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『さくら色の忘却録』  作者: アリス・リゼル
さくら色の忘却録 [静江編]
7/23

第6話:『朱鷺色の残照』 ~前編~

 さくらが学校から姿を消して、四日が過ぎた。

 放課後の教室、斜めに差し込む西日が、さくらの空席を虚しく照らし出している。遥香はその席を見つめながら、右のポケットに忍ばせた『銀の針』の冷たさを確かめていた。


 手芸店でこの針に出会ってから、遥香が趣味にしていた裁縫は、目に見えて上手くいかなくなっていた。どれほど丁寧に布を合わせ、一針ずつ集中して進めても、翌朝には糸がするりと抜け落ち、布地がバラバラに戻っている。


(……やっぱり、私には向いてないんだ。さくらみたいには、なれないんだ)


これまでは、そうやって自分の不器用さを呪うことで、自分を納得させてきた。裁縫が上手くできないことは、遥香にとって『自分はさくらのように繊細な世界には触れられない』という、11歳の少女なりの小さな劣等感の象徴でもあったのだ。


 だが、さくらを失いかけた今、遥香の胸にあるのは単なる諦めではない。指先に伝わるこの不気味なほどの拒絶感こそが、今の自分に必要な力だと確信していた。


「……私の腕が悪いんじゃなかったんだな。あんたは、最初からこれを望んでたんだ」


 遥香はポケットの中で、針の頭をなぞった。

 この針を手にしたあの日から見えるようになった、他人の感情が漏れ出す『色』。その極彩色のノイズの中で、唯一、さくらが放つ「繊細な金の光」だけが、遥香の心を惹きつけて離さなかった。

 さくらが持つ、綻びを埋め、誰かを修復するための『金の針』。そして、自分の手に馴染む、すべてを解き放とうとする『銀の針』。さくらが背負う『蒼依織』の高潔な紡ぎとは無縁の自分だが、この針がさくらの持つ金の光と、まるで見えない磁石のように反発し合っていることは肌で感じていた。確信はない。けれど、これはただの裁縫道具ではない。さくらの運命を、あるいは蒼井の呪いを、内側から食い破るための「解体」の牙なのだ。

 蒼井の家がさくらを「完璧な修復師」という檻に縫い込めようとしているのなら、自分はその縫い糸をすべて、この針で引き裂いてやる。そう思えるほど、腹は決まっていた。


 だが、決意と裏腹に、遥香の小さな身体は、放課後の静寂の中で一歩も動かせずにいた。


(……わかってるよ。腹は決まった。でも、どうすりゃいいんだよ)


 乾いた笑いが口をついて出た。

 街外れの丘の上に聳える『蒼井の本邸』。日本を代表する呉服の大家として、この界隈でその名を知らぬ者はいない。有名すぎて、調べればすぐに地図も航空写真も出てくる。場所は、嫌というほど分かっている。

 

 だが、その『分かっている』ことが、かえって遥香の無力さを強調した。


 高く聳える石塀、歴史の重みを感じさせる威厳ある正門。それは、長い年月をかけて築き上げられた「格式」という名の、あまりにも高い壁だった。小学5年生の子供が一人で行ったところで、あの巨大な門の呼び鈴を押すことさえ躊躇われるほどの、静謐で圧倒的な威圧感。門番に『友達を返せ』と訴えたところで、まともに取り合ってもらえるはずがないことは、子供ながらに理解できてしまった。


 警察に駆け込むことも考えたが、すぐに思い直した。自分の右手に宿るこの『色を見る力』や『解く針』の話を、大人の誰が信じてくれるだろうか。『伝統ある蒼井家が、孫娘の記憶を削って人形にしようとしている』などと言えば、空想癖のある子供の戯言だと思われるのが関の山だ。

 さくらを救いたい。けれど、自分の力はあまりに小さく、さくらを縛る伝統と業はあまりに強大だった。場所が見えているのに、決して辿り着けない。さくらがすぐそこにいると分かっているのに、指一本触れることさえ叶わない。その物理的で、かつ絶望的な「距離」に、遥香はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

 苛立ちをぶつけるように、空っぽのさくらの机を拳で叩いた。鈍い音が教室に響き、静寂をかき消す。  さくらがいない。あの時、もっと強く手を引いていれば。あの日、校門で九条に何を言われようと、無理やりにでも車から引きずり出していれば。後悔の泥濘(ぬかるみ)が足元から這い上がり、遥香の心を黒く染めていく。


(……結局、私は見てるだけなのかよ。あいつが、全部壊されていくのを。指をくわえて、ここで……!)


