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Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
【ハヤテの章③】ゲーム内生活10日目【AWO】

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77話 現地解散

『今はその行動に夢中か。アキカゼ・ハヤテ。できれば探索に出向いて欲しいのだがな』



 調理中、どこか鬱陶しげに私の姿を視界に収めてぼやくアルプちゃん。

 彼女からしてみればドリームランドの探索をして欲しいのかもしれない。

 おおかた『アザトース』さんからの無茶振りで頭を悩ませているとかだろう。


 そんなの引退者である私に任せずとも、他のプレイヤーにやらせなさいよ。

 いつまでも過去を引きずってばかりじゃ人間とお付き合いできないよ?



「私の没頭する次の趣味が気になるの?」


『別に。この姿は君たち人類を欺くための姿だ。食事など本来は必要ないものだ』


「とか言っちゃって。匂いに釣られて顔が動いているよ?」



 猫みたい、とか言ったらぶっ飛ばされそう。

 そんな気配を纏わせてる。

 ここはお口チャックだ。


 無用な争いに首を突っ込まないと誓ったからね。



「とはいえ、ハヤテちゃんはただ普通に遊んでる感覚で問題行動を起こす問題プレイヤーでもあるわ」


「お母さん!?」



 急に身内から梯子を外されて、思わず声を上げる。



『ほう?』


「ちなみに彼女、開始9日目でドリームランド入りしてるのよ。確か単独でムーンビーストを撃退してたわ。あなたの見込んだ通り、この子は急激にあなたのご主人様の要望に叶う成長をしているの」


『なんだい、口では否定しながらも、その実ドリームランドに未練たらたらじゃないの』


「違うよ? 偶然。偶然が重なっただけだから。自分の意思じゃないから!」


「|◉〻◉)と、ご本人はおっしゃってますけど、割と無理難題な独自イベントもスイスイ。実際困惑してます。こんなことってあるんだって。僕最速で幻影になれそうです。今から慕ってくれてもいいですよ?」



 ここにきてレイちゃんまで梯子を外してきたんだけど?

 ここに味方はいないの?


 ヤケクソになりながら料理を終える。

 出来上がった品をパッキングしつつ、アルプちゃんに今度はテーブルセットを出すようにお願いした。


 あー、ここに幻想装備保持者が5人いればなー。

 小さなお店が再現できたのに。


 意外と取得条件が難しいらしいんだよ、この幻想装備って。

 でもそれも無理そうなので【調理台】をしまって【テーブルセット】を構築。

 ちょうど4人掛け。


 お姉ちゃんにレイちゃん、私にアルプちゃんとちょうど四人だ。

 お互いに変な視線をまじ合わせつつも、料理へと視線を巡らせる。

 お姉ちゃんは食べていいのか?って顔で覗き込んでくる。


 そこへ、



「私たちはさっき食べたからいいわ」



 お母さんたち、大人組から食事拒否のコメントをいただく。



「またどこかに飛ばされちまったら笑えない。俺ぁ明日も仕事があるんだよな」



 そうなの? 運営外されたって聞いてたのに。

 まぁそれ以外にも仕事はあるか。

 急な部署移動で大変な時だしね。



「モーバさんほどではないけど、お父さんもお仕事あるからこれ以上遠出は控えて欲しいな」


「そうやって、全部私が悪いみたいな風潮よくないと思いまーす。じゃあこれはお姉ちゃんの分ね。レイちゃんもどうぞ。アルプちゃんはどうする?」


『驚いた。ここから断る権利が?』


「ないよ。作っちゃったから食べてくれたら嬉しいなって」


「|◉〻◉)あ、食べないんなら僕いただきますね。マスターの料理美味しいんで。ちなみに今日のメニューは?」


「つみれ汁と煮込みハンバーグ。季節の果実ソースのレアチーズケーキだよ」


「ブフォッwww」



 モーバおじちゃんがつみれ汁って共食いじゃんwwwみたいに笑うけど、深海種族って基本共食いだからね。

 あそこはほら、弱肉強食だから。


 と、いうことで幻想武器を持ち寄って全員で食事をいただいた。



「|◉〻◉)美味しいいです! コンサートの後の喉に優しい感じ! このツミレっていうのがまたいいアクセントになってます」


「わかる? きっと喉が渇いてたと思うから、胃に優しいスープにしたの」


「|◉〻◉)ンマンマ」


「ジュースもうまー」


「お姉ちゃんは柑橘系のジュース好きだもんね」



 流石にこのメニューには合わないので、お姉ちゃんだけ別のメニューにしてある。

 なんだったら付け合わせのケーキがメインだ。


 他の子の分もあるけど、ガッツリ系のご飯の後にそれまで入る子は……意外と居たっぽい。


 レイちゃんが早速皿の上の料理を平らげ、切り分けるタイプのレアチーズをアルプちゃんの分まで自分の皿に置いてた。

 やめなよ、それは戦争だよ?



