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Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
『モミジちゃんの配信活動』<14日目・夜〜15日目>

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203/208

203話 EPO配信!_実績解除『ジョブ』

 薬問屋さんからの話を聞いて、私たちは陶器職人のおじさんの住む小屋を訪ねていた。

 街から森に移動するその中間に、その小屋はあった。


「こんにちわ~」


 見るからに頑固爺さんといった後ろ姿があった。

 こちらの声など聞こえてないのか、作業に集中していた。


「ねぇ、おじさん」

「ダメだよリノちゃん。集中している時は声をかけちゃ」


:先にハヤテちゃんが声かけたんだよな

:シッ


「リノさん、少し様子を伺ってみましょう」

「うん、そうだね。ハヤちゃんは鍛治に興味あるの?」

「AWOで少し齧ったからね」


:そういえば、アクセサリーとか作ってたね

:多才だな


 職人の後ろ姿はそれだけで絵になるものだ。

 アキルちゃんもそうだったけど、仕事に打ち込んでいる姿は見惚れてしまうのだ。


 陶器は粘土を回転させた台の上で回して形を作る、焼くなどの作業を行う。

 頼み込んですぐにできるわけもないとはわかるけど。

 ちょっとだけ、興味が出てきた。


「なんじゃ、おまえさんらは」

「失礼しました。お仕事の邪魔をしちゃ悪いと思って声をかけずにいたのですが。実はわたし、薬師の見習いでして」

「で、ワシに何かを作ってもらいにきたというのか?」

「はい、腕利きだと聞いております」


 『説得』の特技が光る。

 

「タダでは受けんぞ。あんたが薬師になろうとなるまいと、ワシには関係ないからな」

「はい、なのでお仕事をしてもらうために私は知識を提供できます」

「ふん、聞くだけ聞いてみようじゃねぇか」


 私は現代知識のガラス加工(AWO基準)で開示。

 すると親方はその知識に感嘆し、正直に今の悩みを打ち明けた。


<サブクエスト:ガッシュの悩みが開始されました>

 陶器職人ガッシュはここ最近ガラスの生成にハマっている。

 しかしどうこねくり回しても特定の色合いのガラスしかできない。

 ガラスの深い知識を持っている友人に伝手があれば、教えて欲しいという。


サブクエストを引き受けますか?【0/3】

 YES / NO

 

「お、ここでサブクエストか」

「どんなの?」

「ガラス加工の知識が欲しいみたいだね」

「ガラス加工かー」

「実はお姉ちゃんとアキルちゃんと一度鍛治に携わったことあって、そこで一度ガラス細工なんかも触ったことがあったの」

「じゃあクリアは容易い?」

「知識としてならね。でも素材がないから証明できなくて」

「素材かー、港町の方で入らないかな?」


:ガラス加工の知識まであるのか

:AWOは素材から自作するから

:難儀だなぁ

:なんもかんもモブがアイテムドロップしないのが悪いよ


「一応ドロップ自体はありますよ。お野菜とか、お肉とかは落としませんが」

「うん、ちょっと他とは様式が違うだけでドロップはするよ」

「チェインさせないとドロップ率が低いままというのはなかなか難しく感じてしまいますが」


:それで、サブクエスト引き受けるの?


「もちろん」


 クエストが【1/3】になる。

 リノちゃんとモミジちゃんも引き受けたみたいだ。


「いやぁ、助かったぜ。早速俺の悩みを聞いてくれるかい?」


 ガッシュさんは素材に原因があるんじゃないかと、方々に聞いてまわっているみたいだった。

 炭焼き職人や潮干狩り名人に伝手があるので聞いて欲しいと言われた。

 クエストのガイドによって、フィールド内に新たなエリアが現れた。


「このステージ、お店や港町、森意外にもフィールドあるんだ?」


:増えるのか

:初耳

:今まで固定フィールドだったから思いもしなかった

:3つだけでも十分広く感じたけどな

:このゲームに毒されすぎでしょ

:サブクエストの開拓も楽しいな


「本当ですよね。誰も知らないこの街の秘密を、サブクエストを通じて知っていくのも面白いと思います。まぁ炭焼き職人と潮干狩り名人で答えは出ちゃってるんですけどね」


:どう言うこと?

