30話 食材を捕まえよう!
ハヤテ :スキルゲットだよ!」
トキ :おーし、早速作っていこう!
ミルモ :実食! 実食!
ハヤテ :ここでミルちゃんに悲しいお知らせがあります
ミルモ :え、どういうやつ?
トキ :ハヤテちゃん、ここで仲間外れはダメだよ?
ハヤテ :実はこのお料理、地上人向けに作られてません
ミルモ :つまり?
トキ :どういうことだってばよ?
お姉ちゃんたち、その聞き返し好きだよね。
何十年前のネットスラングかってね。
いまだに流行ってて驚き。
ハヤテ :ハーフマリナーのような深海種族以外にはおいしさが伝わらないというか
トキ :まさかの種族縛り?
ミルモ :そんなー
ハヤテ :そもそもここに来れる前提がハーフマリナーだけなんだよね
トキ :そう言えば鼻をつまむほどの汚臭がするんだっけ?
地上の人はそうみたいだね。
だって確実にここ魔導書陣営の拠点じゃん。
なんでこっち側にあるか不思議なくらいだよ。
てっきりこういう拠点は向こう側、ドリームランドにあるものだとばかり。
いや、向こうに人員が行き渡ってこっちにもできた?
まぁ向こうは危険がいっぱいだし、情報共有という意味ではこういう場所はあっても良いけどね。
ハヤテ :パッキングしてようやく来れたよね。どこかの誰かさんはつまみ食いしちゃったけど
ミルモ :でへへ
謝るでもなし、かしこまるでもなし。
やはり探偵さんの血族。
隔世遺伝でもした?
そこはかとなく探偵さんの気配を感じるんだよね。
リノちゃんとは大違い。
お姉ちゃんは確実に影響受けてるよね。
ハヤテ :で、作るには作るけど、その前に食材を探さなきゃなんだよ
トキ :食材?
調理は奥の方でやってたので、イベントを発生させなかった人とは一時的にパーティを離れての実践だった。
みんなから見れば私はそこに棒立ちしてるようにしか見えなかったが、私はしっかり戦闘訓練まがいのクエストをこなしていたのだ。
なので、お話を終えたらクエストが完了したように見えても仕方がない。
まさか別フィールドに飛ばされた?
戦闘フィールドも別だし、あり得なくもないけど。
ミルモ :ストアで買えないの?
ハヤテ :実はここ、アクアリアにはストアがありません
なんだったらマーケットもない。
なんのための拠点なのか、私にもわからない。
最初から交流する気なんて0なのかもしれない、出身の怪しいNPCたちの拠点。
扱う通貨も地上とは異なるこだわりっぷり。
もしかしてここはシークレットを通らないと来れない場所だったり?
まさかね。
トキ :まさかの現地調達?
ハヤテ :うん
ミルモ :食材の目処は?
ハヤテ :一応ついてるけど、生息地はどこかもわからない
トキ :だめじゃん!
レッシャ:|ー〻ー)よければ僕が案内するよ。同胞は助ける。これがここに住む掟だし
ミルモ :流石列車君、頼りになるー
そういうわけで、列車君の案内で街の外へ。
そこは見渡す限り水しかなくて、どこか重圧を感じる場所だった。
水圧が半端ない。
なんか動きがぎこちなくて、押しつぶされそうな感覚があった。
一番最初に来る場所じゃない、そう思わせる空間だ。
レッシャ:|◉〻◉)ここから先は『水圧耐性』のスキルがないときついかもだけど
トキ :どうやったらそのスキル生えるかな?
ハヤテ :長時間いたら生えるかもね
ミルモ :適当で草
ハヤテ :お母さんからそう聞いたんだもん
トキ :あながち適当でもない?
レッシャ:|◉〻◉)ハーフはそうなのかな? サハギンは最初からあるからね
選択種族によっては詰むってことじゃん。
そんなのポンポン渡さないでよ。
ミルモ :あ、そういえば
トキ :どったん、ミルっち?
ミルモ :そう言えばあたし行動にバフつけられるスキル持ってるよ
ピクシーダンスというものらしい。
効果はパーティ全体。
その場にいなくても効果が反映するのはチートじゃない?
まぁそれ以外の戦力には期待するなって意味合いの種族スキルらしい。
ミルモ :やったか!?
トキ :それ失敗フラグじゃない?
ハヤテ :少し楽になったよ、ありがとミルちゃん
トキ :ミルっちの活躍場所撮れなかったー!
ミルモ :地上に帰ってから撮る?
トキ :撮る!
仲良いね。
でもおかげで、腕を振り回しても苦しくない。
ありがたい限りだ。
レッシャ:|ー〻ー)目標補足!
ハヤテ :いくよ!
私は果敢に食材に飛びかかった。