誰なの?
パッと見は犬に見えるのに、体毛はハリネズミのように長く硬そうで開いた口から猪のような牙が生えており、尻尾はなぜか鉤爪になっている
どう見てもこれ、犬じゃないよね…?
ってかこんな生き物地球にいたっけ?
あれ、もしかしてここ、
地球じゃ、ない………?!
なんて心の中では叫んでいるけど、現実ではジリジリと静かに交代中です
出発して歩いて多分一時間位、ガサガサと草木が擦れる音がしていると気付いた瞬間には、この犬もどきが目の前に出現していた
どうやら犬もどきは犬と同じく足が早いようだ
それにしても、どう考えてもこれにナイフだけで対抗するのは無理なんだけど…!
刺そうとしても刺さる前に硬そうな体毛が確実に私の手を突き刺さるよ!
初期装備にこいつらはちょっと重荷ではないでしょうか!
そんなこんな混乱しつつも順調調に退却していた私はある程度間が空いたことを確認したら、クルリと方向転換して走る
必死に走る
ひたすら走る
これでも運動は得意な方だ
運動部にも入っているし
そう、だから、
後ろからガサガサ聞こえるのは気のせい
鳴き声がずっと追ってきているのも気のせい
もしかしてついてきているなんて考えちゃかダメ
振り返って確認したいなんて思っちゃダメ!
心が挫ける予感がする
こんな状況で腰を抜かすなんて冗談じゃない!!
けれどもそんな余計な事を考えながら走っていたのが悪かったのか、突然木の根っ子に足がひっかかり転んでしまった
転び方が悪かったのか、手をつく前に顔面が地面に激突してしまい、目の前がチカチカする
あまりにもな衝撃にフラフラしながらも頑張って起き上がろうとした私の上を何かが通った
鼻を抑えつつも顔をあげた私の目の前にいたのは先ほどの犬もどきー…
ヤバイです
非常にヤバイです
慌てて立ち上がるも当然後ろにも奴らはいて
横だ!と思って見たらどうやら円形に囲まれてしまったようで
まずいことになった
でもこんな状況で死ぬなんて冗談じゃない
ここまできたなら覚悟を決めよう
私はポーチから犬もどきを刺激しないようにそろりそろりと手を動かしてナイフを二つ取り出し両手で構える
得物の使い方なんか知らないから適当に握るしかできないけれど、
それでも、
生きてやる
そうして、先手必勝と思い駆け出そうとした瞬間上から人が降ってきた
「ステイ!」
謎の声かけとともに