:ガラスの素材は珪砂

:砂場によくみられる透明な石ころを使うんだよ

:え、そうなん?


「そうなんですよ。そこにソーダ灰、石灰石なんかを加えて溶かすとガラスのタネができるんです。それを息を吹き込んで膨らませて、いろいろ形を作るみたいですよ。初見の時は失敗しまくりました」


:ソーダ灰って何?

:昔はそれこそ木々を燃やしていた肺を指していたけど

:今は塩化ナトリウムかな?

:塩から作れるよな

:じゃあ、そこ行けばクリアか

:石灰は貝殻を砕いてもいいんだっけか?

:そこで潮干狩り名人か

:それだけで答え出せちゃうハヤテちゃんも博識だよな


「気になる事は調べちゃうタチで。やるからには成功させたいですし」

「じゃあ、先にどっちいく?」

「炭焼き職人の方が距離的には近いよね?」

「そうだね、じゃあそっち!」


 炭焼き職人の家は森の中腹にあった。


「なんだい、ここにくるなんて珍しいね。そうか、ガッシュからの使いか。ガラス細工にハマっているとは知っていたが、あいつもなかなかにこだわるからな」

「そうみたいですね。でも私たちは乳鉢を作ってほしくて」

「乳鉢か。ならばすりこぎ棒も必要ではないかね?」

「はい、そこら辺も伝手を探していまして」

「ならばちょうどよかった。炭入れをするのに細かい枝が余っているんだ。まとめて焼くんだが、使い物にならなくてな。ノミやトンカチくらいなら貸すから、持っていっていいぞ」


