ー3ー
クラクラした頭を揺さぶり起こして
目を開けると私たちは体育館にいた。
私と雪宮さんは確か先生に呼ばれて付いて行った時何者かに何かを嗅がされてそのまま意識を失った。
雪宮さんは、大丈夫だろうか。なんて考えよりも私の頭はどうしてここにいるのかの状況整理のためだけに回っていた。
「春…ちゃん?」
声が後方でする。
振り向けば雪宮さんが優しく笑ってくれた。
雪宮さんは案外近くにいたみたいだ。
「雪宮さん。」
私が後ろに振り返って雪宮さんを呼ぶと
思いついたようにハッとして喋り出した
「あ、花って呼んで?」
「…は、花?」
久々に人のことをこんなに親しく呼ぶのが恥ずかしくて、私は下を向いた。
そんな私を見て花はクスクスと音を立てて笑った。
何がそんなに面白いやら。
「春ちゃんって…やっぱり可愛いね。」
嫌味なのか…それとも天然なのか
私は花の言葉を受け入れられなかった。
だって私より可愛い花が私のことを可愛いと言ったのだから。
あまり現実味のない言葉な気がして信じることが出来なかった。
「私は花の方が可愛いと思うけど。」
「え?私?」
驚くように見開かれた目。
普段言われなれてるであろうに…
なんでこんな反応をするのか。
さっきのもやっぱり、私にとっての嫌味なんだろう。
「それよりもさ…なんで私たち体育館にいるかわかる?」