出会い
視点が切り替わる部分があります。
読みにくいかもしれませんが、御容赦ください。
俺は座席表を見た。
だが、クラスメイトの名前は一切興味がない。
ただ自分のクラスと席さえわかればいい。
二年四組、一番窓側の一番後ろ。最高の席だ。
ぼっちはあまり目立ってはいけない。
だから、座席表の前なんて長居は無用だ。
さっさと教室に向かおうとしたが、
残念ながらできなかった。
滅多に呼ばれることのない俺の名前が呼ばれたのだ。
* * * * *
僕が座席表を確認していると、隣でも見ている人がいる。
名前は確か上山翔くんだったはず。
同じクラスになったみたい。
しかも僕の一つ後ろの席らしい。
これから仲良くするためにあいさつをしておこう。
「翔くん」
「何」
「同じクラスの大江西ですこれからよろしく」
「···よろしく」
「じゃあまた後でね」
* * * * *
なんか、急に話しかけてきたと思ったら、
自己紹介してどっか行きやがった。
さすがに冷たくしすぎただろうか。
だが、ぼっちとしては返事をしただけいいと思ってほしい。
ぼっちの会話の特徴は、
返事をそもそもしないか、一言だということ。
なのにあいさつを返してやったのだ。
まぁ、仲良くする気はないが、社交辞令というものだ。
もう話すこともないだろう。
話すといえば、なんだか周りの話し声が増えた気がする。
そういえば、まだ座席表の前にいるままだった。
また誰かに話しかけられても面倒なので、
今度こそ教室へ歩き始めた。
教室の中には、すでに半分以上の人がいた。
自分の席に座って静かにしている者。
近くの席の人と話している者。
さらにはさっそくグループをつくり騒いでいる者。
さっきの大江西とやらは窓際で誰かと話しているようだ。
リア充オーラがプンプンしやがる。
俺は人と話したくないのでさっさと席に座った。
しかし、また俺に話しかけてきた奴がいた。
* * * * *
僕が教室に入ると、前同じクラスだった友達が話しかけてきた。
その友達と一緒にみんなにあいさつをしてまわった。
これで、だいたいの人と仲良くなれたかな。
あいさつが終わって自分の席で荷物の整理をしていたら、
みんなが集まってきた。
その人達によると、このクラスの女子はレベルが高いそうだ。
でも僕にはあまり関係ないな。誰であれ、仲良くするんだから。
そんな話をしていたら、
足音が近づいてきた。
誰かと思ったら、さっき座席表の前であいさつをした翔くんだった。
でも、翔くんは誰とも話さずに座ってしまった。
席が近い者同士仲良くしないと。
「ねぇ翔くん。一緒に話そう」
「なんで」
「その方が楽しいよ」
「別にいい」
断られてしまった。
でも、まだ諦めちゃいけない。
こういう時は相手がおれるまでねばり強く話しかけることが大切だ。
また話しかけようとしたら、
「ねぇ西くんちょっといい」
廊下側の方にいた女子達が声をかけてきた。
さすがに断る訳にはいかないので、
翔くんに、
「また後でね」
とだけ言って、廊下側へ歩き始めた。
* * * * *
「また後でね」だって、何回話しかけてきたら気がすむんだ。
今のは結構冷たくしたぞ。
それなのに「また」なんて阿呆か。
それに、その方が楽しい。だと、ふざけるな。
俺はお喋りをして楽しくなるとは思わない。
逆にお喋りをしていた方がつらい。
あいつが本当に楽しいと思っているなら、相当な馬鹿だな。
相手が話したことが本心だとは限らないのだから。
罵倒が一段落したところで、周りを見回すと、
なんだか俺の方をチラチラ見ながら話してる奴がいた。
俺のファンにでもなったのだろうか。
まぁ、そんなことはありえない。
どうせ俺の陰口だろう。
きっとこんな内容だ。
「なにあいつ感じわりー」
「せっかく西くんが話しかけてあげてるのにね」
「調子のってんじゃねーぞ」
まぁ、こんな感じ。
あいつと違って俺は頭がいいので、ここまで会話の内容が予測できる。
なんて自画自賛していたら、先生がきた。
そしたらあいつがこっちに歩いて来やがった。
また話しかけて来るのかと思ったら、俺の前の席に座った。
よりによって前の席かよ。
厄介なことになりそうな予感がする。
先生がホームルームを始める直前、
あいつは俺の方を向いて言った、
「これからよろしく翔くん。仲良くしようね」
その一言のせいで、
頭の中が悪口で埋めつくされて、先生の話が少しも頭に入ってこなかった。
視点が切り替わる部分には注意しましたが、
どうだったでしょうか。
感想が頂けたら嬉しいです。