27話 魚人の寝床
レッシャ:|◉〻◉)ここから先は深海種族しか入れないから気をつけてね
トキ :他の子連れてると無理?
ハヤテ :種族限定の場所なんだ?
レッシャ:|ー〻ー)水中で呼吸できないと、窒息しちゃうからね
つまり空気などは一切ないのだろう。
ミルモ :へー、そうなん?
トキ :ミルっちは随分余裕そうだね
ハヤテ :パッキングしてるからね
トキ :お弁当の中の空気を吸ってる?
ミルモ :特にSTが減ってる感じはしないかな?
ハヤテ :へー
かもしれないねって話をしながら街の中へ。
列車君の顔が広いおかげで、今回は顔パスだった。
次は専用のアクセサリーを装着してからくることを勧められたね。
アベレージで1000ぐらいの貝殻でできたイヤリングだった。
ちょっと「いあいあ」とか聞こえるけど、きっと気のせい。
レッシャ:|◉〻◉)僕はここで宿を取ってる暮らしているよ
トキ :宿……
ハヤテ :お姉ちゃん……言いたいことはわかるけど
トキ :だって! 気になるじゃん
レッシャ:|ー〻ー)まぁわかるよ、でもお魚的な宿だからね、あまり期待されてもね
ちょっと悲しそうな顔をしながら、列車君は宿を案内してくれる。
魚ってベッドで寝るのか?
そんな違和感を喉元まで出しかけて必死に飲み込んでいた。
案内されたのは、巨大なワカメだった。
うん、魚的。
てっきりカクレクマノミが隠れるようなイソギンチャクを想像してたけど、結構物理的みたいだ。
トキ :これでどうやって寝るの?
レッシャ:|ー〻ー)実際に寝てみるね
ハヤテ :お姉ちゃん、シャッターチャンスだよ!
トキ :そうじゃん!
ミルモ :あたしも見たいからぜひ撮って
一応二窓で観れるけど、どうしてもパーティリーダーの私目線になっちゃうからね。
多角的にみる場合は、どうしても他人視点が必要になってくる。
お姉ちゃんの腕の見せ所だった。
トキ :あたしのカメラワークが火を吹く時が来たか?
火を吹かせたら壊れちゃうからやめて。
でも、リノちゃんだってこんな面白い光景絶対に見たいに決まってる。
魚人がどんなふうに寝てるかって案外知らないだろうし。
パシャリ。
そこには海藻に包まって寝るサハギンたちの姿があった。
本当にこれで眠れるんだ?
謎は深まるばかりである。
ハヤテ :これ、私も寝れたり?
トキ :お、やってみる?
レッシャ:|◉〻◉)一応代金は払ってね?
こんな粗末な寝床でもきちんと代金の支払いが行われてるらしい。
まぁ、どんな形であろうとも、宿という形式を取ってるんならそれが普通か。
ハヤテ :お金、どれくらいあれば大丈夫ですかね?
レッシャ:|ー〻ー)アベレージ100もあれば平気だよ。あと背鰭がある人推奨なところあるから
つまりワカメに背鰭を引っ掛けて包まると?
うん、まぁハーフマリナー向けじゃないことは薄々勘付いてた。
ハヤテ :でもやってみます
レッシャ:|>〻<)止めないよ。何事も挑戦だ
トキ :これこそシャッターチャンスだよね?
ミルモ :みたいみたいみたい!
これぞ撮れ高。
私は代金を払い、意を決してワカメ包まりチャレンジを敢行した!
ハヤテ :ハッ!
ぐるぐるぐるぐる!
トキ :うまいうまい
レッシャ:|◎〻◎)あとは背鰭でワカメを縫い止めて
ハヤテ :背鰭、なーい!
バラッとワカメが解けて、私は雑に放り投げられた。
トキ :ハヤテちゃーーん!
レッシャ:|◎〻◎)だ、誰か!
ミルモ :撮った? 撮った?
トキ :ハヤテちゃんが吹っ飛ぶところまで含めて連写した
ミルモ :ナイス
ナイスじゃないよ。酷い目にあった。
海中でそのまま漂って、くるりんと宙返りをしてからみんなのところへ戻ってくる。
体を張った芸である。
ハヤテ :これでリノちゃんにたくさん土産話ができるね
トキ :むしろこれで満足できるのか、ちょっと不安
ミルモ :わかる。前回がそれこそ大盤振る舞いだったし
さっきまでやる気なさそうだったお姉ちゃんたちは、随分とやる気になっていた。
やっぱり一回面白い出来事を体験しちゃうと、ここで引くっていう感覚はどこかへ行っちゃうそうだ。
ミルちゃんも巻き込んで、普通に水の街を練り歩くことを提案する。
私もちょっとだけ気になってたから、今から楽しみだ。




