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仲間がいるから、冒険が楽しい。  作者: 堕天使ピエロ
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同級生との再会

「君、B組の水町さん!?」


まさか、こっちの世界で日本人に遭遇するとは。


「もしかして...A組の佐藤くん?」


水町さんは、整った顔立ちでロングヘアをポニーテールにしている。気品があり少し大人っぽさを感じるが、笑うと可愛いと男子の中で評判だ。


正直、水町さんとは話したこともないし今後関わることもないだろうと思っていた。


しかし、そんな相手でも異世界で出会うと嬉しいものだ。下手にクラスのいじめっ子と遭遇するより、どんなに良いか。


休日に街へ出かけたら偶然友達に出会って、お互いに手を振る。その時の心情に近いものがある。


「そうだよ。改めまして、俺はサトウ・タケル。けど、どうして水町さんがこの世界に?」


「えっとね...今日の朝、池に落ちたニワトリを助けようと池に飛び込んだら私が溺れちゃって...それで気が付いたら目の前に赤髪の少女が立っていてーー」


なるほど。飛び込まなくても助けられただろうし、挙句の果てにニワトリは自力で陸に戻ったと言うから水町さんの死も報われない。


唯一分かることは、俺は転移、彼女は転生と若干の誤差はあるがトイレの女神によってこの世界へ送られた事に変わりないようだ。


俺が昨日街に着いた時刻より少し早いが、それは服を作る必要が無かったからだろう。


「聞くまでもない気がするけど水町さんは転生の特権として、何の能力をもらったの?」


「お察しの通り、全属性魔法適性にしたの。私、魔法使いになるのが小さい頃夢だったの」


全属性魔法適性か。俺は加護を選んだが、遠距離攻撃,サポート,回復を1人でこなす人物がパーティに居てくれればどんなに心強い事か。そしてなにより、水町さんは美少女だからね。


「水町さん、良ければ俺とパーティを組もうよ。水町さんが居てくれれば、パーティの戦力はグッと上がると思うんだ」


なんだろう、凄くむず痒い。女の子をデートに誘うってこんな感覚なのか?


「・・・・・・うん。私で良ければ力になるよ。これからよろしくね」


一瞬の間が空いた後、パーティへの参加を決めてくれた。


もし仮に“嫌です”なんて言われたらショックで引きこもり生活になる所だった。まあ、今の俺には引きこもる事ができる家すらないのだが。


「ここで長話するのもアレだし、冒険者ギルドに行こうか」


「うん。冒険者にならないと、クエストも受注できないものね」


「ああ、ギルドに向かいながら少し話そう」


2人仲良くギルドを目指して歩く。女の子と一緒に街を歩くなんて人生初でめっちゃ緊張する。


「あの、サトウくんはこっちの世界に来る時に何をもらったの?」


「俺は加護にしたよ。まだ、何の加護を授かったかは分からないけど」


「そっか」


水町さんも緊張しているのか会話が繋がらない。お互いに何も話さない時間がとても気まずい。


「そうそう、言い忘れてたけどギルド登録料が銅貨1枚必要になるんだった。」


「え... 私お金ないよぉ」


「うん。俺もだわ。けど、救済処置としてギルドに併設された酒場でバイト出来る。だから冒険者になる前に取り敢えずバイトだな」


時給がいくらか聞くのをすっかり忘れていた。


露店の価格から推測すると銅貨1枚が大体500円。そう考えると1時間で銅貨2枚と考えるのが妥当か。


俺だけ働いて、水町さんにギルド登録料と晩御飯を奢っても良いのだが水町さんも今日は暇だろう。どうせ暇なら一緒に稼いでもらって損は無い。


「良かった... 異世界召喚初日からいきなりホームレスになるかと思ったよ」


水町さんが恐ろしい事を言ってくる。


露店を眺めつつ、ギルドへ到着した。


俺は受付にいるアリスに水町さんとパーティを組みたい事、今日の夜に水町さんにもバイトをしてもらいたい事を話した。


「分かりました!にしても、早速女の子を引っ掛けて来るとはタケルくんもやるねぇ」


引っ掛けるって...隣では水町さんが赤面している。


「や、やめてくださいよ! 引っ掛けるだなんて人聞きが悪い」


「ふふっごめんなさい。ところで、今から夜の仕込みをお願いでませんか? 仕込みのバイトをする予定の冒険者が負傷してしまったのです。もちろん、時間外手当は支給されます」


俺としては構わない。初期資金が多いに越したことはないので、むしろラッキーだ。


「うーん、どうする?水町さん」


「私は、夜の仕込みしたい。もし、私達が断ったせいで今日の酒場のメニューが減ったりしたらお客さん可哀想だもん」


アリスも“うんうん”と頷いている。


「じゃあ、仕込みで決定だな。アリスさん、案内をお願いできますか?」


「はい!喜んで!」


俺と水町さんはアリスの後に着いてバックヤードに入る。


「こちらが男性用の制服、こちらが女性用の制服です。この制服は装備の加護を持った職人が手作りした品で、自然とサイズが合うのでご安心ください。」


ロッカーに入り早速着替えてみたが、何とも言えないフィット感がある。ダボダボでもなくパツパツでもない。本当に調度良いのだ。


俺が着替えを終えて暫くして、水町さんもロッカーから出てきた。


先程までの服装も似合っていたが、白を基調とした服もよく似合う。美人は何を着ても似合うものだ。


その後、俺と水町さんは料理のレシピを教わった。


聞いたことの無い動物(魔物?)の名前もあるが、何とかなるだろう。

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