シルト・ポワニャール
ーー圧倒的威圧感。相手を射抜くような鋭い双眸。腰に2本のククリナイフを収納し左腕にはオールブラックの盾を装備している。
あまりの覇気に思わず身を硬くする。
「あらあら。怖がらせるつもりは無かったのだけれど。ただ、何処の馬の骨とも分からない人間をパーティに入れるのは嫌でしょう? だから少しだけ私の力をお見せしたのよ」
風船の空気を抜くかのようにスーっと威圧感が消えていく。
よく見ると案外美人のお姉さんだ。30歳前後だろうか。豊潤な胸に加え、唇の下にあるホクロが大人っぽさを際立たせる。
「こ、こんばんは。パーティリーダーのサトウ・タケルです。
物凄い威圧感でしたね...貴方が強いのは十分に分かりました。
しかし、このパーティーはまだ駆け出しで、正直言って弱いです。貴方程の実力がある方が在籍すべきパーティでは無いと思いますが...」
この女性がパーティに入ってくれれば、かなり心強い。しかし、駆け出しのパーティにこんな女性が所属して良いのか。
「そうね。今のこのパーティーは吹けば飛ぶような弱さよ。けれども、そちらの魔術師の女の子には、史上最高とも言える伸び代がある。
そんな人が駆け出しのうちにモンスターに襲われ死亡でもしたら勿体ないわ。
将来の有望株を育てるのも重要な事よ」
なるほど...しかし何故そんな事をこの人が危惧するのだ。そして何故水町さんが強い事を知っている。
「申し遅れたわね。私はアストライオス帝国近衛騎士団の影を担当するシルト・ポワニャール。今回、国から貴方達のパーティに入るよう命令されたのだけれど、仲間にして頂けないかしら」
そう言うと、シルトはカードを提示して来た。
~アストライオス帝国 団員証明証~
氏名 シルト・ポワニャール
団員番号 No.00925
役職 影 隊長
スタミナ 5000
物理攻撃力 10000
防御力 8500
メンタル力 3999
判断力 2000
魔法 600
加護 先手必勝
特殊能力 威圧感
単独主義
驚異の切れ味
鉄壁の防御『盾』
難敵キラー
(加護・特殊能力説明)
先手必勝・・・自分が繰り出した最初の攻撃が必ず命中する。敵が先手を仕掛けた場合、敵の一手目は絶対に当たらない。
威圧感・・・威圧感を与え、相手を怯ませる
驚異の切れ味・・・ナイフ又は剣を使用する際攻撃力+2000
鉄壁の防御『盾』・・・盾を装備した際に受けたダメージを半減する。
難敵キラー・・・自身より強い敵が相手の時全ステータス+1000
ーーは?強すぎだろ。ゲームで言う課金者様だけが仲間にできるカードじゃねーか。
けど、仲間にしないという選択肢は無いな。
「それでは、今日からよろしくお願いします、シルトさん」
「あ、私は水町結花です。よろしくです」
「仲間なのだから、タメ口、呼び捨てで構わないのだけれど...改めてよろしくね。ふたりとも」
こうして俺たちのパーティに帝国最高峰の影「シルト・ポワニャール」が入隊した。