死亡そして転生
初投稿で投稿初心者なんで間違いや感想は大歓迎です!
プロット? そんなものどっかやったよと言うことがよくあるので投稿は不定期(予定)です。
「お……おい……」
? 誰かに呼ばれてる?
「おいっ! 伊織っ!」
「うわっ」
跳ね起きると人のよさそうな顔に苦笑いを浮かべた同級生が俺を見下ろしていた。
寝ているうちにHRは終わってしまったらしい。
教室に残っている人はすでにまばらで時計を見るとすでに十分ほどHR終了時刻を過ぎていた。
寝ぼけた頭で現状確認していると、「なぁポテト食いに行かねぇ?」と何の脈絡もない言葉を投げかけてきた。
「えっと、一応聞くけどなんで?」
「腹減ったから!」
そういえばこういうやつだったなと思いながらどうにか「今日もあそこに行くから」という返事を口にする。
「今日もあの図書館行くのか? よく飽きないな」
「飽きるわけないよ! あそこは宝の山だよ!?」
「確かに本が大好きなおまえにとってあそこは居心地良いんだろうけどよ……」
そう、俺は本が大好きなのだ。一日中本を読んでいても平気だし書くことも時間を忘れて楽しめる。
「おまえも本好きになればあそこの良さがわかるよ!」
「本を読むより体を動かすほうが好きなんだよなぁ」
そしてこいつは運動が大好きと好みが正反対だ。あいつが好きなことは大体俺は嫌いか苦手かのどちらか、その逆も然り。 こうやって仲がいいことが不思議なくらいだ。
「まぁそういうわけで行くはまた今度でいいか?」
と言うとこいつは目に見えて落ち込んだ。かと思うといきなりばっと顔を上げてしつこく詰め寄ってくる。
「なぁそんなこと言わずに行こうぜ、一人で食うより二人で食べたほうが楽しいしさ!」
「はぁ……まぁいいけど買いたい本あるから五時までな」
「よっしゃ! じゃあさっさと行こうぜ!」
「押しに弱い俺も俺だが少しは遠慮してくれよ……」
数時間後―――――
「はぁーうまかった!」
「あの大量のポテトやらなにやらはどこに収まってるんだ……」
トレイに山積みにされた食べ物がものの数時間で食べつくされる光景に思わずつっこむと満足そうに笑顔を浮かべながら「さあな、もう消化しちゃったんじゃね?」と言ってのける。
「早すぎだろ……」
「それより本を買うとか言ってたけど何買うんだ?」
「よく読んでるラノベの最新刊だよ。今日が発売日なんだ」
「あれ面白いよな。ほんとおまえが選ぶ本に外れはないな」
なんて他愛のない会話をしながら横断歩道を進んでいると強い光が横から二人を照らした。
目を細めながら見ると明らかにスピードを出しすぎた車がこちらに向かってきていた。
「あぶねえっ!」と言いながら隣の友人を突き飛ばしたのが最後にできたことだった。
――――――――――――――
あれ? 俺どうなったんだ?
確か暴走してる車から友人をかばって……
周りを見てみると、見たこともない景色だった。アンティーク調のタンスや日本ではお目にかかれないであろう暖炉など、テレビで見たヨーロッパのような雰囲気の部屋が目の前に広がっていた。
「ここどこだ!?」
思わず叫んだが全く音が聞こえなかった。それどころか体が動かない。困惑していると、
「アー、アー」
「ん? 赤ちゃんの泣き声? なんか頭に響いてくるな」
一体どこに赤ちゃんがいるんだろうと思い自由にならない身体ながらも周囲を見ようとしていると、
「あらあら、どうしたの? アンリ」
赤ちゃんの母親らしき声とともに浮遊感を感じ、俺はようやく状況をおおよそ理解した。
どうやら俺は車に引かれ死に、転生してしまったらしい。だがなぜ体が動かないのだろうと思ったが、じっくり考えるとこれじゃないかという仮説が一つ浮かんだ。
「俺、この子の第二人格として転生したのか?」
俺の呟きに応えるようにアンリと呼ばれた赤ちゃんの泣き声が強くなる。
「まじかよ…… とりあえず現状の再確認とこれからどうするか、だな。まだ赤ちゃんだし情報収集は難しいし…… いや、言葉はわかったんだ、アンリの周りの会話から情報を集められるかも……」
まずはこの世界の情報を集めることを目標に俺の異世界生活は始まった。
そして二年後――――
俺はこの世界について大体把握することができた。この世界は「アンクレット」というらしい。
アンクレットには俺がよく読むファンタジーもののように剣や魔法が存在し、エルフやドワーフなどといった多種多様な種族が暮らしている。
魔族もいるようだが必ずしも悪というわけではなく、人の世界に生きる者もいる。
アンクレットには貴族制度があるらしく、俺のいる家は侯爵家の庶子の家系らしい。
庶子ではあるが、本家との仲は悪くなく、寧ろ週一で会うくらいには仲がいいようだ。
そして、アンリも五歳になり、しっかりと自我が確立してきた。性格はマイペースでいつものんびりとしている。
容姿はといえばウェーブがかった茶髪が肩まで垂れ、薄い緑色の優しそうな瞳もあってフワフワとした印象の可愛らしい女の子になっていた。
レオン・シルヴレンなどの近所に住む子供たちと仲よく遊んでいるが聞いてびっくり、彼は公爵家の長男なのだという。
公爵家の長男が護衛もつけず日暮れまで遊んでいて「それでいいのか公爵家!?」と思ったのは秘密だ。
おれもただ情報を集めたわけではなく、どうにかして体を動かせないかといろいろ試した結果、アンリが寝ている時に入れ替われることができた。
ずっとアンリを観察していたおれはアンリを信用することにした。
どうせこのまま何も変わらないよりもアンリに話しかけてみようと思えたのだ。
アンリが寝室で一人になったとき、おれは二年ぶりに声を出した。
「こんばんは、聞こえてるかな?」
「っ、誰ですか~?」
二年ぶりに出した声はちゃんとアンリに届いたようで、不安そうにしながらも強気に返事を返してくれた。
「落ち着いてって言っても難しいだろうけど静かに聞いてくれないかな。おれは君の別人格みたいなんだ。君が三歳の時から君を見てきたんだけど君が信用できると思ったから今話しかけてみた」
おれは前世についてや体が欲しいことをアンリに説明していった。
「つまり~、あなたは別の世界から来た方で~、自分の意思で私と離れることができないから~、身体が欲しいと」
「虫のいいお願いだってわかってるけど、頼む!!」
アンリは少し考えてからこう言ってきた。
「いいですけど~、こちらのお願いも叶えて欲しいんですけど~、それでも~いいですか~?」
「俺に叶えられる範囲なら何でもするよ。約束する」
「わかりました~、約束ですよ~?」
今日はもう寝ることにして明日アンリの両親に相談することにした。




