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2話 ノービスとノービスの出会い

景色が目まぐるしく変わっていく。


あきらかにオーバースピードだ。


マグマは完全に固まっていた。


「ここらでいいかな。」


ひょいっと何事もなかったかのように降ろす。


呆然としたまま突っ立てたので声をかける。


「悪いね。ちょっと危なそうだから強制的に移動しちゃった。」


ハッと気づき、手をぶんぶんと両手で振りながら、


「だっ大丈夫!びっくりしただけだから!!!」


路地裏でほとんど喧騒が聞こえない、さきほどの叫び声もほとんど届かないとこまで移動した。


この急激なスピードの正体はノービスのスキルである「韋駄天」。


初心者はモンスターに襲われると即死なんて当たり前な為、救済処置として

逃げるときのみ発動するパッシブスキルである。


使えば使うほど早くなるスキルではあるが、転職した瞬間なくなってしまうスキルであるので普通は育てようとは思わない。

転生を繰り返しまくったドクロさんの「韋駄天」はまさに異常スピードとなっていた。

表示はされないが、固有スキルには熟練度というのがあるのだ。


あの場にいた人たちは二人がいきなり消えたように見えただろう。


「そういえば、マグマさんのステってどんな感じ?やっぱ初期なの?」


状態を聞かないと。


「ん?そうだよ。定期ログインしかしてなかったからね。うち貧乏だから定期ログインはかかしたことないんだ。ゲームはよくわからなかったからやってないけど。」


定期ログイン。これをすることによりゲームをしていると判断される。

つまりこのゲームをしていると、税金、学費、家賃といろいろなものが援助、控除される。

ただ、何故か人件費などの金持ち用の税金は免除されないため、裕福な家庭は定期ログインを行わないとこもあるらしい。


「でもドクロさんもそうじゃないの?なんか同じ格好だし。」

「え?あっ・・・うんまあ似た感じかな。」


とりあえず濁してみた。

もし、あの魔術師並だと怖がられる気がしたから。


しかし、このままだとまずい。なにせ今何も装備していない状態だ。

装備が外れてる状態か。あれ?もしかすると。


ポケットをまさぐると給食袋みたいのがあった。


「よし!」


「どうしたの?」


「待って待って・・・ちょっと待ってね~。」


もそもそと給食袋をまさぐる。

ステータス板みたいのが出てきた。

ただ、それは検索ワードみたいなやつ。


「初心者装備。」

一言言うとずらっと装備欄が出る。


「やっぱこれだな。」

取り出したのは、一つの水晶玉。

名前は「初心者推奨玉」、12月24日に赤い鹿に乗ったおっさんが、途中参加する初心者に配る装備である。


「なにこれ?」


「それ手に持って「オープン」って言って。」


「う~ん、「オープン」」


パカーンと音と共に、鎧、盾、アクセサリー、剣が出てきた。


ちなみにこの装備のスペックはこんな感じだ。


鎧:初心者の鎧

盾:初心者の盾

アクセサリー:初心者の真珠

剣:ノービスブレード


特殊:

初心者装備で鎧、盾、アクセサリー、ブレードを装備していると以下の効果。

HP+500、MP+500、即死回避、ステータスALL+100


これで即死はなくなったはず。


ただ装備をしても見た目がほとんど変わらないのがこの装備の不思議である。


「うわっすごっ!この装備ってわたしより強いんじゃない?!殺られる!?」


「いやいや・・・装備は動かないから。」


とりあえず、知り合いが死ぬのはいやだし、これでこの子はなんとかなるだろう。


「まあ、そういうことで。達者でな。」


「ごめん!!!ちょっとまったーー!」


「ん?」


どうしたんだろうか。助けたし、一応曲りなりにも装備も渡して支援した。


「ごめん・・・ぜんぜんこれから何していいかもわからないし、回りに知り合いもいないし、もうまぢで涙目な私です。か弱い女の子を路地裏にほっぽってそのまま自分はどっかいくわけですか・・・そうですか・・・。」


だからか弱くならないように装備をあげたわけでして。

その装備があれば一般職ぐらいなら対等に戦うことだって出来るだろう。


「その装備があれば一応・・・」


ドクロさんが口を開いた瞬間、間髪いれずに話しかけてくる。


「それにね!あとね!人からもらってバイバイとか私のプライドとか気がすまないというか!もらってばっかってよくないよね。やっぱちゃんと返さないと。」


ビクッ?!


っと反応するドクロさん。


いまだかつて、ただの「初心者推奨玉」でここまで言う子がいただろうか。


否!!!昔はいた。今のゆとり達はどうだ?


否!!!!!やつらはもらってはい終わり。もらって当たり前だったのだ。


ドクロさんは基本的に初心者は大好きである。


やはり、廃神たるもの後輩を育てて、「ドクロさん師匠!!」って呼ばれたいお年頃。


特に可愛い女の子ならなおさらである。


ただ、最近育てたり、支援した初心者たちは「ドクロさん持ってるんだからくださいよ。」「ドクロさんケチじゃね。くれよ。稼いでるくせに。いいじゃんちょっとだけ。ケチ。」など恐ろしいまでに依存をはじめたのだ。


あれだけ、色々したのにもらえないとなると手のひら返し。


最近はちょっとやさぐれぎみだったかもしれない。


「しょーがないなー。一人前になるまでだぞぉぉ。」


かなり気持ち悪い笑顔である。

久しぶりのいい初心者ににやける顔が止まらない。

自覚はしてない。


「うえ・・・いやありがとうございます。」


そうして、マグマ育成計画はスタートしたわけだが。

まずは自分の現状をもう少し把握しておきたい。


「んじゃ、おれに着いてくるんだな?」


「あっうんもちろんだよ。」


「じゃあ隣町に行く。そこにギルドハウスがあるんだ。まずはそこを目指す。」


「へえ~、この世界に家とかも持てるんだね。じゃあマイハウスとかそのうちもてちゃうのかなぁ。」


なにか夢を見る感じで、にやにやするマグマ。


ちなみに普通はもてないけどな。


攻城戦で上位10チームのみ与えられる報酬なのである。

ギルドオーブを守ればまもるほどギルドハウスは大きくなるのだ。


攻城戦というのは、ギルドとギルドが戦い、中にあるギルドオーブを守る側、ギルドオーブを奪う戦いである。

もちろん人と人の戦いであるから、相手もいい装備をもっているし、いろいろな作戦をたててくる。

つまり小さな戦争なのだ。

ただその中でも上位、中位、下位と別れ、下位の人でもなんとか小さなギルドハウスがもてるようになる。


最初は下位で修行をつみ、中位で楽しむ。


上位は何かしら理由があり、雲の上になったやつらが戦う天上の戦いみたいな感じになっている。

ぶっちゃけ、中位以下の人たちが戦う姿を見ると、なにをしているのかすらわからない戦いなのだ。


調子に乗って参加すると入った瞬間蒸発することなど日常茶飯事である。


「他のギルドメンバーもいるかもしれないし、そこに大半の装備おいてるか

らね。」


「なるほど~。」


「んじゃ。早速いってみよーーー!」


そして僕たちノービス二人は、隣町「カナン」に向かった。





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