25話 用水路を渡って
ーーーーパーティチャットーーーー
<ハヤテさんがパーティチャットを立てました>
<ハヤテさんがトキさんを招待しました>
ハヤテ:よろしくー
トキ :よろよろー
<ハヤテさんがミルモさんを招待しました>
ミルモ:こんなのあるんだ
ハヤテ:他にはないの?
ミルモ:WBOにはないよね
トキ :うん
<ハヤテさんがレッドシャークさんを招待しました>
ミルモ:ちょっ
トキ :呼べるんだ?
ハヤテ:呼べちゃった
レッシャ:|◉〻<)きちゃった
以降はこの形式での会話になる。
チャットを招待した人の視界をメンバー全員にリンクさせることができるのだ。
今までそんなこと知らずに使ってたとことあるよね。
それとも後から新しく実装された?
きっと多分そう。
ミルモ:パーティチャットって二窓もできるんだ?
トキ :それ! 初めて知ったよね
ハヤテ:意外と知られてなくて私も驚いてる
ミルモ:言うて、こうやって別れて動くの初めてですし?
トキ :そうじゃん!
ハヤテ:お姉ちゃんはもっと考えて言動しようね?
トキ :妹がいじめるー
レッシャ:|ー〻ー)仲がよろしくて羨ましいね。僕にも兄弟がたくさんいるんだよ
トキ :用水路の奥に?
レッシャ:|◎〻◎)僕の故郷にかな? 紹介できたらいいけど
戦犯じゃないの。
私だけならともかく、お姉ちゃんやミルちゃんはそういう怪異に巻き込ませないぞ!
そう言うのは本人の許可を取ってからだねぇ。
トキ :匂いが気にならないから、スイスイ進めるー
お姉ちゃんは用水路の奥にある処理施設の中をスムーズに泳いでいる。
泳ぐのが楽しくて仕方がないって感じ。
空を泳ぐのとはまただいぶ勝手が違うもんね。
メルモ:でも水の抵抗もあるんじゃないの? あたし泳げないから知らないけど
ハヤテ:マーメイドモードならそこまで抵抗ないかな
レッシャ:|◉〻◉)みんな、置いてくよー
トキ :列車君早すぎ!
メルモ:あっという間に端っこにいるじゃん、トキっちおっそ!
ハヤテ:いつまでもその場ではしゃいでるから水流に流されちゃったんだね
トキ :そんなことがあるのか!
また一つ賢くなった! と姉。
日々勉強だね。
VRではそう言うのを体験できる場としての側面があるようだ。
昔では考えられないよ。
処理施設を抜けた先にあったのは、抜け穴だった。
レッシャ:|◉〻◉)ここから街の外に出られるんだよ
ハヤテ :ここはもうファストリアじゃない?
トキ :へー
ミルモ :【画像】ここは宝の山か!
トキ :ハヤテちゃん、ミルっち早弁してる!
ハヤテ :あーあ
レッシャ:|◉〻◉)僕もお腹空いてきました
ハヤテ :ならここでお昼にしちゃう?
スタミナも減ってきたことだろうと提案すると。
お姉ちゃんや列車君が「|ー〻ー)それはちょっと」みたいな顔を向けてくる。
ハヤテ :私何か変なこと言った?
トキ :いや、海中で食事ってできるのかなーって
ああ、知られてないか。
てっきり普通のことだと思い込んでた。
というか列車君まで知らないのか?
自私の中の常識が脆く崩れ去ったような気がした。