1話 首都プロローグへようこそ
中が暗かった分だけ、光で目がくらむ。
「ええと?なんだこれ?」
人というのは、
予想と違う場面になると、こんな台詞をはいてしまうもんだ。
なにせさっきまで、ログインボックスで3D MMO 「セカンド」をゲームしてたわけで、そのあと寝るためにログアウトボタンを押して、そしてログインボックスから出たら…。
そう、知らない見覚えの無い・・・いやなんとなく見たことがあるヨーロッパ風の町並みが広がっていた。
とりあえず、ログインボックスの元の部屋に戻ろうと後ろを振り返ってみた。
「ドアないね?!」
思いの外、冷静な突っ込みをしてしてしまったが、突っ込まないと狂いそうで怖かった為、つぶやいた独り言だろう。
基本、冷静な部類の性格だが、予想外すぎて出た一人ツッコミだと思う。
ふと、周りを見ると同じように惚けてる人、何か叫んでる人、座り込んでる人がかなりいた。
ただ、服装は、服装はゲームの「セカンド」のノービスみたいな人が半数ってとこかな。
何千人、いや下手すると何万人いるんだろう。
いや、良く見ると服装が違う。
魔道士など上位職が1割。
剣士や商人などの一般職が4割といったところだ。
ただ自分は他の5割にはいるノービスだ。
ノービスというのは、ゲームでいう初心者のことである。
最初につく職業のことだ。
格好はただの白いTシャツと小さな胸当て。
靴はただの革靴、ズボンは男女共にハーフパンツである。
そして、気になるのが、ただただ、人口密度がすごい!
「あの~。」
となりの赤髪ノービスな人が話しかけてきた。
年はたぶん自分と同じくらいで高一か、はたまた下かぐらいだ。
たぶん可愛い系の子だが、最近の子らしくなく化粧っけはない。
それに問題無いことに日本語のようだ。
「はい?」
「ここって何処なのかわかります?
定期のログイン終わって、
ログインボックスを出たらいつの間にかここに立ってたんですけど・・・いえ!自分でも変なこと言ってるのはわかってるんですけど!
外でたらなんか自分の部屋じゃないし?
セカンドの首都プロローグに似た場所にいるでしょ?
もしかして本当に首都プロローグ?え?意味わかんない。
あれってゲームだよね?あれ?まだ私ログインしてるの?」
そういえばそうか!たしかになんとなく見たことがあるように思えば、言われてみるとまさに首都プロローグだ。
何年も見てきた街並なのに気付かないなんて・・・と自分の観察のなさに唖然とするドクロさん。
相当動揺していたのだろう。
ただ、仕方ないといえば仕方ない。
元々、セカンドは3DMMOといってもポリゴンで作られているのだ。
現実とは違う。
頬に風を感じているうえ、ゲームと違い現実感がある。
しかも上を見ると「ようこそ!プロローグへ。」と看板がある。
ゲームの時はなかったぞ。田舎の観光地か!っとぐらい芸が細かい。
それに、やはりほとんどの人が自分と同じ状況なんだろう。
思い思いにまわりに話し掛けてる人がちらほらいるようだ。
「なるほど、たしかに首都プロローグだな。」
「へ?」
看板を指さしをすると、赤髪ノービスはポカーン~っとした表情で見上げる。
「本当だ・・・?」
なんで疑問風?と思いながら、
まずは動かないと何も変わらないだろう。
「とりあえず、たぶん僕も同じ状況。あとまずちょっと落ち着こうぜ。」
看板みてポカーンとしてた顔から生気が戻り、ハッとこちらを見る。
「?!そうだね。ごめんねいきなり。同い年ぐらいだからつい。」
苦笑いをしながら軽く、手を前にだして握手を求める。
「土井九郎だ。宜しく。「セカンド」だから、一応キャラ名も必要かな?キャラ名はドクロさんだ。」
「あ、ごめん。そか。赤井ほのかです。キャラ名はマグマだよ。宜しくね。」
お互い自己紹介もしないままだったことに気付きお互い自己紹介をした。
一応握手をした。
ふと思い出したかのようにドクロさんがつぶやく。
「これってもしかして・・・ステータスとか言ったら・・・」