 遥香はカバンを掴むと、逃げ出すように教室を飛び出した。階段を駆け降り、昇降口を抜け、校庭へと飛び出す。肺が焼けるような冷たい空気を吸い込みながら、がむしゃらに校門を目指した。どこへ行くかも決めていない。ただ、この閉塞感の中にいたら、自分まであの良樹のような『無関心』という名の膜に呑み込まれてしまいそうだったから。



 校門まであと数メートルのところで、遥香の足が止まった。


 夕闇の入り口に、一台の黒塗りのセダンが、墓標のように停まっていた。ヘッドライトは消され、エンジン音さえもしない。その傍らに、微動だにせず佇んでいる男。


九条だ。


彼は以前のように、遥香を威圧し、追い払うためのオーラを纏ってはいなかった。ただ、主を亡くした亡霊のように、あるいは何かの決着を待つ執行人のように、冷たい風に打たれながら遥香を待っていた。


 遥香は激しい鼓動を抑えながら、九条へと歩み寄った。


「……九条さんよ。さくらはどこだ。四日も学校に来ないなんて、おかしいだろ」


声が震えないよう、必死に喉に力を込める。九条はゆっくりと顔を上げた。その瞳には、かつて良樹がまだ【乳白色の膜(にゅうはくのまく)】に閉じこもる前、幼いさくらを溺愛していた頃に持っていた『光』の残滓(ざんし)が、微かに、けれど鋭く灯っていた。


「さくら様は、今夜『完成』されます」


 九条の声は、凍てついた湖面のように静かだった。


「静江様が、蒼井の禁忌たる『大修復』を執り行うとお決めになりました。一族が数百年にわたって蓄積してきた業と綻び。それを、さくら様のこれまでのすべての記憶を燃料として、一つの揺るぎない完成体へと縫い固める。……今夜、彼女の中から『さくら』という名の少女は消滅し、ただの道具になります」


「……全部、忘れるってことか。あいつ、自分の名前も、私といたことも……全部、無かったことにされるのかよ!」


 遥香の叫びが、夕暮れの静寂を切り裂く。九条はその怒りを受け流すように、一度だけ、遥香の右ポケット――銀の針が隠されている場所を、射抜くような眼光で見据えた。


「左様です。ですが常上様、それこそが、彼女がこの地獄で生き延びる唯一の術なのです。心が無くなれば、彼女はこれ以上傷つくこともない。父の無関心に、母の棘に、絶望することもない。……それが、私が良樹様から託された『守護』の、一つの結末。……あなたに、それを壊す権利があるとお思いですか?」


「……権利なんて、知らねえよ。でもな、さくらはそんなこと望んでねえ! あいつは、痛くても、苦しくても、人間でいたいって……私の名前を呼んでくれたんだよ!」


 遥香が九条の胸ぐらを掴もうとした。九条はそれを避けることもせず、だが、その瞳には微かな揺らぎが走った。彼は静かに、一通の手提げ袋を遥香に押し付けた。


「私は、静江様のやり方を良しとは思っておりません。……ですが、私自身の手でこの屋敷の法を壊すことはできないのです。私は良樹様との約束に縛られた、蒼井の番犬ですから」


 九条は遥香の耳元に顔を寄せ、凍りつくような低い声で囁いた。


「その袋の中には、さくら様が最後まで(すが)ろうとした『絆』の残骸が入っています。……そして、そこにある『鍵』をどう使うかは、あなたの自由です。……常上様。あなたがその針で何を解き、何を引き裂くのか。私は、私の主君が見るはずだった景色を、あなたに託すとしましょう」


 九条はそれだけ言うと、流麗な所作で車に乗り込んだ。扉が閉まる直前、九条は一度も振り返ることなく、だが確かな重みを持って言い残した。


「深夜、北の裏門は開けておきます。……それが、私の最期の不忠です」


 黒塗りのセダンは音もなく滑り出し、夕闇の彼方へと消えていった。校門に一人残された遥香は、手の中の手提げ袋を、指が白くなるほど強く握りしめた。袋を開けると、袋の中には、完全に色を失い真っ白に変わり果てた『瑠璃色の鈴』が入っていた。そして、鈴に絡みつくようにして、数枚の日記の断片。


『真奈お姉ちゃんは、私を人形じゃないって言ってくれたのに。……お姉ちゃん、おばあ様に逆らって、北の離れに閉じ込められちゃった』


 日記の間に、重厚な金属の鍵が一本。


 遥香の瞳に、再び『白銀の光』が宿った。道は示された。辿り着くための手段が、今、手の中に落ちたのだ。


「待ってろ、さくら。……絶対、連れ戻してやる」


意を決して走りだそうとした遥香だったが、今はまだ、夕闇が街を包み始めたばかりの時間だ。今すぐあの大邸宅へ駆け込んでも、大人たちの目に留まり、さくらに触れる前に追い返されるのが目に見えている。


