37話 東の谷への依頼
比較的ほかの家よりは大きいが、領主の家は意外にも普通の平屋だった。
結界の中とはいえ、やはり雪がつもってしまう為、平屋のほうがいいのだろう。
ただ、一応領主の館だろうか門番が一人たっていた。
不思議なことに門番は洋風で全身フルアーマーである。
「どちらさまで?」
「首都プロローグからきました、ギルドのルシアンです。領主にお目とおりをお願いしたいのですが。」
ドクロさんが普通に対応する。
ただその対応にまるで変なものを見たかのように驚くバッカーノ。
「高圧的じゃない?!」
むっとしながら返答するドクロさん。
「失礼な。おれはいつも紳士だろうが。」
全員を見るが、全員が目をそらす。
「なっ。」
そういっているうちに門番が戻ってきた。
「どうぞ。案内します。あっ靴脱いでくださいね。」
純和風の内部で無駄にビョウフや掛け軸などがある。
まわりの調度品は領主の趣味だろう。
思った以上に中和した屋敷の内部となっていた。
そのまま、奥へすすむと、竹の絵がかかれた襖にたどり着いた。
そして、門番が正座をしたかと思うと、スッと襖をあける。
フルアーマーが正座で襖をあけるのは思った以上にシュールな光景である。
「どうぞ。中へお入りください。」
中は比較的質素で、囲炉裏の前にぽつんとじいさんがいた。
そう、少しプルプル震えたじいさんがいた。
しかもよく見ると寝てる。
いかにも村長といったじいさんがいた。
「領主様。お客様をお連れしました。」
「・・・。」
「領・主・様。お・客・様・を・お・連・れ・し・ま・し・た。」
「・・・。はて?朝ごはんかの?」
「お客様だといってるだろ。じじい!」
なにかイラッときたのか、門番の口調が強くなる。
さっきまで雅な雰囲気だった為、台無しである。
「なんじゃ、ご飯になったらよんどくれ。」
すぴーっとまた寝だした。
「客がきてると!いってる!と!いうに!!」
門番が激しく揺らす。
とにかく激しくゆらしているせいかガチャガチャなっている。
「起きた~。起きた~からやめるんじゃ。なんじゃ冗談が通じんのぉ・・・。」
ため息をつきながら、よいしょとあぐらをかいて、
いつの間にか手元にもっていたキセルをトーンと叩く。
「客の前でそういう冗談はやめてくれ。それをやって前にほかの領主を怒らせたじゃないですか・・・。」
ふうっと今度は門番がため息を出す。
たぶん、だいぶストレスがたまっているのだろう。
「すいません。ではお話を聞かせてください。」
その後、種による侵食がはじまっている事、そしてそれを抑えていること、シュラの国でも話をしたことの話をした。
「なるほど・・・の。種とな。たしかに危険な話じゃ・・・。ユーリよ。その件を他の街へ伝達を頼む。」
「はっ!」
返事するや否や門番がスッと消える。
「消えた?!」
フルアーマーのくせに恐ろしい速度である。
「まあ、あやつは門番兼隠密兼伝達係だからの。」
「フルアーマーで?!」
あごに手を当てて何かを思い出すかのように答える領主。
「種の件で気になるのことがひとつあるのじゃが。」
キセルをドクロさんの方に向けてしゃべりだす。
「なんでしょう。」
「実はの。村は今特に変わったことがないから心配は無いのじゃがの。このデッカッドーの東の谷に魔族が住んでいるんだが、最近音信不通での。ちょうどその種の問題が起きたころと重なっているのが気になるのじゃ。」
一呼吸おく。そしてまたしゃべりだす。
「魔族といってもうちと交流がある場所じゃ。ちゃんと礼節をもって接すれば何も害は加えりゃせん。お互い食料を交換しあう程度の関係じゃが、なんだかんだで助け合って生きているのじゃ。今の話を聞くと村人にお願いして見に行った場合、かなり危険な可能性も無きにもあらずっといった具合じゃの。そこで冒険者のおぬしらに依頼として様子を見に行ってもらえないかの?もちろんそれなりの報酬を出す予定じゃ。」
