表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
『水底の街アクアリア』<9日目・昼>
31/164

31話 料理スキルの真髄

「お姉ちゃん、スクリーンショットいける?」


「だめ、名前しかわからない!」



 個体名はメガロドン。

 耐久は見えず、見た感じは大きなウツボ。

 一瞬神話生物か何かに見えたけど、深海生物って基本こんな感じらしい。



「|◉〻◉)僕が動きを止めるね」



 列車君が私たちの前に出る。



「|ー〻ー) 【九頭流・槍技! 縷々旋舞】」



 その場で槍を恐ろしい速さで繰り出すだけ、と思いきや。

 それは水流そのものを生み出すだけの動きでしかなく。

 本番はここからのようだ。



「流されるー!」



 あ、お姉ちゃんが巻き添えくらった。

 水の奔流が渦となり、メガロドンの身動きを止める。

 その周囲をぐるぐるとお姉ちゃんが回ってる。

 邪魔だなぁ。



「お姉ちゃん、避けてね! 【水圧調理・熱伝導】!」



 包丁を装備し、スキルを発動と同時に包丁に振動が伝わった。

 これでターゲットを切りつければ熱が伝わるはずなんだけど。

 巨体にかすり傷をつけたところでダメージが通るかどうかは怪しいかな?



「|◉〻◉)トキちゃんは無事救出したよ」


「列車君、助かった。ハヤテちゃん、やっちゃえ!」


「ええい! いっけぇええ!!」


【クリティカル!発動】


「えっ?」



 発動させた覚えのない命中率アップ。

 いつの間にか派生していた『必中』がメガロドンの真芯を捉える。

 ここだ、合わせてスキルを発動させる。



「重ねて発動、【水圧調理・超圧縮】!」


「膨らんだ!?」



 メガロドンの肉体が大きく膨らむ。

 まるで空気を吹き込んだ風船のごとく。

 包丁を叩きつけた中心からは熱が加わったような変化も見られる。


 メガロドンはもがき苦しむように口から泡を吐き出した。

 ここで、オリジナルアレンジ!

 このまま調理を完了しちゃえば、料理とは名ばかりのグロテスクな死体が出来上がるだけ。

 それは流石にブログに載せられないし。

 ならここで味付けをしておこうとね!

 


「ここで調味料、ドーン」


「わ、何やってんの!?」


「カレー味を作ってみようと思って」


「調味料、水中に溶けちゃわない?」



 水の中で溶けて無くなるんじゃないか?

 その心配は無用。

 お弁当に水が侵入しなかったように、特定のアイテムは特定の行動にしか付随されない。

 水の中でお弁当ができるのなら、水の中で調理もできるはず。


 だってこれは深海種族流の調理法なんだから!

 そう思って味付けしたら、ビンゴだった!



「かーらーのー【パッキング】」


 

 私は調理中のメガロドンを包装紙に包んでアイテムストレージに入れた。

 まだ生きているのか随分と活きがいい。

 あんな巨大生物、入るか怪しかったけど、ミルちゃんが入れたし、いけるという確信があった。

 あの小さな堤のどこに入るのか? そういう考えはない。

 入ると思えば入るのだ。


 これはゲームだからね。

 深く考えればドツボにハマってしまう。



「|◉〻◉)すごい! 調理のお手伝いをしたことはあるけど、ここまでしたいを残さず仕留められちゃうものなんだ」


「まぁねー、自慢の妹ですから」



 さっきまで邪魔しかしてないお姉ちゃんが何か言ってる。



「それで、もう少し食材を取っていきたんだけど。付き合ってくれる?」


「もちろん」


「|◉〻◉)ご馳走してくれるんなら」


「当然!」



 そんなこんなで、メガロドン(カレー味)を合計二匹。リトルダゴン(ヨーグルト風味)を三匹。キングサーモン(レモン風味)を十六匹仕留めて帰還する。

 最後やたら数が多いじゃないかって?

 これは表にも流通されてる品種だからね。

 こんな場所にもいるんだって乱獲した結果だよ。



「それで、どうやって調理を?」


「そこが難しいんだよね。地上に持って帰ると素材が萎んじゃうらしいし」



 そう言ってストレージの中を覗き込む。

 パッキングされたアイテムの中では、水圧がなくても萎まない状態で素材が入っていた。

 なるほど。

 これは密封した環境ごと風しちゃう技術?(絶対違う)



「私にいい考えがあるんだけど、一度地上に戻らない?」


ミルモ :賛成! あたしだけ食べられないとか絶対やだもん!


「まぁ、ミルっちには申し訳ないと思ってたけどね。でも地上に戻ると素材がパーになるんでしょ?」


「|◉〻◉)そうだよ、どうするの?」



 それは見てのお楽しみってね。

 私達は一路地上の街ファストリアに戻り、シズラさんの調理場を借りることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