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Atlantis World Re:Diverーバグから始めるVRMMOー  作者: 双葉鳴
『ハヤテちゃんの配信活動2』<14日目・朝>

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152/177

152話 AWO配信!_連携攻撃

「確かこっちが近道だよ」


 唯一サードウィルにポータルを持っているお姉ちゃんが、そんなことを言いながら道を逸れて歩き出す。

 そっち、森だけど大丈夫そう?


「え、いつの間にそんな情報?」

「一度行った街は光って教えてくれるからね、みんなもポータルの登録忘れないように」


 前回行った時はアキルちゃんやリョウ君達を連れてで、私は傭兵だったので登録できなかったんだよね。

 それを手柄のように言われても困るというか。

 でも言ってることは間違いないので同意しておく。


「トキっち、いつの間にそんなリーダーシップを取れるように……」


 ミルちゃんが驚愕の表情でお姉ちゃんを見る。

 まぁね。

 ミルちゃんがいた時は一緒にバカやってた側だし。

 成長に驚くよね。


「いつまでも子供じゃないのだよ、ミルっち」

「偉そう」

「まぁまぁ、良いじゃないですか。頼りになる感じで」

「|◉〻◉)ふんふ、ふんふ、ふーん♪」


:このあまりにも自由な感じ

:配信のこと忘れてそうなほどのリアル

:みんな仲良しなんだね

:レイちゃん、みんなと離れて勝手に草むらの方に行っちゃった

:自由すぎない?


「|◉〻◉)あ」


 ピキピキピキキキ、ガシャーン!

 空間が凍りつき、そして内側から砕かれる演出。

 バトルフィールドへの招待だ。


:だから戦闘フィールド突入怖すぎるって

:鼓膜ないなった

:心臓止まったわwww

:死亡ニキ強く生きて

:WBOと違いすぎる

:こっちはバトルフィールド誘致型か

:モンスターの取り合いにならなくて済むんだよ

:なるほど


「敵は四。影のワンチャン二匹、スワンプマン一匹、空飛ぶボール一匹」


 ミルちゃんが遠くを見ながら叫ぶ。

 うん、全部見えてる。

 欲しい情報は見た目の特徴じゃないと何度言えばわかるのか。

 耐久とか、弱点とか、そう言うのも見えてるよね?

 それを言って欲しいなって。


:見えてる、見えてる

:さも自分が見つけたように言うな

:この子、我が強すぎない?

:おちゃらけた子なのは一目で分かった


「陰狼は引き受けます。リノさんは先にスワンプマンをお願いいたしますわ」


 モミジちゃんがリノちゃんの一歩前へ出る。

 すごい、あのモミジちゃんが自分の役割を全うしようとしてる!

 あの自分勝手の権化が!

 合流前に釘を刺しておいて本当に良かった!


「できるの? 後ろに通したら許さないよ?」


 リノちゃんは非戦闘員の音楽家である私たちをチラリと見る。

 モミジちゃんは涼しい顔で、頷いた。


「私、できないことは、いたしませんの」

「じゃあ、頼んだ」

「ええ、任せてくださいまし」


 モミジちゃんがヘイトを高めるスキルを放つ。

 しかしそれだけじゃあ、影の中に入って移動するシャドウウルフは惹きつけられない。

 すぐに突破されてしまう。

 この相手はそこが面倒なのだ。


「あら皆様。誰がここから先を通って良いとおっしゃったのかしら? 少しここでお暇していきませんこと?」


 大楯を地面に固定させながら、担いだメイスを輝かせながら地面に叩きつける。

 するとシャドウウルフはたまらず影の中から飛び上がった。


「無視をされるのは困りますわ。私とダンスを踊っていただけますかしら?」


 今度はそのメイスが鞭の形をとり、拘束した。

 ビカビカと光っているのは影に潜むのを封じるためだろう


「リノさん、今のうちに」

「やるね。負けてられない」


 宣言通りの足止めを実行したモミジちゃん。

 任されたスワンプマンをなます切りにして、空を飛んでるボールに向かって切り掛かる。


「|◉〻◉)僕を踏み台にしたぁ!?」


 追いかけっこしてるレイちゃんを踏み台に、一気に跳躍。


 空を浮いてる以外は特に厄介な攻撃をしてこないドローンタイプを撃墜。

 場は一気に好転した。


:モミジちゃんはすっかり悪役お嬢様の如く拘束してる

:リノちゃんも負けてない

:レイちゃんもがんばれ

:他三人は?

:優雅に演奏会

:いや、個人バフに全体バフだ

:これがあるから動きの制限が少なく済むんだよ

:スタミナバフは実際有難い

:そしてハヤテちゃんの歌で、全ての攻撃にチェインが乗る

:無駄のないパーティだ


「|◉〻◉)僕も負けてられませんよ、ちょいさー」


:穂先が光って影狼に大ダメージだ!

:さっきから当たり前のように武器光ってるけど、これ何?

:知らん

:最近の流行とか?


