二人の関係
今回は二人がクラスの中でどんな関係なのか書きました。
朝のホームルームが終わってからは誰とも話すことはなく、
始業式、入学式とが無事に終わった。
「やっと帰れる」
自然とこんなつぶやきをもらしてしまった。
「そうだねー。始業式とかって長く感じるよね」
返事が返ってきた。
またお前か大江西。頼むから構ってこないでくれ。
こういう時は無視するに限る。
華麗なスルーをきめて出口を目指した。
だが、奴が見逃してくれるはずもなく、
「なんで無視するのー」
追いかけて来やがった。
なんで無視するかって?
お前と話したくないからだよ。
嫌われてること位気づけよ。馬鹿なの。
そんなことが言えるはずもなく、
「聞こえなかった」
「そう。まぁ、そんなことよりさ今度一緒に遊ぼうよ。」
「やだ」
なぜ俺がお前と遊ばないといけないのだ。
そもそも俺に他人と遊ぶなんて選択肢は存在しない。
それに、これ以上話していても面倒だ。
会話を終わらせるテクニックその1を使おう。
それは、挨拶を言って逃げる。である。
俺が一年の頃の経験から編み出したテクニックだ。
「さよなら」
さすがに奴も俺に会話を続ける気がないことがわかったようだ。
「じゃあねー」
挨拶が返ってきたがそれはいいとしよう。
なぜなら今俺は最高に気分がいい。
奴にも俺のテクニックが有効だとわかったからだ。
これで奴の対策を練ることができる。
今日は一人作戦会議だな。
* * * * *
帰っちゃった。
どうやったら話してくれるかな。
やっぱり声をかけ続けるしかないのかな。
「おーい西帰ろうぜー」
「今行くよ」
具体的な方法を考えるのは後にしよう。
僕は手早く荷物をまとめて友達と一緒に下校した。
それから毎日僕は翔くんに声かけ続けた。
でも全然相手にしてもらえず、すぐどこかへ行ってしまう
何かいい方法はないかな。放課後まで考え続けた。
···思いつかないな。
でも諦める訳にはいかない。
翔くんにみんなといることの楽しさを知ってもらわないと。
だから今日も僕は声をかける。
「最近授業難しくなってきたよね。翔くんはどう思う?」
「普通」
普通って言われると返しにくいな。
「じゃあ今度勉強教えてよ」
「嫌だ」
「ちょっとだけでいいからさ」
「嫌だ」
「なんで嫌なの」
「嫌だから。もう帰るわ」
また逃げられてしまう。
そうだ。
逃げられるなら、逃がさなければいい。
「ちょっと待って」
「何」
ちょっと機嫌が悪くなったかな。
でもここで押しきれれば、いける。
「テスト前だけでいいからさ。お願いします」
「····考えておく」
「ありがとう」
「帰る」
「またね」
作戦成功。
多少強引でもぐいぐいいった方がいいみたい。
これで、なんとか遊びじゃないけど勉強の約束はできそうだ。
いつがいいかな。
今から予定を考えるのが楽しみだ。
まぁ、今4月下旬だから5月下旬のテストまで1ヶ月ぐらいあるんだけど。
* * * * *
今日のあいつはしつこかったな。
会話を終わらせるテクニックその2。
相手の質問に「普通」と返す。が効かなかった。
ほとんどの奴は「普通」と返されると、
反応がしにくくて会話を諦める。
あいつは話題を変えやがった。なかなかやるな。
なんて感心してる場合じゃない。
勉強を一緒にやらないといけなくなってしまう。
この際、勉強は1回だけならやってもいい。
問題はこれ以上約束をしないようにする方法だ。
もっと会話を終わらせる方法を考えておかなければ。
もう放課後か。
昨日の夜からずっとかんがえているが、
まだ2つしか思いついていない。
でも、元々の2つとあわせて4つもあればなんとかなるな。
そろそろ話しかけてくる頃だな。
「翔くん。昨日の返事は決まった?」
「一回だけ二人でなら」
「ありがとう。詳しい予定はまた今度決めよう。
でさ、明日からゴールデンウィークだから一緒に遊び行こうよ」
「一回だけといった」
会話を終わらせる方法その3。
相手が違う誘いをしてきたとき、
あらかじめ一回だけと言っておいてそれを理由に断る。
「そうだね。じゃあまた今度遊ぼうね」
今度なんてない。一回だけだ。
まあいい明日から休みだ。こいつと会わなくてすむ。
「じゃあな」
これから一週間俺の自由な休みが始まる。
どうだったでしょうか。
感想(批評も歓迎)を頂けたら嬉しいです。
次回はゴールデンウィークの話になります。
なるべく早く続きを書けるよう努力いたします。