25話 死の森
そのまま、『死の森』に向かう。
さっさと普通の街に戻ってほしいのはこちらも同じ。
あんな街だと観光すらままならないわけだし。
「でもドクロさん。殺すうんぬんの話、ちょっと・・・おかしかったですね。」
キースが口を開く。
「気づいたか。」
「気づきますよ。直してほしいのになぜ生死は問わない!とか反応してるんですか。あの領主。」
「あれはな。あいつ・・・というかうちのメンバーがかけた設定に依存があるか試したんだ。」
首をかしげながら、聞くキース。
「設定。とは?」
「知らないのか。そういうのは詳しいと思ったんだがな。wikiにも乗ってたぞ。実はあるスキルがあったな。まあ本人にきくのが一番だが。周りの事象を操る中、精神にも反映するスキルがあるんだ。」
ごくり・・・と喉がなる音が聞こえる。
「つまりそれが影響しているか会話で試したんだが、設定は有効になっていた。ということだ。」
「っというと?」
「精神に『世紀末覇者』という設定が組み込まれていると、普通であれば『いや!死んでたら困りますよ!』っというわけだけど、『世紀末覇者』っという設定が『死んでもかまわん!報復さえできれば!』っと反応してしまうわけだ。」
「なんかとらえにくいというか・・・わかりにくい感じですが、なんとなくわかりました。」
そんな話をしながら、『死の森』に着々と近づいていった。
西の森、セカンドではまたの名を『死の森』。
死が蔓延している意味でもあるが、死んだものが生き返る森である。
ただ、生き返るというのではなく、アンデットとして蘇るという意味だが。
基本的に多いのが、ゾンビ、スケルトンなどアンデット系だ。
アンデット系のため、いろいろな種類がいる分、戦いにくい場所としてあまりゲーム時代は人気がない。
場所のランク的には『死の森』と呼ばれているが中位ぐらいレベルではある。
まあつまり上位にとっては、ソロ、つまり単独で制覇は可能だろう。
「一応説明は必要かな。」
入り口の前で立ち止まるドクロさん。
「ここは基本的に弱点は火だ。あとは聖なるというか、すごく神々しいものが弱点だ。それっぽいものがよく効く。」
はい!っと手をあげるマグマ。
「神々しいものってなんですか?」
「う~ん・・・例えば、今この首に下げてるクロス。これも神々しいものと判断されて敵は少しひるむ。」
ふむふむとうなずき、ハッ!っと気づいたのかそのまま質問を続ける。
「もしかして私の場合だと、こう・・・十字で攻撃すると攻撃力があがったりするのかな?」
腕を少し組み考える。
たしかにそれはあるかもしれない。
魔法スキルでもクロスさせると攻撃力があがり、アンデット系には追加ダメージを与えていた記憶がある。
「可能性は高いな。ゲームのころのセカンドであれば確実にダメージアップになっていたと思う。やらないよりやったほうがいい。」
「タイミングがうまくいきそうだったらやってみるよ。」
うん、と縦にうなずき会話を再開した。
「質問とかあるか?」
特に無いのか全員首をふる。
「じゃあ入るぞ。ちなみに陣形はゴラン、マグマ、キース、バカ、オレでいこう。」
ぶんぶんっと手を振りながら抗議をするバカ。
「バカと訳すな!!バッカーノって名前があるんだ!」
適当にいったのにまさかあっていたという奇跡。
「うるさいぞ。どうせまともに戦えないんだから黙っとけ。」
そういうがふふんっと鼻を鳴らす。
「ぼくは状態異常系が得意だから役に立つはずだぜ。」
状態異常系、つまり毒、麻痺、呪い、猛毒、火傷など相手にいやがらせや追加系攻撃を与えるスキルだ。
基本的に対人などに大きくダメージをあたえるイメージが大きいが、実はモンスターにはアンデット関係無く、必ず利くため重宝されている。
「ふ~ん。まあ邪魔にならない程度に動いてくれ。」
っといってもこんな中級ダンジョンでダメージを受けたりする装備をしてるわけでも無いし、今のマグマ達だとほぼ1撃で済むため、出番は無いだろう。
「ふふふふ・・・ぼくの強さに震えるがいい。」
なんか中二臭いやつだなっとおもいつつ、先に進んだ。
森の中はほの暗い。
死の森というからかなりおどろおどろしいとおもったがそうでもない。
どちらかいうと森林、樹海に近い。
ただ生者の気配はしない。
今もゴボっと音とともにゾンビが下から這い出す。
