27話 本当の敵
そのまま床に座り込んだまま姫が話し始めた。
「ガーゴイル召喚はギルドマスターは知ってますの。」
ああ、とうなずく。
「確かガーゴイルを召喚をして設置。近づいたものを攻撃する。だったよな。」
「そうですの。ただ単純にガーゴイルというモンスターを召喚するだけのスキルでしたの。」
なにか気になることをいっている。召喚するだけのスキルでした?
「まて。どういうことだ。」
「実は今はステータスにガーゴイル召喚の派生ができたようですの。」
ドクロさんの目が見開く。
「なるほど…。まずいな。」
ぼそぼそと疑問を感じたのか、読心術を使わずにマグマはキースに聞く。
ドクロさんに話しかけられる雰囲気ではない。
「なんかまずいことがあるの?」
「わたしもわからないのですが…。おそらく…。」
「おそらく?」
「いいですか?「ルシアン」は頂点のギルドです。それはいままでのことでわかりますね?」
「うん。」
「つまり現状スキルや何があるか、どんなアイテムがあるか、どんな武器があるかは全部把握しているもんなんです。」
「そうなの?」
「上位ギルドでは当たり前の知識らしくてガンガンスパルタで教えられましたよ。」
ゲッソリしながら答えるキース。
「つまりあの姫さん…つまり職業のプロフェッサーの頂点である人が予想外の新しいスキルが発現した。」
「なるほど!!つまり下手をすると今後ドクロさんでも予想が出来ないスキルをもつ人がいる可能性があるってこと!?」
うん。っと首を縦にふる。
「そういうこと。あくまでも予想だけどね。」
「大丈夫ですの。結構なひどい条件でしたから私以外は今のところ「ないわ。」系のスキルは手に入れられないと思いますの。」
その条件については聞かなかったが、姫がひどい条件というからには相当ひどい条件なのだろう。
「それより。姫。シュラの国をあんなんにするのはさすがに俺も許せんぞ。」
「なんのことですの?」
「いやだから、お前シュラの国を世紀末覇者っぽくしただろう?」
首をキョトンと傾げる。
「そんなことしてませんですの???あ・・・。」
なにかを思い出したかのように口を手に当てる姫。
「ギルドマスター。途中と『敵』に会いませんでしたの?」
ドクロさんに乗り出すように近づく。
「ちょっちか・・・『敵』??…『敵』…?」
すっとドクロさんの表情が変わる。
いつものように余裕があるわけでなく、かなり怒っている。
「いるのか?この森に。」
「はっはい。一戦ありました。あちらは三人。あちらにもプロフェッサーが。」
ちっと下を打つドクロさん。
「ああ、つまりそいつらがいたからここに逃げ込んで「ないわ。」系を使ってなんとかやりすごしてたのか。」
「はいですの。」
驚愕の顔をしながらドクロが横から声をかける。
「ちょっとまって!うちのギルドメンバーの人でも逃げなきゃいけないやばいのがいるの?!」
うん?っとドクロさんが答える。
「まあ姫じゃしょうがないだろ。ああ、プロフェッサーの特徴を教えてなかったな。」
プロフェッサー:
魔道士からの亜種派生。研究に特価してたため、特質する威力があるスキルは持っていない。ただし、フィールド系や大きな範囲スキル、相手に譲渡、支援、補助、召喚を使いこなす。プロフェッショナル。素人にはおすすめできない。
「つまり、支援や補助系だ。3人相手で逃げただけでも上出来なんだぞ。」
そして、ドクロさんは不敵ににやりと笑う。
「こいつがPTにはいった瞬間、すごいぞ。『敵』が三人いても問題ない。」
「ほえ~。」
大きくはないが、平均ほど胸をそらしてえらそうに答える。
「まかせてですの。大船に乗って安心するのですの。」
ざっざっと近づいて三人に姫が。
「とりあえず三人のステータスとスキル構成を教えるの。」
この後、全員で現在のスキル構成を姫に話した。
どう戦うかも、前衛、後衛、中衛の戦い方。
マグマが実は、1ヶ月しか初めてないことを驚いた。
普通は1ヶ月だと剣士になりたてなのが当たり前だからだ。
しかも、ナイトになっており、さらにはスキルキャンセルを使いこなしている。
「きっ規格外ですの。しかも流星持ちなんて…でも腕がなりますの。」
そう、プロフェッサーのすごいとこはMPすらも譲渡することができる。
プロフェッサーが流星を使うとMPはまったく減らないのだ。
ただし、特質したスキルがないため、持っていても意味がないのが現状。
つまりは流星持ちを持っている前衛職と組むと絶大な効果がでるのだ。
そう、常時流星を持つ前衛が出来るというわけだ。
ちなみにここだけの話しだが、奥義の中で「流星」が当たる確率は、0.05%である。
世界30人いるかいないか…ぐらいの確率だ。
