくれなかったの!?」
「し、心配させたくなくて」
「何も言わない方が心配したよ!」
「そ、そうだよね、ごめん」
「でも、無事で安心したよ!」
「……」
久々に癒美ちゃんの姿を見たけど
何だろう、やっぱり少し元気がないような?
何なら、ちょっと前よりも元気が無い気がする。
「ほ、本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ」
「癒美さん、本当に大丈夫ですか?
詩歌さんと何かあったとかです?
詩歌さんが来て、表情が曇ったような」
「き、気のせいです!
詩歌と何かあったなんて
そんなことはありませんから!
ありませんから…」
わ、私が来て元気が無くなったって、
どう言う…
も、もしかして私、
わ、悪い事しちゃったとか。
「そ、その、私、何か悪い事を」
「いや! 大丈夫、何もしてないから大丈夫!
気にしないで、絶対に大丈夫だから!」
「え? あ、うん…」
必死に私の言葉を否定したけど……
き、気になる。
だけど、これ以上は授業が始まらない。
これだと先生が困るだろうから、
これ以上は聞かない。
そのまま授業が始まった。
少し雰囲気は暗いけど、癒美ちゃんが居る。
そのお陰で、
少しだけ気持ちが楽になった気がする。
それから、
しばらくの間は授業だったわけだけど…
ね、眠たい、凄く眠たい……
うぅ、駄目だ駄目だ、眠ったら駄目!
き、昨日夜更かししたから……
いやいや、目を覚ます!
「うぐぐぅ…」」
だけど、そんな状態で集中出来るはずもない。
でも、何とか眠らないで済んだ!
授業も終わって、凄く気持ちが楽になった。
「詩歌、授業分かった?」
「すぅ、すぅ…」
「……こりゃ、分かってないわね」
「眠そうだったしね、どうする?
これから部活動だけど……」
「助っ人お願いしたかったけど……
まぁ、起した方が良いか」
「そうだね、ほれ」
「うひぅぅ」
「頬を引っ張っても起きない……
じゃあ、チョップ」
「いびうぅ」
「……起きた?」
「いや、涎垂らして寝てる」
「ほら、詩歌、寝るなら家で寝なさい
風邪引くわよ、ほらほら」
「駄目かぁ……」
「皆、詩歌は私が起すわ、部活あるでしょ?」
「あるけど……じゃあ、お願い」
「うん」
うぅ、眠たい、凄く眠たい……
「……詩歌」
「うぅ」
「……悪魔よ」
「え!? 悪魔!?」
あ、悪魔が出て来たって事は困ってる人が!
「あ、悪魔って、リック……
って、え? 癒美ちゃん?」
「……おはよう、詩歌」
「お、おはよう」
「リックって言うのね、
……詩歌が契約した精霊」
「精霊、契約って……も、もしかして」
「うん、私も契約してね、結構前から」
癒美ちゃんが掌を上に向けると
そこに精霊さんが姿を見せる。
精霊の姿はリックとは違っていて
大きな大剣を背中に背負った
デフォルメチックな女の子だった。
服装は変身した私と似て袴を着てる。
だけど、模様はシンプルで上は白色だ。
左と右で交差してる場所は青色で
袴は薄らと青い色をして居た。
髪の毛は黒く、後ろでとめている。
多分だけどかなり髪の毛が長い。
「お、女の子なんだ、その子」
「うん」
「よろしくです、契約者殿
私の名は巴と申します」
「人間みたいだね、あ、私の精霊はこの子」
私はリックを癒美ちゃんと同じ様に呼び出す。
リックは私の掌に乗るように姿を見せた。
「こんにちは、私がリックだよ」
「獣人型なんだね、可愛いけど…」
「そ、その、恐いから睨まないで…」
癒美ちゃんがリックを見る目が少し恐い。
ど、どう言う事なんだろう、分からないけど…
「癒美殿、睨んでも意味ありません。
あまり敵意を見せても嫌われるだけです」
「そうね、詩歌に嫌われたくはないか」
癒美ちゃんの表情が元に戻り、私の方を向いた。
「ねぇ、詩歌。これからは協力しない?
悪魔は結構強いから1人だと危ないだろうし」
「そうなの?
まだ1度しか戦ったこと無いから」
「え? もう悪魔と戦ったの!?
大丈夫だった!?」
「う、うん、全然平気だったけど…どうしたの?」
「……そう」
癒美ちゃんは驚いたような表情を見せた。
私は戦った感じ、
そんなに強く感じ無かったけど…
「……悪魔と1人で戦い、
生き残るとは驚きです。
かなりの才能がある証拠ですね。
そうだ、リック殿、1つ聞きたいことが」
「何かな?」
「リック殿が召喚出来る武器は
どのような武器ですか?
私は見ての通り、
接近武器のみで大剣が得意です」
「……? 出せる武器を聞く必要があるの?
状況によって召喚する武器を決めれば
良くないかな?」
「え?」
「え?」
リックと巴ちゃんの会話だけど
お互い、困惑してるような表情を見せた。
「……もしや、どんな武器でも出せる……とか?」
「そうだけど……不思議なことかな?」
「さ、左様ですか……
私、強い自信があったのですが
何だか自信が砕けたような気がします。
接近武器をどれでも出せるのは
相当と思いましたが…」
「……そんな精霊が居たなんて
だ、誰とも戦ってないし、殺してない!?」
「悪魔としか戦ってないけど…
でも、悪魔も生き物なら、
殺したって事になるのかも」
「いや、それなら大丈夫、気にしないで。
でも、今後強い悪魔が来るかも知れないから
やっぱり協力した方が良いと思うの」
「うーん、分かった、じゃあ今度から協力しよう!
一緒に、困ってる人を助けようね!」
「うん、よろしく、絶対に助けてあげる」
癒美ちゃんと握手を交わした。
癒美ちゃんが精霊と契約してたのは驚きだよ。
これからは一緒に頑張って協力して行こう。
1人より2人の方がやっぱり安心だもんね!