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Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
【ハヤテの章③】ゲーム内生活10日目【AWO】

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53話 呼び覚まされた記憶

 シャドウハウンドとリノちゃんの戦いは白熱した。


 何せこちらのバフの影響を受けるモンスターがいるというのもおかしな話で。

 やっぱりこの現象を引き起こしているのはレイちゃんなのでは?

 と、思わなくもない。



 レイ  :|◉〻◉)強いですねー

     :|ー〻ー)バフまで吸収するなんて知りませんでした

     :|◎〻◎)僕が単純にバフを使えないだけだった!?

     :|◎〻◎)はわわ



 みたいなやり取りを経て。

 チェインは120まで膨らみ。

 拮抗していた勝負を打ち崩したのはリノちゃんだった。


 リザルトでスキルパーツ(赤)を一つだけ獲得し。

 他は全部『記憶のかけら』というものだった。

 またもや見たこともないフレーバーアイテムだ。


 この報酬が私たちにどれほどの怪異をもたらすかはわからないけど、ようやく長い戦いが終わったという事実だけがそこにあった。


 道中私も参加して、動き出そうとするシャドウハウンドをパッキングで封印。


 その間にバフを盛り、パッキングから出てきたシャドウハンドを一撃の元で仕留める。


 本当に危うい戦いだった。

 緑色のスワンプマンも『面倒』という意味合いで強敵だったけど、今回の赤いハウンドとは『連戦したくない』という意味での強敵だった。


 最初こそ、どこか軽く考えていた『幻想武具』集め。

 2個目でこれなのかと辟易しているところであったり。

 

 まぁ便利すぎるもんね、こんなのが簡単に集まるようじゃ攻略バランスも崩壊しちゃうか。

 武具一つで派生スキル5個乗せられるという破格ぷり。

 難度はこれくらいで案外ちょうど良いのかもしれない。


 むしろ今までが簡単すぎた?

 いや、次も欲しいと思わせる良い塩梅だった。

 相手が強敵だと理解できても欲しくなる性能がそこにあるからだ。



「何はともあれお疲れ様」


「もうクタクター。ハヤちゃんが途中援護くれなかったら、負けてたのは私の方だったよ。ありがとね」


「本当はバフ以外もしたかったんだけどね」


「パッキングの有無で勝率変わるから本当にありがたいよー、それに比べて……」



 リノちゃんはそう言い、本当に賑やかし要因であるお姉ちゃんとミルちゃんにジトっとした視線を送った。

 


「何かね、リノっち。あたしは今の戦闘を撮影していたのだけど?」


「2分しか撮影できないから、何回も撮り直してたよね」


「トキちゃんは?」


「あたしの【統率】があったからこそ、イースさんのバイオリンの音も複合できたんだよ? あれでワンちゃんの弱体化が進んだ。不協和音として放置しておくのはもったいなかった。音として意味のあるものに昇華した功績は大きいと思うけど?」


「リノちゃん、言い訳をさせたらこの二人には勝てないよ。実際にこの場面を撮影できたのは大きい。そしてイースさんの音も拾ってデバフそのものを私たちにの音楽に添えてくれた。これは確かにお姉ちゃんにしかできないことだった。今日、ここでの戦いは本当に過酷だったし」


「それもそうなんだけどー」


「すごいわね、あなた達。今まで追い払うことしかできなかったあの怪異を討伐しちゃった」


「偶然ですけどね。こいつの落とすアイテムに、どうしても欲しかったものがあっただけなんです」


「欲しかったアイテム? 初めて遭遇したのでしょう?」


「情報提供者がいるんですよ。みんな、レイちゃんを解放してもいい?」


「うーん、どうしようかな?」


「もう実際、怖さに関してはここでも感じてるから!」



 なんならここの農園の方が怖いまである、とミルちゃん。



「レイちゃんはいい子! 今の姿は着ぐるみ! ヨシ!」



 リノちゃんが何か呪文を唱えながら自分の心を誤魔化している。


 お姉ちゃんとミルちゃんに限っては普通に接することができているので、リノちゃんさえ認めてくれれば大丈夫なので、本人がそれで納得できているんならまぁ良いか。



「それじゃあ、満場一致でレイちゃんをイースさんにお披露目したいと思いまーす」


「イエーイ!」



 軽い気持ちで、怪異を解放する。

 ノリノリのメンバー。

 そしてさも当たり前みたいな顔で出てきたレイちゃんが軽く手を上げて挨拶した。



「|◉〻◉)ノあ、こんにちわー」


「あなた様は……」



 レイちゃんを見たイースさんは、唐突に何かを思い出し、膝をついて首を垂れた。



 ピコン!