<サブクエスト:廃品回収が開始されます>

 炭焼き職人のアーノルドは木材の端材の処理に困っていた。

 回収することで口が軽くなるかもしれない。

 もし他にクエストを引き受けていた場合、彼は快く答えてくれるだろう。


 サブクエストを引き受けますか?【1/3】

  YES / NO


「サブクエストきた!」

「これ、ガッシュさん以外からも開拓ルートがあるんでしょうか?」

「そうだね、なんだかクエスト発生条件に違和感がある」

「でも、私たち的にはありがたいからぜひ受けちゃおう」

「はい」

「オッケー」


 クエストが【2/3】になる。

 まさか話を聞きにきただけでサブクエストが発生するなんてね。

 ちなみに『木工知識』はクエストを受けた時点で入手できた。

 これは基礎特技。

 マスターするのは手間だけど、何回かステージをクリアする都合上、ついでにクリアできてしまう代物だ。


「よし、すりこぎ棒完成!」

「これでよろしいのでしょうか?」

「乳鉢を作ってもらってから、またここに作ればいいかもね」

「そうですわね」

「じゃあ、これでクエストクリアかな?」

「木材、いっぱい余ってますわね」

「引き取るのがクエストだからね」

「カバンの制限がなくて助かったね」

「後で大量に使うサブクエスト来そう」

「それはあるかもね」


「腕がいいな。そうだ、ガッシュから頼まれてたことがあったんだ。俺なりに出た答えがこれなんだ、これを持っていってくれ」


 <アイテム:ソーダ灰を手に入れた>


「ソーダ灰、ゲットしました」

「お塩から入手しなくて良くなりましたね」

「あとは砂浜の砂と、貝殻でOK?」

「うん、アーノルドさんにお礼を言ってから向かおうか」


:挨拶ができるいい子やで

:上級特技のクエストの時点で、それなりの知識が求められるのな

:いや、流石にここまでとは思わんやろ


「偶然知ってたので助かりました」

「わたくしももっとお勉強いたしませんと」

「私も、ついていくのがやっとだよ」


 さて、そんなこんなで歩いて砂浜へ。

 そこではしゃがんで潮干狩りをしているお姉さんがいた。


「こんな時期にこんな場所へなんの用だい?」

「実はガッシュさんからお話を伺っておりまして」

「ああ、あの爺さんか。無理難題ばっか言ってきてさ。ガラスの色を薄くしたいって言うんだろ? カラフルなガラスがあってもいいじゃないのさ」


 お姉さんは変人に付き合うのも苦労する、と言外に言っている。


「でもまぁ、婆さんが世話になってるからね。ここは見ての通り砂浜と貝殻くらいしかない世界だよ。ここにあるものだったらいくらでも持っていってくんな」

「じゃあ、遠慮なく」

「こんな物をありがたがるなんて不思議な子供だね。まぁいいさ」


 そう言いながら、お姉さんは潮干狩りの作業に戻った。

 私たちは砂を拾ってアイテムボックスに入れようとして、それができないことに気がつく。


「ハヤちゃん、この砂」

「うん、気がついた。貝殻は入ったけど、砂の方は無理だ」

「多分ですけど、バラけてしまうのは個として認められないのでは?」

「うわー、そう言うパターンかー!」


:まさかの落とし穴

:でもガラスが趣味なら珪砂くらい集めてない?

:そうだよ


 頭を抱えていると、お姉さんの横にあるバケツが目に入る。

 そうだ、バケツだ。

 この無駄にある木材を繋ぎ合わせれば、バケツを作れる!

 

「なんだい、まだいたのかい」

「実は、砂を持ち帰りたいんですけど」

「そう言うのはこういう木桶を用意しなきゃ無理だろ」

「完全に盲点でした」

「あの爺さんと一緒で一つのことに集中してると前が見えなくなっちまうのかね。じゃあ、あたしの願いを一つ叶えてくれたら、この木桶をプレゼントしてやろう。やるかい?」


<サブクエスト:冬に備えて>

 潮干狩り職人メリッサは冬支度に備えている。

 しかし暖を取るには大量の木材が必要だ。


 サブクエストを受けますか?【2/3】

  YES / NO


「ここでサブクエスト」

「分かってはいましたけど」

「うん、これ。試験クエスト終わらせるために毎回サブクエストが発生するやつだ!」


:さすが上級特技解放試験だぜ

:そこに痺れる、憧れるー!

:ちなみに、サブクエスト受注は一日3回までです


「うわーーーーー」完全に見誤った!」


 私は頭を抱えた。

 それでも木材は持っていたので手渡す。

 クエストクリアに木桶をもらった。

 最悪、アーノルドさんの小屋に戻って木桶を自作する可能性もあった。

 その場合、密度の都合で持ってくまでになくなる可能性もあったんだよね。

 考えるだけで末恐ろしい。


 <アイテム:貝殻を手に入れた>


 <アイテム:珪砂を手に入れた>


「よし、これで揃った! ガッシュさんのところに行こう」

「ええ」

「お姉さん、ありがとうございました」

「こっちも助かったよ。お陰で冬を越せそうだ」


 メリンダお姉さんに別れを告げて、私たちはガッシュおじいちゃんの場所までやってくる。


「お話聞いてきました」

「なんと言っていた?」

「これが最適解だと」

「本当か? 言ってはなんだが、あいつら適当なことを言うからな。ワシの崇高な趣味をまるで理解しとらんのだ」

「分かってる人にだけわかればいいのではありませんか?」

「まぁ、そうじゃの。それで、おまえさんならこれをどうやって生成する?」

「私だったら……」


 そこからはAWOの体験談をもとに、行動を移す。

 炉を借りて、素材を混ぜて溶かして形を作った。


「なんと、色が落ちているぞ? 成功か?」

「まだ厚みも決めておりませんよ?」

「ここから先はワシに任せろ」


 頼もしい言葉を聞けたのでお任せする。

 熟練の腕前により、目の前で無色透明のビーカーが生まれていった。


「よぉし、できたぞ!」


<アイテム:ビーカーを手に入れた>


「そういえば、乳鉢を欲しいと言っておったな。少し待っとれ」


<アイテム:乳鉢を手に入れた>


<ワールドアナウンス:プレイヤーが初めて職人セットを制作しました>


<実績解除:ジョブの解放>

 ジョブはセットすることでプレイヤーにさまざまな固有技能を発生させます。

 基礎特技や上級特技以外の固有特技を活かして世界を開拓しましょう!


 なんかいっぱい来た!


:また実績解除してるwww

:いつもの

:もう見慣れた風景

:親の顔より見た実績解除

:もっと親の実績解除見てもろて

 

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