「……一度、帰らなきゃ」


 遥香は奥歯を噛み締めた。逸る心とは裏腹に、冷静な自分が警鐘を鳴らしている。深夜に家を抜け出して街を横断する。見つかれば補導され、さくらを救う道は永遠に閉ざされるだろう。失敗は許されない。これは、人生で初めての、たった一人の『密偵』としての戦いだった。


 遥香は震える手で袋をカバンの奥深くに隠し、何食わぬ顔で自宅への道を歩き出した。夕食のテーブルで、母親が「今日は随分遅かったわね」と声をかけてくる。その温かい声が、今の遥香には別の世界の出来事のように遠く感じられた。喉を通らない食事を無理やり流し込み、「宿題があるから」と早々に自室へ引きこもる。


 部屋の明かりを消し、ベッドの中で息を潜めて、時計の針が重なるのを待った。一分が、一時間のように長い。暗闇の中でポケットの『銀の針』に触れる。針は静かに、けれど確かに熱を帯びていた。まるで、これから始まる『解体』の夜を待ちわびているかのように。



 やがて、家中が寝静まった深夜。  遥香は物音を立てないよう、パジャマの上から黒いパーカーを羽織り、窓から音もなく庭へ降りた。


 深夜の街は、昼間とは全く別の顔をしていた。街灯の届かない路地裏、時折通り過ぎる車のヘッドライトから逃げるように、遥香は影に身を潜めながら走り続けた。深夜の孤独はそれだけで身体を震わせるものだ。背後から誰かに肩を掴まれるのではないか、巡回中のパトカーに見つかるのではないか。心臓の鼓動が耳元で爆音のように鳴り響く。


(怖いなんて、言ってられない……。さくらはもっと、暗くて寒い場所にいるんだ)


 自分を鼓舞し、遥香は坂道を駆け上がった。


 辿り着いた丘の上。そこには、月光を浴びて沈黙する『蒼井の本邸』があった。

 昼間に見上げた時よりも、その石塀は高く、拒絶するように聳え立っている。遥香は九条に言われた通り、鬱蒼とした雑木林に面した「北の裏門」へと回り込んだ。そこは、手入れの行き届いた正門側とは対照的に、絡みつく蔦と湿った土の匂いに満ちていた。

 闇の中で目を凝らす。重い鉄柵が、言われた通り、大人が一人ようやく通れるほどだけ、僅かに隙間を開けて放置されていた。九条の『最期の不忠』が、そこにあった。


 遥香は意を決して、その隙間に身を滑り込ませた。一歩踏み出した先。そこは、これまでの街の空気とは明らかに異なる、重く、澱んだ気配に満ちた庭園だった。

 視界の端に、無数の『色』が火花のように散る。銀の針に導かれるようにして、遥香の瞳には屋敷の真実が映し出されていた。美しく整えられた庭木の一本一本に、まるで見えない呪いのように、どす黒い執着の糸が絡みついている。そしてその奥、木々に隠れるように建つ小さな平屋――「北の離れ」から、弱々しく、けれど必死に抗うような【朱鷺色の光(ときのひかり)】が漏れ出していた。


(あそこだ……)


 遥香はポケットから、九条に渡された鍵を取り出した。北の離れと記された木札。それは、さくらが唯一『お姉ちゃん』と慕いながら、今は離れに閉じ込められているという女性、真奈への招待状だ。


 草露に濡れる足元を気にせず、遥香は離れの扉へと駆け寄った。周囲には、誰の侵入も許さないというような、冷たく硬い結界のような気配が漂っている。だが、遥香が右手の『銀の針』を構えて一歩踏み出すと、その気配はガラスが割れるような音を立てて霧散した。


 震える手で、鍵を回す。カチリ、と、深夜の庭園にはあまりに不釣り合いなほど明瞭な音が響いた。


 ゆっくりと扉を開けた先。月光も届かない暗い部屋の隅で、一人の少女が、膝を抱えて震えていた。  さくらと同じ、どこか壊れそうな、けれど凛とした芯を感じさせる気配。彼女が顔を上げた瞬間、遥香はその瞳に宿る、絶望に染まりかけた『朱鷺色』のオーラを視た。


