44話 マグマと授業
疲れていたのだろうか、夜は得に何もなく終わった。
そう、今は初の授業である運動場にきている。
そして冒険者コースだけの人間ではなく、どうやらこの前のエリートコースも一緒にいる。
「はいはい~。皆さん注目ですよぉ~。」
パシパシと手をたたきながら先生が注目を集める。
「ちゃんとみんないますね~。今日は初日の授業です。ただ、みなさんは冒険者コースなわけでして・・・。まずは早急なレベル上げが必要なわけです。」
ふうっと一呼吸をおく。
「ここカナンの周辺は比較的弱いモンスターが多いのですが~。素人が下手に動くとまじで・・・死にます。」
質問です。っと手を上げる子がいた。
はいそこ。っと先生が指を刺す。
「死ぬってことは強力なモンスターがいるってことですか?」
「いい質問かな。じゃあ基本的な説明からするね。さて、皆さんには「瀕死モード」について学んでもらいます。」
瀕死モードの説明がはじまった。
基本的の普通のノービスには基本スキルである瀕死スキルが無い。
それは転生ノービスも同等である。ただ特殊なイベントでのみ取得が可能なのであるのだが、かなりの条件が高い。
ノービスであるドクロさんが瀕死スキルを持っているのはイベント終了済みであるからだ。
ただ、そのイベントを消化するより、さっさと一般職になった方が安全だ。
一般職になれば転職した時点で瀕死スキルを取得することとなる。
「そういうことですので、皆さんには一般職になるまでこの装備をつけてもらいます。」
そしてみんなに装備品である「初心者のネックレス」を配る。
初心者のネックレス:
HP+100、パッシブスキル瀕死モードを取得。
「ふん、俺たちはいらん。」
たぶんノービス装備を持っているのだろう。エリートコースの人たちは受け取らなかった。
あの装備をしているだけでも大きなアドバンテージがある。
それもありかなりずうずうしくなっているのがわかる。
「さて、残念ながらまだ皆様に狩りはしません。本日は基本事項を説明するので集まってもらいました。」
なんでだよ。早急なレベルあげが必要じゃないのかよ。っと文句の声が出る。
「シャラップっ!ゲームなら突貫してレベル上げをすればいいのです。ただもう皆さんゲームじゃないのです。現実だということを受け入れてください。本当舐めると死にますよ。」
にこっと笑いながらいう先生。さすがに笑ってはいるがなにか思うとこがあるのだろうか、言葉に重みがある。
それを察してかみんな黙った。
「大丈夫、明日からは狩りをきっちりはじめますよ。」
そのせりふを聞いてさすがにみんな安堵した。
「基本事項については、エリートコースも冒険者コースも同じなので、運動場に集まってもらったと認識してください。」
そういってから、そのまま黙々と基本事項の説明がはじまった。
「ここは、あるギルドが作成した学校です。いろんな支援をしていることは皆さん知っていますね。ただ2つだけ絶対的なルールがあるので頭に叩き込んでください。」
学校ルール:
1.学校内での私闘は禁止、但し先生の立会いのみ可能。
2.授業以外のフィールドにでることを禁止。
「この二つは絶対守ってくださいね。守らない場合は最悪、停学、退学の可能性があります。注意してくださいね。」
また、毎月ペーパー試験がある。このペーパー試験はここ周辺のモンスター分布図やシュラの国周辺のモンスター分布やモンスターの弱点、ダンジョンの注意点などいろんな方向性がある。
及第点をとることができれば、一般職に転職し、チーム、つまり三人組でダンジョンに入ることが許可される。
このダンジョンはある一定のレベルと一定の権限がないと入れないダンジョンもあったりする。
実は、マグマの持っているルシアンのギルドバッチを使えば関係なく入ることが出来るのだが、まったく使い方を知らないマグマはさっぱりその情報を知らないのが現状だ。
「ふへ~ドクロさんよくこんな短期間でそこまでできたなぁ。っていうかテストぉ・・・。やだなぁ~苦手なんだよなぁ・・・。」
つい、独り言をこぼしてしまった。
「大丈夫!大丈夫!一緒にがんばろっ。」
横でフルーフが握りこぶしをして応援してくれた。
「あ~。はやくダンジョンにもぐりてぇなぁ。」
とにかく最初の授業は注意点とアクセサリーの配布だけで終わった。
二時限目は、スキル説明だ。
「さて、スキルの説明になりますよ。冒険者たるもの基本は覚えてくださいね。」
スキルの種類は、大きく以下に分類される。
1.魔法スキル
2.技スキル
3.フィールドスキル
4.奥義スキル
5.ユニークスキル
6.製造スキル
7.製薬スキル
8.召還スキル
基本的に8つに分類され、職業によって覚える。
もちろんこれから細分化され、拳スキルやパッシブスキルがあるのだ。
ただし、そのスキルはどうやって、どのタイミングで覚えるかは本人の資質によるのだ。ゲームの時では、音声入力により防御型、攻撃型、バランス型と設定をすることで、資質が決定される。
現実となったこの世界では、本人がこうありたいという意識によって資質が決定されるようだ。
つまり、相手を守りたいと思う心があれば、防御系のスキルを、強くなりたいという意識があれば攻撃系のスキルを覚えることができるのだ。
だからこそ、職業選びは真剣にならざるをえない。
(つまり私が今まで使っていたのは、技スキルと奥義スキルだけってことなのかなぁ。)
疑問がわくが、すでにプリントで配られたスキル一覧表を見るとマグマのいっていることは間違いなかった。
(そうなると、このスキルいいな。これだといけそうな気がする。)
何故いままで見せてくれなかったんだろうと思っていたが、なんだかんだでドクロさんは基礎を教えてくれていたので、スキルは二の次だったみたいだ。
何故なら基本的な使い方は自分で考えてアレンジすること、またアレンジしたらどう使うのかという考える力が大事なのだ。
スキル単体で使うとただの大降り攻撃になってしまうのは、さすが熟練者といったところだろう。
レベルは1レベルもあがることがなかったが思った以上に有意義な1日を過ごすことが出来た。
少なくとも基本的な知識は必要だろう。
ただ、ドクロさんが戻ってくるのはたぶん、長くて1ヶ月といったところだろう。
そんな悠長に勉強だけしていて、「勉強してたらノービスのままでした。てへっ♪」なんていった日には折檻されてしまう。
とりあえず明日の狩り次第では、結局ソロに戻らざるをえないのだろう。
「はぁ・・・。でもフルーフちゃんとユウキをほっとくわけにもいかないからなぁ。」
なにせあのエリートコースの子たちが絡んでくるだろうしなぁっと思案していた。
そんな事を考えるとチョークが飛んできてまた、きれいにおでこにヒットした。
「痛っ。」
「はいそこ。ちゃんと授業きく。もぉまたマグマさんかな?ちょっと後で職員室まで来なさい。」
こっちの世界にきて初日で呼び出しとか・・・。
ユウキがすごいニヤニヤした顔で口パクをしている。
(なに??ええっと・・・?お・ば・か・さ・ん???くっなんかユウキにいわれるとすこぶるいらつく!!)
投げられたチョークをなげかえすが、わざと避けれるスピードにしたせいでよけれられしまう。
さらにとなりのフルーフも、
(マ・グ・マ・ちゃ・ん・ユ・ウ・キ・の・い・う・こ・と・は・気・に・し・ち・ゃ・だ・め・。・・・・おおお、まじフルーフちゃん天使。)
ほんわかしつつも、平和に授業は終わり、呼び出されたマグマは職員室に向かった。