 <真・シークレットクエスト:イ=スの祈願が達成されました>



 え?

 帰ってきて欲しいのはアキカゼ・ハヤテじゃなくてスズキさん、クトゥルフの幻影で良かったの?



「ルリーエ様、あなたのご帰還を心よりお待ちしておりました」


「|◉〻◉)僕はレイ。分裂したルリーエ様の記憶のいちぶぶんでしかないよ」


「記憶……ねぇハヤテ。もしかして今回入手したアイテムって?」



 命のかけら、魂のかけらと来て記憶のかけらだった。

 もしかしてこのアイテムは本来レイちゃんに関するイベントにしか出てこないものだったりするのかな?




「それは私も思ってた」


「これは試すっきゃないね!」



 記憶のかけら。これの使い道。

 思いついたら早速行動したいとばかりにミルちゃんがやらかす。

 私は即座にスクリーンショットの構え。


 ミルちゃんも拡大撮影モードに入っていた。

 打ち合わせしてないのにこの連携具合よ。

 やっぱり彼女、探偵さんの魂でも入ってるんじゃないかな?



「|///〻///)あふん」



 ミルちゃんは叩きつけるようにレイちゃんに『記憶のかけら』をぶつけた。

 気のせいか、レイちゃん興奮してないかな?

 すると。



「|◎〻◎)あばーーー! さよなら!」



 眩く光った後、着ぐるみは爆発四散!

 大きなキノコ雲を空間に生やした。


 中からは髪がチリチリになった女の子が現れていた。

 なんでパージ方法が爆発四散なのか。

 これがわからない。


 このこ、ルリーエの姉妹にしてはあまりにも本家すぎるでしょ。

 いや、それを嗅ぎとってイベントクリアとみなされたのか?



「う、ううん。ここは……」



 中から出てきたのは真っ赤な髪をした女の子だった。

 


「レイちゃん? あなたはレイちゃんなの?」


「え、そうです。まさかこんな強引な方法で着ぐるみを脱がされるとは思ってもよらず。あ、今変な顔してないですかね。僕って表情が激しいってよく言われるもので」


「大丈夫そうだよ。むしろ私よりも無表情かも」



 うちのメンバーの中で無表情代表(食事中だけ百面相する)リノちゃんが太鼓判を押す。



「自慢していた以上に綺麗でびっくりしちゃった。まぁあたしほどじゃないけどねー?」



 何を意識してるのか、お姉ちゃんが美貌についてマウントを取り始める。

 そのすぐ横では。



「バッチリ撮影したよ、レイっち!」


「ナイスミルちゃん。私も連写した。これ以上の特ダネはないからね」



 イエーイとハイタッチ。

 私たちの目的はブログをより面白く飾る以外の何者でもない。

 お姉ちゃんとリノちゃんが呆れるようにして私たちを見た。

 ごめんて。



「やはりルリーエ様」


「なんかめちゃくちゃ勘違いされてるけど、僕はレイだよ。マスターはそこのハヤテちゃんだし」


「マスターって何?」


「ご飯作ってあげたら懐いちゃって、以降私を呼ぶ時にそんなあだ名をつけるようになったんだよね」



 結構強引な理由づけである。

 だが、それが通じてしまうのがこのメンバーの良いところでもあり。



「あぁ、ハヤテのご飯美味しいから」


「あたしたちもマスターって呼ぶ?」


「やめて」


「そうだよ、ハヤちゃんは私のお嫁さんになるんだから」


「ならないから」


「今は、だよね? いつかはなるよね?」


「そうだねー、そのうち」


「やった!」



 などと茶番を交わしながら。

 真・シークレットクエストは達成。

 報酬はこの農園を行き来する権利と、収穫権だった。

 錬金工房にも出入り自由!


 やった、これで本格的な錬金術をやれるぞ!

 と小踊りをしたのも束の間。



「あ、私はお昼に塾あるから来れないよ」


「そうじゃん」



 次に来れるのは翌日のログインになりそうなのを思い出し、がっくりと項垂れるのだった。


 出入りには四人分の『幻想武器』にセットした【異界侵入】が必要不可欠。


 つまりリノちゃんがログインできない時点でやれることが強制的に狭まるということを示していた。


 いや、うん。戦力が大幅に下がるから、ここにきても肥料を撒けない(シャドウハウンドには勝てない)のでなんらマイナスでもないんだけどさ。


 それでも行き来できないからこそのデメリットを感じつつ、ド・マリー二産の野菜をたくさん持ち帰って溜飲を下げる私。


 さて、写真提供は済ませた。

 アイディアも渡したし、ミルちゃんがどんなブログを書くかが不安でもあり、楽しみでもあった。

挿絵(By みてみん)

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