『ふん、こんなもので浮かれられるその精神性が羨ましいな』



 とかなんとか文句を言っていたけど。

 鼻がピクピク動いては匂いに顔が釣られてる。

 イヤイヤという感じで料理を始めて一口頬張る。

 両目を開き、首を傾げ。

 確かめるようにもう一口。


 そこから先はわかりやすかった。

 気がつけばがっつくように口に運んでいたのだ。

 見た目年令が一緒なら、味覚も一緒だと踏んだが正解だったらしい。



「あれあれー? 文句ばかり言ってた口が食事に夢中のようですな?」


「|◉〻◉)おかしいですね。最後まで残さず綺麗に食べてしまいましたよ?」



 そこへ、お姉ちゃんとレイちゃんがチャチャを入れる。

 すっかり仲良しさんだね。



「美味しかった? だったら作った甲斐があったな」


『これで勝ったと思わないことだな。だが、美味かった。食事など初めて口にしたが、まぁ悪くないものだな』



 いうだけ言って、アルプちゃんは離席。

 異空間の扉を開いたかと思えばそのまま潜り込んでこの空間から退場してしまった。

 結局、なんの目的があって干渉してきたか聞けずじまいだったな。



「帰っちゃった」


「|◉〻◉)何しにきたんでしょうね」



 この中で一番謎の出自のレイちゃんすらそれを知らないんだ?

 より謎が深まったのもまた事実か。



「これにて一件落着なのか?」


「あ、ログアウトできるようになってる!」



 お姉ちゃんがログアウト出来る事に気がついた。

 一件落着、なのか?



「え、そうなの? お腹いっぱいになることが条件だったのかな?」


「かも。ほら、ここって何もないでしょ? だから何かアクション起こせば出られるかもってレイちゃんのステージに乗っかってみたんだけど」


「|◉〻◉)特に何も起きなかったですよね」



 うーん謎。

 そんな考えに頭を働かせていれば。



「私たちも普通にログアウトできるみたいね」



 お母さんの発言で皆が意識をログアウトに向ける。

 本当にこれで解決?



「ここ、他のゲームの中って話じゃなかったっけ?」


「感覚的には新設ワールドって感じだな。WBOのシステムだが、AWO的に言えば、インスタンスダンジョンと似ている。メニューからサーバーを選択して場所を移動するんだ。WBOではサーバーごとに人気が異なってな。レベルで制限されてたり、冒険好きか生産好きかでもわけられてる。思った通り、この空間に限りWBOのシステムが共有で使えるみたいだ。一度ここのサーバーからエントランスに離脱後、ログアウトができるようになっている」



 さすがWBOの運営さん。

 説明が澱みない。

 明日仕事だとも言ってたから、早く帰りたいんだろうね。



「不思議ー」


「でもこれって、AWOにしかアカウントを持ってないハヤテともWBOで遊べるってことなのかな?」


「そこの検証は追々だな。なんかドッと疲れた。山積みの問題の中で、新たな問題に直面したみたいな疲れ方だわ」


「お疲れ様です」


「爺さん、お前のせいだぞ?」



 モーバおじちゃんの鋭い視線が私に刺さる。



「ハヤテは女の子だよ?」



 お姉ちゃんがムッとして対応する。

 そうそう、今の私は女の子だからね。

 間違えないで欲しいものだ。



「言葉の綾だよ、そう額縁通りに受け取るな。むかーしむかし、とんでもなく厄介なトラブルメイカーがいた。それと同じ名前を冠したプレイヤーが似たようなことをやりはじめた。一般プレイヤーは落ち落ち遊んでられないのよ」


「よくわかんないわ」


「首輪つけて見張っとけってことだ」


「女の子に向けて放つ言葉じゃないよね?」


「女の子ってタマでもないだろうに。じゃあな、爺さん。うちの娘に変なこと教えんじゃねーぞ?」



 そう言って、モーバ叔父ちゃんは帰った。

 エントランスサーバーに一時離脱後、ログアウトしたみたいだ。

 ログを追ったお母さんやお父さんたちもみんな同様の方法でログアウトしていく。



「失礼な人ねー、あの人だあれ?」


「リノちゃんのお父さん」


「うそ、リノっちあんな人をお父さんに持っちゃったんだ」



 その表情からはかわいそう、と憐憫の眼差しが向いている。

 でもまぁ、モーバおじちゃんが厳しいのは私にだけだと思うよ?


 この異質なサーバー【ドリームワールド】には私とお姉ちゃん、そのほかにはレイちゃんだけが取り残された。



「それじゃあハヤテ、心配してきてくれてありがとう」


「うん、一応宿題とお夕飯、お風呂にスキンケアもしといたから」


「さすが、自慢の妹!」


「そういう時だけ褒められてもなー」


「|◉〻◉)仲がいいことは素晴らしいことです。僕も姉妹に出会ってみたくなりましたね」



 そう言えば、そんな存在もいるんだったよね?



「じゃあ、ハヤテ。また家でね」



 お姉ちゃんはその言葉だけ残してログアウト。

 静寂の時間が流れる。

 さて、私もログアウトしましょうかね。


 そう思ってメニューコンソールからログアウトボタンを探って……



「あれ、ない!」


「|◉〻◉)どうやらここには二人ほど束縛するルールがあるみたいですね」


「アルプちゃん、説明してよ!」


「|◉〻◉)あの人は用意周到に罠をはりますけど、説明まではしていきませんからね」


「なんか普通に帰れる気でいたけど」


「|ー〻ー)どんまい、マスター」


「慰めは結構だよ!」



 ゾンビ取りがゾンビになる、じゃないけど。

 お姉ちゃんを救出したはいいけど、今度は私がこの空間に囚われる羽目になった。


 どういうことなの?!


 まぁ、やることはやっておいたのでお姉ちゃんが私がいない事に気づけば……いけるか?


 行けなさそう。

 お姉ちゃんだしなぁ。


 きっと宿題が終わってない頃になって探すと思う。

 それまでにお母さんが気づいてくれれば……

 難しいかな?


 まぁ電子生命体みたいなもんだし、ゲームの中で暮らしていくのは苦でもないんですけどー。

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