家族の会話
リックと契約して、そのまま家に戻る。
「ただいまー」
「お帰りなさい、詩歌ちゃん」
「んー? 姉ちゃん帰ってきたの?」
2階から、妹がだらしない格好で降りて来た。
「優歌、だらしない格好しないでって」
「良いじゃん、姉ちゃんには関係無いし」
関係はあるんだよ、もう中学生なのに
相変わらずブラジャーとパンツだけって。
確かに今日は暖かいけど……ちょっと心配。
妹は私と違って、結構頭が良い。
だけど、家での行動は賢そうには思えない。
勉強は適当やってたら出来るって言ってるし。
私は結構頑張っても出来ないんだけどね。
でも、自慢の妹ではある。
(妹さんは、髪の毛の色赤いんだね。
髪の毛も長いし、ツインテールなんだ)
(うん、お母さんに似てね。私はお父さん似なの
ツインテールは優歌のお気に入りなんだ。
小さい時から、結構私が結んであげててね)
お母さんの家系は代々髪の毛の色が赤いらしい。
優歌が赤髪なのはお母さん似で
学校も優歌の髪の毛は
地毛だと言う事を認知してる。
結構勝ち気で、かなり手加減無しに色々やるから
学校ではかなり人気な優歌。
姉御肌と呼ばれてるらしいって聞いた。
中学校は結構人数が居るらしいから
凄いのが分かる。
どうして高校は少ないのに中学校が多いのか。
確か最近は色々なアパートが建ってきてるから
ベットタウンだっけ?
その需要があるんだっけ。
だけど、私は学校の優歌の話を聞いても
全然信じられないんだけどね。
だって、優歌ってそこまで怒りっぽくないし。
そもそも、周りを引っ張る雰囲気ではない。
小さい時から、
ずっと私に付いてきてただけだしね。
「はぁ」
「それに、別にそんな本気で言ってないっしょ?」
「確かに言っては無いけど」
「姉ちゃんが本気で言うなら従うけどさー
そこまでなら、別に良いかなーって」
正直、家での事だからね。
多少は自由で良いんじゃ無いかって思ってる。
でも、やっぱり心配なのは変わらない。
「そう言えば、
今日はクラブって雰囲気じゃないよね。
もしかして、補習だったり? それとも
また帰り道で誰かのお手伝いでもしたの?」
「こ、今回は補習……」
「あー、やっぱりー?
姉ちゃんって勉強しないしね」
「べ、勉強はしてるけど!?」
「家で手伝いばかりしてるじゃん」
「それはお母さんに無茶させたくないから」
「詩歌、いつもごめんね」
「いや、お母さんが気にすることないって。
あ、そうだ! 洗濯物入れてくるね!」
「ごめんなさいね」
「大丈夫、体力には自信あるから」
お母さんは結構病弱で、体力が少ない。
だから、小さい頃からいつも手伝いをしてた。
「っとと、優歌-、手伝って-」
「えー、姉ちゃんがやってよ」
「手伝ってよ、ほら、いつも通り」
「うー、はいはい」
優歌がアイスを咥えながら2階から降りてくる。
少しいやそうに、ゆっくりと洗濯物を畳む。
「ったく、父さんも居れば楽なのになぁ」
「単身赴任中だし、仕方ないよ」
「そりゃ、大変な仕事なのは分かるけどね」
お父さんは銀行員だからね。結構なやり手の。
だから、色々な支部に行くことが多い。
「んー? お、姉ちゃん、テレビテレビ」
「ん?」
優歌がテレビに目を向ける。
テレビではクイズ番組をやっていた。
「クイズ番組だね、優歌が大好きな」
「そうそう、私好きなんだよね、クイズ番組。
知らないこととか、
興味無い事って私覚えないから
こう言うの見てると、
意外な知識が入ってくるし」
「でも、簡単なクイズじゃん、これ」
2択クイズだしね、大分楽だと思う。
でも、優歌は結構こう言うのが好きだったりする。
「成人の日は何月何日かだって。
簡単すぎ、1月の第2月曜日だからB!」
洗濯物を畳みながら、
優歌がクイズに答え始める。
「うっし、正解! 楽しょー!
で、次は男女の平均年齢どっちが長いかぁ?
うん、確か女じゃなかったっけ、A!」
本当、優歌はクイズが好きだなぁ。
「うぇ!? マジで!?」
「優歌、本当にクイズ好きだよね…
ほら、手が止まってるよ?」
「大丈夫だって、あと少しだし。
うーん、はぁ? 初代天皇?
また凄い問題だなぁ。
確か神武天皇だっけ? A!」
うん、これで洗濯物は完了だね。
「正解! 流石私!」
「優歌、後は優歌が持ってる洗濯物だけだよ」
「あ、本当だ。じゃあ、これで終り!」
洗濯物を畳んで、箪笥の中に入れる。
それから少ししてご飯が出来て家族で食事をした。
「姉ちゃん、この後ゲームしない?」
「いや、勉強しないと……赤点だし」
「良いじゃん、ゲームしようよ」
「優歌、止めなさい。
お姉ちゃんは勉強するんだから。
詩歌は押しに弱いんだから、
あなたがわがまま言うと
お姉ちゃんが困っちゃうでしょ?」
「ぶーぶー」
「うぅ、今度は赤点回避しないと……」
でも、勉強を頑張ろうとしても、
やっぱり別の事を考えるんだろうなぁ。
癒美ちゃんの事や、
悪魔とかそう言うのの話とか。
「うー」
勉強を始めようと、ノートを開いたは良いけど
やっぱり、色々と考えてしまって集中出来ない。
でも、勉強しないと駄目だから頑張らないと。
「詩歌、お風呂沸いたわよー」
「あ、はーい」
結局あまり進められないままお風呂に入る。
「ふぅ……」
湯船に浸かり、水面に映る自分の顔を見る。
今日、変わったことがあったなんて思えない。
私は何処も変化せず、いつも通りのままだった。
強いて言えば、少しだけ暗い表情を浮かべてる。
だけど、これは最近ずっと同じなんだよね。
癒美ちゃんが学校に来なくなってからと言う物
ずっと同じ様に暗いままで過ごしてる。
(ねぇ、リック、悪魔っていつ頃出てくるの?)
(日付を跨いだら悪魔が良く出てくるの)
(つまり12時を過ぎたらって事?
でも、分かるのかな?)
(うん、悪魔の気配を感じたら、
私の目が覚めるから)
(じゃあ、起してくれる?)
(分かった、でも、大丈夫なの? お勉強……)
(……だ、大丈夫じゃないけど、でも、
困ってる人を助ける方が優先だから)
(うん、分かった、頑張ろうね、詩歌)
色々と悩むことは多いし、考える事も多い。
だけど、頑張ろう!
私は頑張ることしか出来ないからね。