出てくるのは、オオカミ(ゾンビ)、人、ヒツジ(ホネ)などである。
「おいっしょっと。」
ゴランが腕をふるって、オオカミ(ゾンビ)は粉砕。
「えいっ。」
炎の魔剣のひとつきで人を焼き、
「ダン。」
指弾の一撃でヒツジ(ホネ)はバラバラ。
やはり、特にバッカーノはやることはない。
「今詠唱中だったんだが。僕の出番はないようだね。」
まあ特に元気なくなったわけじゃないからいいか。
「森の中に入ったのはいいけどさ。」
マグマが何かを気にしたのか声をかける。
「このまま適当に進んでいくの?」
ああ、と気づきポンっと手を叩く。
「説明してなかったな。ここの森はな、ゾンビを倒す以外にあるものがひとつ。奥に神殿があるんだ。」
うんうんとうなずく。
「ぶっちゃけこのダンジョンそこしかない。むしろそれ以外ない。だからそこ以外にいる場所はないわけだ。」
「そっかー。わかりやすくていいね。」
そんなこんなで特に大きな戦いは無く、神殿に到着した。
『トマレ。』
なにかガーゴイルが入り口に座っていた。
そしてこちらに話しかける。
一応はそれに従う。
ちゃんと従うメンバーの中、一人関係なくつっこむやつがいた。
「ばかめ!!モンスターごとき僕たちにそんなくだらない命令をして!!聞くわけないだろう!!!」
「エナジードレイン!」
時空士のバッカーノがHP吸収をする魔法スキル。
「ナイワ。」
パンっ!と音とともにスキルがはじける。
『トマレッテオネガイシタノニ『ナイワ』。』
『エナドレ。エナエナエナ。』
そのまま、エナジードレインが帰ってくるかとおもいきや、キャンセルの連続攻撃でのエナジードレイン。帯が重なり、バッカーノに襲い掛かり、呆然としていたため、直撃。
そのまま瀕死状態になった。
『トマレ。』
そう、モンスターでも特殊の『ないわ。』系モンスターである。
見分け方はすごく簡単。
『プレイヤーに話かけてくること。そして要求してくること。』
なにがどうしてそうなったかわからないがそういうモンスターがいるのだ。
それをみて、ため息を出すドクロさん。
「はあ・・・。ファブニールはちゃんと教育しているのかよ。」
最近マグマに教えたばかりだというのにそれを棚に上げて答える。
瀕死状態では会話できないため、応急をつかってすぐ復活させた。
「ぶはーーーしぬかと思った!」
瀕死だからほぼ死亡してたけどね。
「くそっ!でもまだだ!僕はまだやられてない!!いくぞ!!食らえ!」
ガン!っと拳骨を与えて止める。
「食らえ!じゃねえ!だまってろ!」
スキルでもない普通の拳骨を受けてもんどりかえっているバッカーノ。
実際、瀕死に直でなる場合は、たいがいは痛みがないため、ただの拳骨の方がいたかったりはする。
『トマレ。』
どうやらバッカーノがもんどりかえっているからとまっていると判断していないらしい。
うずくまってようやくとまる。
『ナマエ。イッテクダサイ。』
「ドクロさんだ。」
『ニンショウカクニンシマシタ。ドウゾオトオリクダサイ。』
なんか簡単に通れた。
特に攻撃される様子も無く、神殿の内部に入る。
神殿の中はゲームのときと違い、どちらかというと生活空間であふれてた。
「なんというか、生活空間?」
同じことを思ったのかつい声に出してしまうマグマ。
「一応ここもダンジョンってくくりだから注意しとけ。」
「「「はい。」」」
そのまま進むと、ドアが3つほどあった。
どれも重厚な作りで、3つともあけようとするが鍵がかかっているのか、他二つはあかない。
「なんかわざわざこっちにきなさい。っと誘導されているみたいで尺だな。」
しかし、ドアを破壊してわざわざ押しとおる意味もないため、そのまま通れるドアを通過していった。
『トマレ。』
また、ガーゴイルだ。
そして後ろには恐ろしく大きなドア。
そう大きさでいうと神社の鳥居で豪華な扉が鎮座していた。
なんだろう。
『ナマエ。イッテクダサイ。』
「ドクロさんだ。」
『ニンショウカクニンシマシタ。サイジュウヨウジンブツノタメツウカキョカイタシマス。』
さっきと返答は違うが通れるようだ。
っというかサイジュウヨウジンブツ。最重要人物?
なにかひっかかるものがありながら扉に手をかけた。
起承転結の実は『起』になります。
40話ぐらいまではすべてプロローグとなりますので、お付き合いください。