「|◉〻◉)懐中電灯が仕込まれてます。念じると光る!」


:本当でござるかぁ?

:だったらだったで脆そう


「|ー〻ー)これでフィニッシュ!」


:突き刺した槍先が影の中で光が膨張して、消し飛んだ!

:いや、これ強いわ

:リノちゃんは影犬に苦労してたのに

:レイちゃんは影犬の天敵だった!

:意外とバランス取れてるね

:最初は音楽家三人でダンジョンとか自殺行為だろとか思ってたのに

:お前は間違ってない

:普通は後衛三人お荷物とかありえないからな


「刀身を光らせるの、難しくない?」

「|◉〻◉)難しく考えないで、光れって念じたらできるよ」

「本当だ、できた」


:そんなギミックあったっけ?

:そう言う武器なんだろ

:知らんけど

:まぁ精錬の騎士がバックについてるから

:そう言えばそうだった

:装備も色々融通してもらってるか

:なるほど

:そのクランって?

:ハヤテちゃんのおじいちゃんなんだよ

:WBOで言うと天騎士同盟がバックについてるみたいなもん

:そりゃ強いわ

:天騎士がどんなのかわからんけど

:WBOの職人護衛クランだな

:生産職が立ち上げて、メイン活動は素材回収

:その素材を優先的に職人に渡して自分たちの武器を強化する

:あー

:まぁ精錬の騎士も似たようなもんか


 レイちゃんから教えてもらって、リノちゃんは光る刀をものにしていた。

 その上歌唱効果でドロップもウハウハ。

 早速トレードで金策を行う。


「助かった。正直、私一人じゃきつかったもん」

「どういたしまして。役割がうまく合致いたしましたわね」

「みんなお疲れちゃーん」

「これならダンジョン入っても大丈夫だね!」

「作り置きのドリンクサービスでーす。これ飲んだら移動しよ」

「助かるー」


 私も歌って喉が渇いたので、みんなと一緒にチューチューする。

 喉がスッキリするハーブ入りのジュースだ。


「なんかこう言うのが当たり前になっちゃったら怖いなーってふと思う時があるんだよねー」

「うん、どうして?」

「んー?」


 お姉ちゃんが、飲み歩きしながらそんなことを言う。

 私がどうしてか尋ねると、なんとも言えない顔で言葉を濁した。


「あ、なんかわかるかも」


 それに対してリノちゃんが言葉を繋げる。


「私と遊べない時に困るみたいなお話?」

「そうだね。これが普通になりすぎると、ハヤちゃんロスの時の立ち回りで困りそうだなって」

「それはごめん」


 心配性だな。

 私はどこにも行かないよ、と皆を安心させるも。


 確かにログアウトできないでお騒がせする時もあった。

 そのことを考えれば、今の依存してる状態は危うくもあるのかと考えさせられた。


 実際、一人でもかけると私たちのパーティはバランスを失う。

 その中心に私がいると聞かされれば気恥ずかしくもあるが、まぁ嬉しくもあった。


「今度は大丈夫。だからいろんなゲームを教えてね?」

「それはもちろん!」


 リノちゃんは元気よく答え。


「できればWBOに移住してもらえればなとこちらは検討しておりまして」

「うんうん」


 お姉ちゃんはそんな言葉で媚び諂ってくる。

 リノちゃんも乗り気だ。


 こう言う時、私の返事は決まっている。


「それは色々遊んでからね?」

「えー」


 二人からは避難めいた言葉をいただいた。

 やっぱりこっちにはただ遊びに来てるだけで、メインはWBOと決めているような発言だった。


 私を引き抜きたかったら、もっと楽しい提案をしないとね。

 配信の中でならお付き合いするから。

 それ以外に興味が湧くかはそっちのプレゼン次第だよと濁しておく。


 だってそれに了承して仕舞えば、EPOはおざなりになってしまう気がして。

 ことが終わったら好きにしていいけど。

 まだその時じゃないかなと言葉を濁していくので精一杯だ。


 配信の趣旨を間違えちゃあダメだよ?


「見えた、あれがサードウィルだよ」


 ひらけた平原の向こう側。

 そんな場所にその街はあった。


:随分と無防備な場所にあるな

:こんなの夜襲し放題では?


「うん、一回襲撃されて滅んだ跡地にこの街はできてるから」


:え?

:それって……


「この街ってね、防衛イベントに失敗してNPCごと消滅している過去があるんだよね。今はプレイヤーメイドの商品でごった返している。そう言う街なんだ」


:街の過去を知った

:プレイヤーが復興したんか

:じゃあ街の壁がないのは?


「察するに、すぐに迎撃できるように?」

「街の人が全員腕利のプレイヤーならではの発想だよね?」

「この街を潰したモンスターはレイドボスだからねー」

「最近は単独でホフれるプレイヤーもいるらしいけど」


 訳知り顔のモミジちゃんにミルちゃん。

 私もそれに同調して、ポータルを登録した。

 傭兵組も何やらポーズをとってるけど、それはリスナーに登録してますよ的な意味合いを含んでいた。

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