青い板みたいのが浮いてる。
うん、浮いてるわ。
何故かポリゴン風であとからつけたようなデザインだ。
「どうしたの?ステータス?」
マグマも違う方向をみて目を丸くしてるところから、他人には見えない仕様のようだ。
虚空をみているが、マグマにも青い板が見えているのだろう。
ステータスは、ゲームから引き継いでるみたいだ。
ステータス
名前:ドクロさん
職業:ノービス
レベル:1
HP :5000
MP :3000
力 :3000
器用:3000
速度:3000
強度:3000
運 :3000
うん、普通のノービスのステータスじゃないな。
まさかメインキャラじゃなくこっちのキャラなのか・・・。
普通のノービスはこんな感じだ。
職業:ノービス
レベル:1
HP :15
MP :10
力 :5
器用:5
速度:5
強度:7
運 :5
我ながらネタに走った部分もある。でも反省はしてない。
そして、わかったことがある。
レベルが1ということは、一ヶ月前のデータであることだ。
考え事をしてると唐突に声が上がる。
「はいはいはい!注目!お前ら注目~!」
なにかすごくニヤニヤしたヒョロイ、痩せた魔導師風のやつが声を上げる。
「おら!ギルド長がしゃべんねんで?注目せんかい!」
さらに盗賊風の男が声を上げる、まあなんかスネ夫っぽくごますりが得意そうだ。
「おれは~上位ギルド「アルティメット」のギルド長のヒューイだ。」
ニヤニヤした笑顔がいらつくが何か情報があるかもしれない。
ただ「アルティメット」なんてギルド聞いたことない。
上位ギルドでギルマスをしていたドクロさんにとって聞いたことが無い時点で、たいしたギルドではないのだろう。
それか上位であるならば国外の上位ギルドだろう。
「まあまあとにかくこれを見てくれな。」
「フレイムストーム!」
目の前に炎の竜巻が吹き荒れ、数名のノービスが巻き込まれる。
フレイムストームは設置型魔法。最終転生まで迎え、
ウィザードロードまでならなければ、使えない魔法だ。
ソロならば、サラリーマンをしながら毎日3時間!なんて育てても無理で、ニートを三年してやっと転職できるほどの職業である。
ノービスなんてかするだけでも蒸発してしまう。
だが、これはゲームじゃなく現実と裏づけるように黒い死体が残っていた。
ゲームであるならばそのままキラキラしながら消えていくのだ。
自分でやっておきながら、ウィザードロードは動揺していた。
「うっ・・・。」
誰かが呻く。
「ひと、ひとごろ、人殺しぃぃ!うわああああ!」
だれだろう。誰かが叫んだ瞬間恐慌状態に。
「あああ!やだやだやだやだやだやだやだ!あれ死んでない!?死んでるよね?!」
さっきまで何も感じていなかったが熱風と死体を見てしまった。
「どけよ!どけよ!つったんでんじゃねえよ!死にたいのかよ!」
あわてて逃げようとしているのはノービスばかりだ。
上級職はたかが1撃で死なないのがわかっているのか、ほとんどが冷静ではある。
だが、その冷静さが今のこの状況はノービス達に恐怖をあおる。
「死にたくないよ。無理だよ。なんでログアウトできないの!ログアウト!ログアウト!ログアウト!」
まずい!暴徒となるか!?
今の状態で、上級職と戦えるかいうと、あのレベルであれば可能ではある。
ただ確実ではない。それに、
ノービスの場合、極端にステータスが低く、上位職に押されただけでも瀕死になるぐらい差がある。
自分はとにかくマグマはまずいだろう。
とにかく離脱が最優先だ。
皆が逃げる方向とは逆に逃げよう。
ただ、離脱するにもステータスに差がありすぎて腕を引っ張ると瀕死になってしまうじゃないだろうか。
それにたぶん上級職がふれただけでも瀕死になるだろう。
下手をしたら死ぬ。
「ひゃっ!なに!?」
この場から逃げようと、走り出した瞬間スキルが発動した。
そうノービスには便利なスキルがあるのだ。
そして仕方なくお姫様だっこをして離脱した。




