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Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
『ミンストレルソング』<10日目・朝>
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46話 幻想武器!

 業者なんていなかった。むしろそれを追い落とすように熟練プレイヤーからの回叩きが酷い。

 まさに修羅場と言って差し支えない状況だけがあった。


 それはさておき、列車君、もといレイから新情報。


 ずっと不思議だった『スキルパーツ』の使い道が判明したのだ。

 そしてその用途も。



「え、つまりこの素材って深海モンスターのレアドロップだったってこと?」



 レイ  :|ー〻ー)うん。メガロドンとかがたまに落とすよ



「でもハヤテが倒した時は落とさなかったよね?」



 レイ  :|◉〻◉)水圧調理はリザルト含めて報酬が食材に置き換わるスキルだから



 それが原因か!

 まぁ攻撃手段なしに立ち向かう相手じゃなかったけど。



「つまり?」


「ご飯を摂るかドロップを取るかってこと?」



 レイ  :|ー〻ー)うん



「わかりやすい」


「でもさ、これ単体じゃ意味がないんだよね?」



 レイ  :|◉〻◉)色違いのスキルパーツを合わせるとこういう装備が作れるよ


 レイ  :【画像】



 そう言ってレイから画像が拡散される。

 そこにあったのはサハギン用アイドル衣装やら、サハギンでも握りやすいマイクだった。



「レイちゃんはこれを着てアイドルになるつもりなの?」



 レイ  :|ー〻ー)僕、脱いだらすごいので。それとこの装備は見た目に応じて変化してくれるんです



「そんな不思議装備が?!」


「それって楽器も?」



 レイ  :|◉〻◉)b 可能です



「なるほど。私たちの目標は遠い街に行かずとも、大金を貯めずとも叶うと?」



 レイ  :|ー〻ー)また異なる色のパーツを集められたらに限ります。僕のは黄色と緑で作りました



 黄色と緑で服とか装飾品になるのか。

 いや、まんま情報を受け取るのも危ういか。

 この子はなんだかんだで幻影。

 私たちに怪異を見せつける存在なのだ。



「何はともあれ、色違いモンスターか」


「またボールだったら嬉しいね」


「うん、弱くてドロップも美味しいから」


「じゃあご飯を食べたら?」


「モンスターを探しにレッツゴー!」



 そういうことになった。

 しかしファストリア周辺では水色のボールしか見当たらなくて。

 ポイントと『命のかけら』は面白いほど出たけれど、肝心の色違いモンスターは出てこなかった。



「これ、もしかして」


「うん、可能性としてあるのは地域ごとに決められたカラーは一つってことだね」


「結局他の街に行かなくちゃってこと?」


「実際、ボールだけでは飽き飽きだった」



 リノちゃんが鼻息を荒くして言う。

 君はそうだよね。

 実際私たちは戦力外。チェイン要因でしかない。


 で、そこで強敵のいる場所に行ったらどうなるか?

 チェイン数が増すことになるかもってこと。


 あれ? 別に私たちの作業変わらなくない?

 メガロドンに施したようにパッキングしてしまえばいいわけだし。

 それを袋叩きにして、ほとんどリノちゃんの時間を稼ぐだけ。


 じゃあ行けるのかな?