「……だれ……? 九条、さん……なの?」


 真奈の声は、掠れていた。

 遥香は息を整え、真っ直ぐに彼女を見つめた。


「九条じゃない。……私は、さくらの友達だ」


 その言葉を聞いた瞬間、真奈の身体が大きく震えた。驚愕に目を見開き、信じられないものを見るかのように遥香を凝視する。


「さくらちゃんの……お友達? まさか、あなたが……どうしてここが分かったの? 警備だっているのに、どうやって……」


 真奈の声は震えていた。さくらから『友達』の話は聞いていた。けれど、その子がたった一人で、この呪われた蒼井の屋敷の奥深くまで辿り着くなど、想像もしていなかったのだ。


「九条さんに裏門を開けてもらった。……これ、あいつから預かったんだ」


 遥香が差し出した、真っ白な鈴。それを見た瞬間、真奈は膝から崩れ落ちるようにして、その鈴を両手で包み込んだ。


「さくらちゃん……。ああ、あの子、本当に……」


色のない鈴は、さくらの心が限界まで削り取られている何よりの証拠だった。真奈は涙を堪えるように、鈴を胸に抱きしめる。


「泣いてる暇はねえんだ、真奈さん」


遥香は、真奈の纏う朱鷺色の光を真っ直ぐに見据えた。


「さくらは、今夜『完成』させられるって聞いた。記憶を全部消して、ただの道具にするんだって。……場所はわかるんだろ?」


「……『修復の蔵』よ。本邸の地下深くにある、蒼井の業が蓄積された場所。でも……」


真奈は、絶望の色を浮かべて首を振った。


「あそこには、おばあ様が張り巡らせた『修復の結界』があるわ。部外者が近づけば、目に見えない糸が絡みつき、身動き一つ取れなくなる。私にはそれが見えても、引き剥がす力はない。……丸腰で行ったところで、私たち二人とも、さくらちゃんに会う前に心折られてしまう」


 真奈は、さくらを救おうとして静江に抗い、その圧倒的な『色の圧力』に屈してここに閉じ込められた。観測者として鋭敏すぎる彼女の目は、静江の放つ執念の色に怯え、一歩も動けなくなっていたのだ。けれど、遥香の瞳から光は消えなかった。


「……じゃあ、こいつならどうだ」


 遥香は右ポケットから、一本の針を抜き出し、月光の下に翳した。


「私に糸を紡ぐ才能がないのは分かってる。でも、こいつを手にしてから、変なもんが見えるようになったんだ。……さくらを縛ってる糸が、こいつなら『解ける』気がするんだよ」


 その瞬間、真奈の表情が凍りついた。部屋の空気が一変する。遥香の手にあるのは、ただの金属片ではない。真奈の鋭敏な視覚には、それが周囲のあらゆる『色』を拒絶し、切り裂くような、鋭利で凍てつく白銀の閃光として映っていた。


「……そ、その針……まさか……」


真奈の声が、恐怖と歓喜が混ざり合ったような奇妙な響きを帯びる。


「江戸時代に盗まれ、蒼井の歴史から永遠に失われたはずの……災いを解く『銀の針』……。どうして、あなたがそれを持っているの?」


 蒼井の家系に生まれ、歴史を叩き込まれてきた真奈にとって、それは神話の中の遺物が現実に出現したに等しい衝撃だった。さくらが持つ「金」が秩序と構築の象徴なら、その「銀」は混沌と解体の象徴。


「手芸店の隅に捨てられてたのを、救い出しただけだ」


遥香は針を握り直し、戸惑う真奈の肩を掴んだ。


「詳しいことは知らねえ。でも、こいつはさくらの金の光を……あいつを縛ってる何かを、壊したがってる。それが、今の私に見える唯一の確かな感触だ」


 真奈は息を呑んだ。色の観測者として、彼女には見えた。遥香の持つ銀の針が、蔵の奥で渦巻く巨大な『蒼井の呪縛』に対して、牙を剥くように共鳴しているのを。


「……そうね。この針なら、おばあ様の結界さえも断ち切れるかもしれない」


真奈は立ち上がり、遥香の手を強く握り返した。


「行きましょう。私が目となり、あなたの道を指し示すわ。……今夜、おばあ様が最後の一針を通す前に、その銀の針で、すべてを解き放って!」


 二人は音もなく離れを飛び出した。少女と、歴史の証人。暗い庭園を影のように走りながら、遥香はポケットの銀の針が、今までにないほど激しく熱を帯びているのを感じていた。


 正面に見える本邸の巨大な影。その最深部から漏れ出す『純金』の圧力が、いよいよ夜の空気を支配しようとしていた。



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