少し考え込むドクロさん。
目的は他に種があった場合、避難も考慮にいれなければならない。
最悪、種の破壊。
現状の把握は絶対的に必要であることはたしかだ。
その上で報酬ももらえるのであればこちらとしては一石二鳥であるわけだ。
断る理由はほとんどない。
「いいでしょう。」
デッカッドーの領主に借りを作る意味でもおいしい仕事だ。
「助かるわい。まあ、なにもないのが一番いいのじゃが。これをもっていくといい。」
なにか割符みたいのを渡された。
「谷に入ったら必ず頭上にかかげて敵意がないことをアピールしてくれ。そうすればデッカードーからの使者であることが伝わるはずじゃ。。」
「ふむ?了解した。助かります。」
まあたいがいの攻撃などは回避できるので細かいことはきにしていないのだが、
「魔族は魔族でも魔眼持ちの魔族での。デッカッドーのモノじゃなければ、敵意を向けてくるかもしれんしの。さすがに試したことが無いからなんともいえん。それにさすがの冒険者も魔眼で攻撃されたらひとたまりもあるまい。」
魔眼。気になる単語が出た。
ちなみにゲームのシステムで魔眼という単語は無いし、そういったスキルも記憶にない。
(何か、きな臭いですの。魔眼の魔族なんて噂でも聞いたこと無いですの。)
姫がドクロさんに耳打ちをする。
(ああ、魔眼とか聞いたこと無いな。新しい派生のスキルか・・・ゲームにはないユニーク特性の魔族なのか・・・。もしかしたら、それはそれで新しい可能性ってことか・・・。この依頼、気になるな。)
「では、申し訳ないが頼みましたぞ。」
快く依頼を受けてくれてホッとしたのか、さきほどよりも軽快な口調になっていた。
そのまま、軽い挨拶をして、領主の家をあとにした。
さきほどから10分ほどしかたっていないのだが、
門番もいつのまに帰ってきたのかきっちり定位置にいた。
「聞いてのとおり、種が侵食してる場合は戦闘になるかもしれない。」
領主の屋敷をでた後、外の広場で簡単な作戦会議を開いていた。
子供たちはまたいつのまにか集まってゴランにぶら下がったりしている。
「侵食してない場合はどうするっす?」
珍しく意見をいうゴラン。
「ああ、一応割符を頭上にかざしてなるべく穏便にいこうとおもう。ただ、魔族は魔族だ。あいつらの特性上、戦闘こそ会話が基本概念だから戦闘が起こることは念等にいれといたほうが無難だろう。デッカッドーの使者とは信じない!とか言い出したりしてな。戦いたくて。」
「あと魔眼が気になるですの。効果を知らなくて全滅。とか冗談じゃないのですの。」
うう~んっと頭を抱えながら話すメンバー。
「魔眼って谷の魔族の魔眼だよね~?」
ちっちゃなツインテールの女の子が話しかける。
「ギラって光ったらビームがビーーーって出るんだよね~。」
「え?」
「前にね。魚がとれないときにビーーーっていっぱいうっていっぱい魚くれたんだ!!!」
「それからそれから。目があうと石化するやつがいたり、麻痺したり、急にスピードがあがったりするよ!ゼノンくんがえらそうにいってた!」
ゼノンくんがだれかはわからないが、たぶん魔族側の子だろう。
いろいろ噂や話を聞くと、基本は目が光り、なにかしらの特性がでるのが基本で、状態以上系については、「目が合うこと。」が条件のようだ。
たぶん色々、噂なりもまじっているのだろう。
目からビームをだしたら山がふっとんだとかいうのも、眉唾ものである。
「節操無いけど、まあなんとかなりそうだな。」
「いまのしっかり覚えて、目をあわせるなよ。」
「「「はい。」」」
「とりあえず、時間も勿体ないことだし、いってみるか。」
そのまま、元々ある程度の用意をしてあった為、東の谷に向かってあるきだした。
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