 相手が複数だったら全部パッキングしてしまえばいいわけだし。



「じゃあ、いこっか」


「いいの、ハヤテ?」


「別に拠点を他の街にするわけじゃないから。今はスキルパーツ優先で」


「よかった。私だけその気だったらどうしようかと思ってた。ハヤちゃんありがとう」



 レイ  :|◉〻◉)b 僕ももちろんついていきますよ



「レイちゃんもありがとうね」


「でもハヤテ、強敵が来た場合どうする? 実際あたしたちお荷物だよ?」


「全部パッキングして動きを封じちゃえば良くない?」


「あー」


「可能なの?」


「大丈夫、メガロドンも入ったし」


「あのサイズが入ればいけるかー」


「本当にどんなサイズだったの?」



 今になってリノちゃんが今日食べた食材の詳細を聞きたがる。

 聞かないほうがいいよ。

 見た目もサイズも規格外だから。

 お姉ちゃんの記したブログに、その詳細が描かれてなかったことがその答えみたいなものだよね。


 美味しく加工された姿だけが印象に残ってる感じだよ、うん。



「大丈夫、味だけ知っておけばいいから」


「ねぇえええええ。教えてよぉおおおお」



 恐怖に顔を歪めて泣き叫ぶリノちゃんを引きずって、私たちは一路セカンドルナへと向かった。

 道中ではボールの他にスワンプマンも現れる。

 お姉ちゃんにとっては何もできずに殺されたトラウマだけが残るだろう。



「うわ、あたしこいつ苦手」


「大丈夫パッキングしちゃうから」


「一回殴らせて。何発で倒せるかの検証もしちゃう」


「はーい」



 結果は四発。

 それなりに強敵だった。


 たかが四発で? と思うかもしれない。

 けどリノちゃんの最強コンボ【居合】を含めた【斬撃】を四発だ。

 これは食後のENを消費しない状態以外での連発は難しく、また溜め時間も発生することから何回も出会いたくないと意味合いを持つ。


 でも大丈夫。

 そう、私は料理人。


 相手の動きを【パッキング】で封殺。

 チェイン中にリノちゃんにお食事を取らせることも可能なのだ。


 軽いピクニックみたいなノリで、私たちはスワンプマンの色違いを封殺して勝利した。




 《バトルリザルト》

 戦闘時間00:15:10:82


 【スワンプマン型・特殊/新緑:1】


 ▶︎チェインアタック:30HIT(+30%)

 ▶︎バインドサポート:+100%

 ▶︎ラストアタック :+500%


 <獲得ランクポイント>

 ハヤテ_6000

 トキ _6000

 ミルモ_6000

 リノ _30000


 ☆ドロップ

 命のかけら

 魂のかけら

 魂のかけら


 ★レアドロップ

 スキルパーツ(緑)



「強敵だった」


「ねー」


「こっちの街は緑色かー」


「見た目からしてやばいよね」



 うん。スワンプマンて緑色にするとあんなに気持ち悪くなるんだって言う典型で。



「パッキングしてなかったら気持ち悪くて殴れなかったよー」


「ミルっちは抱きつく係だもんね」


「本当ー」


「でもこれで」


「うん、色違い達成!」


「相変わらずハヤちゃんだけしか入手できないのは不可解だけど」


「アイテムトレードはできるからね」



 そう、なぜかこの特殊レアドロップは私の手元にしか入ってこない。

 まるでレイが何かを操作して私の手元に転がり込むように計算している可能性すらあって。


 これで私のやる気を出させるための神格武器が手に入るようなら距離を取るつもりでいたんだけど。

 そうではなかったことが判明する。


 なんとこれ、ただ合わせるだけじゃなく【錬金術】を用いなくてはくっつかないようだ。

 ここで高いクリティカル率を持つ私だからこその成功が数々の怪異を結びつけ、一つの解を導いた。

 生まれ落ちたアイテムは『幻想武器』

 神格武器に比べていくらか格は落ちるが、一般人が扱っても問題なさそうな見た目と色合いをしていた。

 よかった、杞憂で。



「ハヤテ、どうだった?」


「なんか卵のようなものができた」



 レイ  :|◉〻◉)おお、成功するとそうなるんですね。僕は失敗続きだったのでこんなのです


 レイ  :【画像】



 そこにあったのはぐちゃっとした玉虫色のスライムみたいなものだった。

 絶対碌なものじゃない見た目をしている。

 それを引っ張って伸ばして、自分の理想の形にするようだ。

 

 まるで粘土だね。


 私はみんなから羨まれる中で楽器を作り上げていく。

 でも楽器ってどんなのがある?


 ピアノ? バイオリン? ドラム? ギター?

 連想はできるけど、自分がその楽器を使って演奏している場面はついぞ連想できなかった。


 その中で一つだけ、賑やかし担当の楽器を思い至る。

 そう、カスタネットである。



「カスタネットだ」


「これを楽器と言い張るか」


「音は鳴るでしょ?」


「鳴るけどー」



 お姉ちゃんは気に入らないらしい。

 自分が弾くハープと合わせる上で打楽器は必要ないと言いたげである。


 うーん、じゃあどうする?



「妥協できるのは音のうるさくないマラカスぐらい?」


「シャカシャカするやつ?」


「そう、それ」



 仕方なくカスタネットからマラカスに変更する。

 これでどう?



「いいねー」


「あとは三回戦ってあたしたちの楽器を作るよ!」


「おー!」



 ちなみにこの武器。音を発生することでチェインに貢献することができた。


 つまり、私たちは戦闘中に演奏をすることでモンスターと戦える。

 まるで夢のような武器だったのである。

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