学園の再建と文献探し
今回「魔法書」という言葉が出てきますが、魔法の教科書を魔法書、魔法を封じ込めた本が魔導書です。
紛らわしいかもしれませんが覚えておいてください。
次の日、騎士団の報告書を見る許可を待つ間に学園の再建に乗り出した学園長の様子を見に行くといつもの厳つい顔が歪んでいて一層怖さが増していた。
「学園長~。どうしました~? 魔族も真っ青な顔してますけど~」
「ん? あぁ、お前たちか…… これからの学園運営についてどうしようかと思ってな…… 学園再建で貯めておいた運営資金が底をつきそうでその上教材費や失った図書の復元もしないといけないとなるとな……っと、お前たちにする話じゃなかったな、すまない」
「う~ん、他の生徒さんならそうかもしれませんけど私たちは別ですよ~?」
「だね。家に早馬を出してお金を出してもらえないか聞いてみようかな」
「私もお父さまお母さまに聞いてみますね~」
「嬉しいがそこまでしなくてもいい。来年度の始業が遅れるかもしれんがその頃にはすべて元通りになっているはずだ」
「それで、再建までどうするんですか?」
「しばらくは待機だろうな。幸い国が再建までの宿代は出してくれるらしいからな」
「その再建が短期間で終わると言ったらどうする?」
その言葉を聞いたみんなの顔がこいつはホントになんでもできるなというあきれ顔に変わった。
「そんなことできるのか? 身体強化を使った職人を集めても相当時間がかかる規模だぞあの規模は」
「資材さえあればなんとかなるよ。エルちゃんの記憶のなかに建築関係の魔法もあって見取り図さえあればそれ通りに建物を建てることが出来るみたい」
「けど消費する魔力や負担が大きくない?」
「それについては大丈夫だよ。エルちゃんの魔力を引き継いでるし、作業は妖精たちに助けてもらえばいいし」
「そうだとしてもこれ以上お前たちの力を借りるのは本当にやばい時だけだ。宿屋でも授業はできるし、お前たちはエルミリーを助けたいのだろう? ならそれに集中しろ」
私は少し迷ったがエルちゃんと早く再開したいという思いの方が強く、学園長の言葉に従うことにした。
みんなで話し合った結果、まずは国立の大図書館だと決まり、学園長に別れを告げた。
国立大図書館はこの国が長い歴史の中で培ってきた知識が集められた施設で、高名な書のほとんどの原本が収められている。
エルちゃんが学園の本を全て読み終えたら行ってみようと思っていた建物らしいがこの図書館に禁書の類は無いと言い切れるので、一応伝説や魔法書に何かヒントがないかと思って行ってみることになった。
探し始めてから2時間が経過して、私たちはあらかじめ集合場所に決めておいたラウンジに集まった。
「なにかあったか?」
「魔法書をいろいろ読んだけど特に何もなかったよ」
「魔法の歴史について調べていたがこっちも特になかった。レオンはどうだった?」
「実は今のエルちゃんの状態によく似た伝説を見つけたんだ」
「本当ですか?」
読んでみたところ、
『「エルン」と「アノン」という二人の仲の良い女の子が平和に暮らしていたが突然暮らしていた国が魔物や魔族に侵略され、勇者の適性があった二人は仲間に助けられながら元凶の魔族の王を倒そうとするがエルンが魔族の王の攻撃をうけ、最後の力を振り絞ってアノンに力と記憶を渡して息を引き取り、その力を使ってアノンが魔族の王を倒した。
その後アノンは国を離れ、エルンを蘇らせる方法を探して旅を続けた。そうして様々な国を旅しているうちにゴーレムを作る魔法を生み出した国、魂を別のものに移す魔法を生み出した国を見つけ、その魔法を組み合わせればエルンを読み上げらせることが出来ると思った。
祖国に戻ったアノンは早速ゴーレムを作り始めた。だが、エルンを蘇らせることばかり考えていたアノンはエルンの容姿を思い出すことはできなくなっていた。
悲しみで絶望したアノンが自ら命を絶とうとした時、天から光と共にエルンと天使が降りてきた。天使はアノンを気の毒に思った神様の使いとして、エルンとアノンを天使として迎えに来たのだ。
次の日アノンを訪ねてきた人が発見したのは笑顔で亡くなっているアノンの姿だった。その顔には泣いた跡が残っていた』という内容だった。
「確かによく似ている…… けど違いもある。エルンは死んだけどエルミリーは死んでいない。それにアンリは一度魂を移すのに成功している」
「ならもしかしたら分離の魔法さえわかれば前と同じ手段でエルちゃんとまた会えるということでしょうか?」
「その可能性は高い。なら行動方針は決まったな。そもそも分離の方法がわかっても分離した後の依代が必要になってくる。方法を知っているのはアンリの両親だろう?」
「ええ。なので私はお父さまお母さまに会いに行ってきます。エルちゃんの今の状況についても話さないといけませんしね」
「なら禁書庫と騎士団の報告書はこっちがやっておくからそっちは任せたぞ」
「わかりました~。では早速学園長に話してきますね~」
学園長は私が領に変えることを承諾し、こっちで起きた問題は何とかするから行って来いと快く送り出してくれた。
私は馬を借りてラフエルへ向けて急いだ。