ユニークスキルと言われてもおかしくないスキルである。
「つまり、ここを狩場として『敵』は常駐しているわけだな。」
「ちょっまってまって。」
マグマが気になったのか、ドクロさんに話かける。
「ん?ああ…そか説明してなかったっけ?」
マグアが首を傾げる。
「前におれたちがPKギルド、つまりプレイヤーギルドに嫌な目に合わされて作ったギルドって言ったよな。」
うんっとうなずく。
そうなのか、っと反応するバッカーノ。
「とことん潰したが、その潰したギルドから逃げ出し、集まって俺たちと敵対しているギルド「アベンジャー」つまり、スワリヒ語で復讐者だ。」
少しじっとしていたのか、寒気がした。
「俺たちはむしろおれたちが復讐した方だ。だからあいつらのギルド名は認めない。だから『敵』と呼んでいる。」
「そうですの。あいつらは快楽の為、自分さえ良ければいいやつらの集まりですの。」
「ほとんどが、嫌がらせ、快楽、私利私欲、自分勝手の行動、まるで駄々をこねる子供に力を与えてしまったかのようなやつらだ。しかもこれはゲームじゃない。現実だ。現実で同じことをしているならさらに黙っていられない。」
「わかるっす。」
横から話し出すゴラン。
珍しくしゃべりだすゴラン。
「うちのギルドもPKギルドにやられたっす。それはそう。特徴をきくと…たぶん「アベンジャー」っす。ドクロさんには…話した通りっす。」
そう、ゴランとキースがいたギルドもそうだ。
そこで大きなギルドに入って、復讐を決意した。
そしてなんでもやろうと決意した結果、ノービス狩りの経緯なわけだ。
詳しく話を聞いたあと、ドクロさんはこいつらも救おうと動いた。
「とりあえず…そいつらが原因だな。」
「たぶん…ですの。」
「あとたとえば…街が「世紀末覇者」とかいう設定にフィールドがなったとする。姫。治せるか。」
「ふふふ、愚問ですの。「アベンジャー」ごときに所属しているプロフェッサーの設定なんてちょちょいのちょいですの。」
「瀕死とかしたら設定ってのはリセットしないのか?」
だんまりしていたバッカーノが口を開く。
「瀕死になるたびギルドハウスのシャンデリアとかじゅーたんを直さなきゃいけなくなるですの。」
「なるほど。」
「でもだから妙にモンスターが少なかったんですね。」
神殿に行くまで、たしかにモンスターが少なかった記憶がある。
「つまり、たまたま会わなかったってことか。」
「そういうことになりますね。」
「危なかったっす。」
たしかに、今のPTメンバーだけだとギリギリの戦いになりそうだ。
さらにあちらにはプロフェッサーがいる。
ほぼ疲れなしで戦うことが出来るぐらいプロフェッサーがいるのと、いないとでは差があるのだ。
「そういえば「ないわ。」系は戦闘中でも使えるのか?」
「当然ですの!っと言いたいとこですけど、1体が限界、あと仲間が攻撃しても反応するので諸刃の剣ですの。」
腕を組みながら今後の作戦を考えているのだろう。
よしっ!っとドクロさんが独り言をいう。
「一戦交えるか。キース。サーチの範囲はどれくらいだ。」
「私の実力だとまだ半径2キロってとこです。」
サーチは相手の陣形や相手の居場所を知ることができるスキルである。
ただ、普通はモンスターに使うものだ。
ゲームの場合、ギルドメンバーやPTメンバーの場所はマップで把握出来るのだから。
現実だと画面をみているわけではないのでマップなどは表示されない。
「あっちはたぶん移動狩りをしていると思う。だからサーチをしながら歩けばなんとか会うことになるだろう。」
「そこでぶちのめす。」
しぶしぶと手を上げるバッカーノ。
「提案があるのだがいいか?」
「なんだ?」
何か言いたそうにいうので聞いてみた。
「そこの姫さん。装備はどうなんだ。先に戦ったからボロボロなんじゃないか?」
あっ!っと気づいてみるとたしかに今装備はしていない。
明らかにただの部屋着だ。
「そうですの。元々あまり装備を揃えてませんでしたし、心もとないといえば心もとないですの。」
うん、と頷く。
「提案なんだが。一度ギルドハウスに戻ってから装備を整えるべきじゃないかな。ここをポイントに新しくしとくからさ。」
思わぬ提案に目を見開くドクロさん。
「いいのか?」
ぽりぽりと頬を書きながら答えるバッカーノ。
「全然今まで役立たなかったんだ。たぶん戦闘でも役立つ気がしないんだよな…これぐらいやらせてくれ。」
ニカっと笑って反応する。
たぶん元々は気のいいやつなのだろう。
「わかった。お言葉に甘えさせてもらおう。」
そして、バッカーノが下に小さな円を書き、ポイントとして設定する。
そのあと、また虚空に円を書き、
一度、首都プロローグへ戻るのだった。




