45話 マグマと教師
「マグマです。失礼します。」
つい前までは、高校生だったため、職員室に入るのは緊張する。
しかも、いきなり二日目に職員室に入ったからか注目されてしまった。
「こっちこっち~。」
手でおいでおいでしながら呼ぶ先生。
「さてと。」
椅子をまわしてぐるっとまわる。
「じゃあとりあえず座って。」
言われるままに勧められた椅子に座った。
この椅子もちゃんと座れるし、ちゃんと回る上クッションもついている。
姫の細かい配慮がいろんな意味で怖い。
「ええっと・・・。」
「ああ~。ごめんね?ちょっとマグマちゃんを呼ぶ口実を作りたくてね。」
話を切られて先生が話し始めた。
「ちゃんと自己紹介してなかったよね。初日に挨拶したとおり、モコモコって名前だけど、モコでいいからね。それからこれ。」
ちらっと犬のバッチを見せる。
「それって!?」
にこっとモコモコが笑う。
「びっくりしちゃった。ギルドハウスにいっても誰もいないし、ドクロさんが一瞬帰ってきたかとおもったら、一言『モコ!帰ってきたか!学校の教師よろ!』っていってどっかいっちゃうし?ギルドメンバー増えてるし?しかもギルド名簿にマグマちゃんの名前があるし。ってことでタイミング計らって・・・。」
すごいしゃべりはじめた。相当ストレスがたまっていたみたいだ。
「せっ先生落ちついて落ち着いて!」
はっと気づいたのか深呼吸をしてまた話し始める。
「ああそうそう、ごめんね。久しぶりにドクロさん以外のギルドメンバーと話ができてうれしくてつい??みたいな?ちょっといろいろとストレスが・・・。でもマグマちゃんみたいなかわいい子がメンバーに入ってよかったわぁ。」
おお、もしかしてルシアンのメンバーの中ではまともなメンバーじゃないだろうか。
光明の兆しがでてきた。
「あと二人ほど男性が入ってますよ。」
「興味ない。男?死ねばいいんじゃないかな?」
いきなり雰囲気が変わった。あれだ目に焦点があってない。
よくいうレイプ目というやつだろうか。
「え?え?いやでもドクロさんも男性。」
「マスターは男じゃないですよ?あれは神ですから性別はありません。」
だめだこの人。やっぱりうちのメンバーだった。
何か常識のたがが外れている。
「それよりも呼んだ理由って愚痴を聞かせるため・・・?」
パタパタと手を振りながら答える。
「ああ、ごめんごめん。実はそれだけじゃなくてちょっと色々とお願いしたことがあってね。」
「なんでしょう???」
「あっちのエリートコースの件なの。」
思った以上に真剣な話になりそうだ。
エリートコースの話はマグマにとっても耳が痛い。
「明日から冒険者コースとエリートコース合同でレベルあげをするんだけど、ぶっちゃけ溝が大きいのよねぇ。」
そう、まだ1日しかたっていないのにあきらかに冒険者コースとエリートコースは仲が悪い。
食堂の件を皮切りに溝はできている。
「ふう・・・エリートコースだっていったって所詮はノービスの集まりだし。作った理由は「うちの子を預けるんだ!お金を出させてください!」って無理やり渡されたお金だからね。一応出資者という名目でエリートコースってとこにいれとけば、親御さんも納得するだろ、って単純な理由なのにねぇ。」
大人な事情の理由だった。
あまりに大人な事情でちょっと引いた。
「そこでマグマちゃんにお願いしたいことがあります。」
ニコニコ笑いながらこちらを見ている。
これはあれだ、マグマさんが怪しいことを考えているときと一緒だ。
「なんでしょう?」
「簡単なことかな。もしあっちがなんかしてきたらギャフンといわせちゃいなさい。許可します。ここの学校の資本やら、なんやらがかかわるからほっとこうって事なかれ主義をしないでってことかな。でもマグマちゃんもうちのメンバーだからなんかあったら気にせずにやっちゃいそうだけど・・・。つまりギルドとしても許可しますってことで。」
つまりギルドお墨付きでなにかあったらある程度は暴れていいということだ。
よく考えてみると、この学校の最大の出資者はルシアンであり、作成者はルシアンである。
そのメンバーである自分が我慢する必要はないわけだ。
「うふふふふ・・・なんか楽しくなってきた。」
「ふふふ・・・あの鼻っ柱折るときどんな顔をするかのぉ?」
「さすがモコモコ殿、おぬしも悪じゃのぉ・・・。」
どうやら先生方にも格差によるストレスがあるらしい。
ただこの二人に限っては関係ないのでどこでそのカードを使おうか黒いオーラを放っている。
「とにかくその点はよろしく頼むわね。あっあと私のことは内緒にしといて。」
そう、ルシアンのメンバーの中でも彼女は特殊な部類に入るのだ。
俗に言うあまり知られてくない二つ名がある。
二つ名は『沈黙の魔術師』という。
ついた理由は、攻城戦で戦闘の中、すべて無詠唱で戦う姿からつけられているらしい。
話によると現在最強の魔法スキルでさえも条件次第では無詠唱で行うことができる。
一般人には知られていないが、上位陣には知られているというやつである。
ウィザードロードでも目指すべき姿の完成型というやつだ。
ただ、下手したら恐怖をあおりかねないので、なるべく二つ名を持ってる人は隠すことにしているといっている。
「そういえば、ドクロさんって二つ名ってあるんです?」
「え?聞いてないの?有名だけどなぁ・・・。あっでも定期ログインだったら知らないか。」
う~んっとうなりながら考え込む、教えていいものかどうかを考えているようだ。
「まいっか。あの方の二つ名は「帝王」よ。」
ひどく怖い二つ名が出た。
「他には、「初心者キラー」とかもついてたと思うなぁ。」
なぜか二つ持っているという不思議。まあドクロさんならしょうがないだろう。
「なんかすごくあの人らしいですね。」
「あの方らしいことはたしかだ。」
そしてふと気づいたかのように、マグマをじっと見つめるモコモコ。
「そういえば、マグマちゃんの実力ってどんなんか見てないわね・・・。」
首をかしげながら答える。
「どのレベルかはわからないですけど、ずっと1ヶ月は一緒にいましたよ?定期ログインの初心者ですけど。」
にこっと笑う。
「ええ・・・?!もしかして初心者装備に振り回されてるど素人・・・。いやまさかね。もしかしてただ保護した子・・・?いやドクロさんならありうる・・・。」
何か急にブツブツとつぶやき始めた。
「マグマちゃん。」
「はい。」
ガタっと席をいきなり立つモコモコ。
「ちょっとあなたの実力を見せてもらいたいかな。ちょっといい?」
そういうとそのまま歩き出す。
あわてて、おいていかれるといけないと思ったのかそのままついていくマグマ。
すると、少し5分ほど歩いただろうか、体育館みたいなところにでた。
少し違うのが、透明なドームみたいなものがあるからだ。
「ここは無効化フィールド範囲外ゾーンよ。」
つまることろ、無効化フィールドの中にあるが、戦闘を行える場所ということだ。
「みんな一般職になったら使う場所ね。悪いけど、さっきいったようにマグマちゃんの実力をみせてもらうわ。」
中に入ると、腕を組んでこちらにコイコイと手招きをするモコモコ。
「さっはじめましょうか。」
そして、マグマとモコモコの戦いがはじまる。
まったく進んでませんが、次はドクロさん側となります。




