魔導書作成準備2
今回を魔導書作成にしようと思ったんですが書いているうちに長くなりすぎちゃいました。
次こそちゃんと魔導書を書く! ……予定です。
翌日の放課後、おじいさんの店に集まった四人は魔導書について分かったことをおじいさんに報告することにした。
独学で魔導書を作るのは危ないなと実験での失敗から思ったからだ。
私たちの報告を聞いたおじいさんはよほど驚いたのか後ろの本棚に頭をぶつけた。
その衝撃で魔導書がバラバラとおじいさんに落ちてくる。
「うおっ、いってぇ!? それよりお前らよくわかったな!? てっきり俺は結局わからず教えてもらいに来るもんだと思ってたぜ」
「注意深く観察してたらすぐわかりましたよ? 特に魔法陣の書き方は」
「まじかよ…… それで、ならどうして俺のとこに来たんだ?」
「実は魔導書を使用したときに慎重すぎても損はないなと思ったので魔導書を作り始める前に確認に来たんですよ。それと聞きたいこともあるんですが、魔法陣を書くためのインクを作るときに魔力を定着させるために時間が掛かるのではないかということを聞きに来たんですけど」
おじいさんは落ちた魔導書をかき集める手を止め、化け物でも見るような目で私を見た。
「ま、待て。どうやってそれを!?」
「やっぱりそうなんですね。魔石の精製方法などから魔力が定着するのには時間が掛かると思ってました」
「こりゃ国に魔石の精製方法も隠すように言わなきゃならんかもな……」
「構いませんがそれは私が卒業してからにしてもらいたいですね。そのことを説明するのにどうしても私のことを話さないといけなくなるでしょうから」
国の面倒ごとに関わることになりそうで学園中退とかありえそうだし少なくとも学園を卒業するまでは面倒ごとは勘弁だ。
「まぁ俺も人が嫌なことはやりたかねぇし学園を卒業するまでは言わないようにするか…… あとお前らおじいさんじゃなくてドランと呼べ。まだおじいさんと呼ばれる年じゃねぇからな」
「ドランさん、ありがとうございます! そういえばハチャプリをアンリと作ってきたのでみんなでたべませんか?」
「構わねぇがここじゃ駄目だ、奥に行くぞ。魔導書が汚れちまう」
「ですね。ではお邪魔します」
店の奥はドランの家になっているようで、店の中とは違い物は散らかりぱなし、テーブルは魔導書を作るための道具で埋まっていた。
「ドランさん、片付けくらいしたほうがいいと思います~」
「面目ねぇ…… 魔導書のためなら片付けようとと思うんだがな……」
「仕方ないですね…… 先に片づけましょう」
「俺がやるよ。俺の家だし良いとこの子供はこういうのはやらないだろう? 実際にお前以外は戸惑ったような顔してるぞ?」
「そっか、みんな使用人に任せるから家事をしないんだっけか…… なら私だけでも手伝いますよ」
「できるのか?」
「私は家でも手伝いをしてましたし家事は一通りできますよ」
「なら頼もうかな」
私は前世でもきれい好きだった。本が汚れるのを嫌ったので二日に一回のペースで掃除をしていて家族からも呆れたような顔をされたものだ。
そんなことを思い出しながらてきぱきと片付けていき、ものの十分で片付け終えた私を見たみんなは、
「エルってできないことはないんじゃないか?」
「うーん、確かに何かで苦戦してるのは見たことないですね~。お昼ご飯も基本はエルちゃんがやって私はサポートするといった感じでしたし~」
「そうなの? エルちゃんってすごいね」
とひそひそ話している。
「みんな何話してるの?」
「エルちゃんってすごいな~って話をね?」
「そうでもないよ? 面倒だって思うことはあるし家事だって必要だったから覚えたに過ぎないもん。それより早く食べようよ」
「だね。みんな座ったね? じゃあいただきます」
『いただきます』
みんなで話しながら楽しく食事をしているともう帰る時間になっていた私たちは挨拶をしてドランさんの店から私の部屋に帰ってきた。
「それで、なにからするんだい?」
「魔法陣の図柄と魔法特性がわからないと書きようがないからそれを待ちながらインク作りかな」
「何か協力できないかな?」
「インクに混ぜる魔力の割合を探るためにいろんな配分を試す予定でいるんだ。割合が高い物は爆発とかの可能性が否定できないから私がやるけど割合が低いものはみんなでやってくれるかな?」
「爆発!? 大丈夫なの!?」
「身体強化はかける予定でいるけど多分しないと思うよ。悪くて燃える程度で済むんじゃないかな。でも私は自業自得になるけどみんなはそうじゃない。立場もあるから怪我するようなのは頼めないんだ」
「はぁ…… 自分の立場をこれほど憎いと思ったことはないね……」
そう言ってクロノは首を振ったが真っ直ぐ私を見てこう言ってくれた。
「でも俺もレオンも、勿論アンリもお前に傷ついて欲しくないと思っている。だから可能性が低くても爆発の可能性があるなら俺たちもエルと一緒に実験を見守るよ。友人っていうのはそういうもんだろ?」
クロノの言葉に二人もうんうんと頷いている。
「でも危険なことに巻き込みたくないって思うのも友人なんだ。頼むよ、みんな。私だけなら身を守れる自信があるけどみんなを守れるかどうかはわからないんだ」
「エルちゃん、こう言い始めたクロノに何言っても無駄だよ。どんな手段を使ってでも有言実行するからね」
「ま、そういうわけだ。諦めろ、エル」
「はぁ…… なら止めはしないけど条件が一つだけあるよ」
「条件? 何をさせる気だ?」
「簡単なことだよ? 低配分のインクを作るのと同時並行で身体強化の魔法を覚えること」
「身体強化って確か上級魔法だよね……」
「あぁ……」
「私たちは五歳の時には使えましたから二人なら大丈夫ですよ~」
それは二人だからだよ!!という二人の心の声が聞こえてきた気がするがこれだけは譲るつもりはなかった。
私とアンリは使えるから身を守れるが二人はそうはいかない。
身体強化は身体能力を上げるだけでなく身体の強度も上げてくれるとても優れた魔法だ。
身体強化があれば安心して実験に集中できる。もし本当に爆発した場合それを抑えるのに集中した私では二人を守れないかもしれない。
とはいえ私もみんなで実験したいという思いがある。身体強化を使えるようになるという難題に尻込みしている二人に私は発破をかけるように、私はこう言った。
「私もみんなと実験したかったんだけど……どうかな?」
と言うと効果は覿面だった。
「そう言われちゃやるっきゃないよな? レオン?」
「うん、それにいつかは覚えるんだ、今やったところで何も不都合はないね」
私たちは授業の合間に問題点を洗い出し、放課後に実験と魔法の練習を行うといった忙しい生活を送ることになった。




