137話 WBO配信!_ギルドレッスン
「これ、お願いしまーす」
「あらいらっしゃい。ギルド証をお願いね」
「あ、持ってません」
「じゃあ発行が先かしら?」
「そうですね。そちらから」
:意外と喋るじゃん、NPC
:定例文だよな
:ギルド証を持ってない場合は、これが出る
:そうなんや
:それに懇切丁寧に答えていくハヤテちゃん、善き
:根が真面目なんだよ
:初見だけど、みんなはこの子を随分高く評価してるね
:午前中の見ろとしかいえない
:今は午後の部
:趣旨は?
:ずっと寝たきりでゲームもろくに遊べてない女の子が、いろんなゲームをしていく
:その主役が?
:ハヤテちゃんじゃないのかなって
:把握
:AWOでの暴れっぷりは記憶に新しいですね
:こっちじゃまるで役に立ってないようだけど?
:引っ張ってんのが中級で、ハヤテちゃんは今日始めたばっかや
:それはwww
役に立てるわけがないって言いたいのかな?
確かにAWOとは違い、こっちじゃ全然役に立てていないけどね。まぁ見ててよ。ここから巻き返すから。
「それじゃあ、これがギルド証よ。無くさないでね」
<調理ギルドの証を大事なものボックスにしまいました>
「フレーバーアイテムかな?」
「大事なものは一度入手したけど、基本的には取り出せないアイテムだね」
「でもこれのあるなしでストーリー分岐するから」
「そうなんだ?」
「NPCがチェックして、イベント時の割り振りをしてくるよ。戦闘できる子はこっち、生産の子はこっちって」
「ほへぇー」
:AWOより効率的!
:AWOはその時間帯にログインできなきゃ詰むからな
:時間加速が悪いよ、時間加速が
:常時ログイン勢が有りだよな
:だからWBOは最近のゲームなのに時間加速がない?
:まるでAWOの悪い部分を全排除したみたいなゲームだな
:足りない部分は課金で補えか
:ある意味で潔いのか?
「じゃあ、これお願いしまーす」
「あらいらっしゃい、ギルド証……は持ってるわね。今日は何をしたいの?」
:ほんとだ言葉が変わった
:感動するポイントか?
:AWOのNPCはそっけないからな
:流暢なやつは多いけど、敵対存在だし
:見ると正気度減るやつとかな
「レシピを覚えたいです」
「どれから覚える? 色々あるわよ」
「じゃあ、軽食とスープで」
:軽食はEN・ST回復
:スープはSP回復
:デザートがHP・MP回復な
:へー
:別れてるのはいいね
:なお、始まりの町は軽食とスープしかない
:草
:最初からHP・SP回復ポーション持たされてるからさ
:序盤でHPなんてそうそう減らないし
:そうそう
:それよりもスタミナとエネルギー枯渇が全プレイヤーを襲う!
:SP回復量はポーション頼りだとすぐに尽きて詰む
:意外と大事なポジションじゃん、料理人
:序盤の救世主だよ
:中盤も救世主
:後盤は?
:そこらへんになると大体クラン入りしてるから
:あー、どこかに組み込まれてるわけか
:その有望株を、今から引き抜こうとしてるのが中盤クランです
:お前ら暇人かよ
:それほどでもない
:有望なプレイヤーにはいつでも声かけを狙ってるクランは多い
:ハヤテちゃんは継続ログイン厳しそうだけどな
:そうなの?
:配信じゃなきゃこっちきてないほどAWOに思考が染まってる
:それをこっちに染める活動を?
:数日後に、EPOもやるみたいだぞ
:友達に誘われたらしい
:うわっ
:じゃあ、こっちにも本当に場当たり的にきたのか
:トキちゃんの誘いでな
:EPOのプレイヤーなんて民度低い奴ばっかだろ
:こっち移住しようよー、ハヤテちゃーん
「え、なんですか?」
:コメント見えてなかった
:調理中は集中しちゃうからね
:ミス一回もしてなくて草
:本当に初心者なの?
:手際の良さが光るンゴねぇ
:この子、ふわとろオムライス作れるくらいには達人だから
「達人というほどでもないですよ? いっぱい練習したからできたんです。チーズを入れられないのは残念ですけど。アレンジしたいなぁ」
:この意欲よ
:軽食ってなんだっけ?
:目玉焼きとチキンサンドだぞ
:目玉焼きって卵落とすだけじゃん
:それだけじゃないけどな
:水を入れて蒸し焼きにするんだよ
:熟練度上げるとベーコンエッグになる
:これ、熟練度上昇でレシピの見た目が進化してくのか
:その分必須素材も増えるけどな
:効果が段違いに上がるから
:だから料理人の友達は作っとけってのが通例
:料理人はすぐフレンド枠がいっぱいになるよな
リノP:だからプライベートサーバーに呼んだ
:配信目的のプレイには都合いいですもんね
:あれ、この子達新人ストリーマーだよね?
:そうだよ
:実家が太い系ストリーマーだな
:ハヤテちゃん、立て続けにベーコンエッグ行った!
:他のレシピは?
:全部行けるとこまで行くつもりだぞ、この子
:これはこのまま三段階強化まで行きますね
:残念、必須レシピ持ってない
:三段階目ってなんだっけ?
:サンドイッチだよ
:先にチキンサンドあげなきゃいけない
:あー、これそういう系統?
:どういう系統なんだよ
:戦闘系みたいにスラッシュだけ上げてても上位に上げられないみたいな
:そうそう、そこに別系統のスキルを合わせて効果を拡大する
:始まりの街は覚えられるレシピを2まで挙げてから3に挑むのが多い
:ほへぇー
:広く浅くか
:突き詰めてあげてく他に謎解き要素もあるからな
:料理の奥深さは他に類を見ないね、WBO
:スープ系統も最終的にはデザート関連のレシピが必要になるからな
:このちょっとづつ開示されてくのが面白いんよ
:集める素材の量は全然面白くないけどな
なるほど、コメントでも言われてる通りベーコンエッグをマスターしたらその次が???になった。
必要素材は持ってるっぽいけど、レシピ名が開示されない限り作れないのは歯がゆいな。
「先にチキンサンド作っちゃいますね。まずはお肉を湯掻いて血抜きからー……はしなくていいんだ。便利」
:このこ、リアル実技に基づいて調理してる?
:AWOがリアル嗜好だから
:血抜きも必須なんだよ
:選んだ種族によっては血生臭いのも味に大きな影響与えるから
:AWOは自由度高い分、求められる技量も高いんよ
:ちょっといくの憚れるな
:面白くもあるんだけど、負担は大きいのは事実やから
:課金によるお助け要素も浅いから
:こっち慣れてると、すごく不条理に感じるかもな
すでに茹で上がったチキンがアイテムボックスに入っている。
これを切って、ショップに売ってる食パンやレタス、からしマヨネーズと合わせるだけ。
簡単すぎてあくびが出そう。
アレンジ欲がムクムクしてきた。
「チキンサンド、マスター」
:早い
:これは誰でもできるから
:マッドコッコを安全に狩れるからこその大量入手
:食材の入手先がそいつしかいないのがネック
:通常のコッコは肉落とさないんだよな
:チキンサンドにはマッドコッコ
:コッコは卵が美味しい
:肉はフライドチキン用かな?
「そういう違いがあるんですねー」
「サンド系の分岐スタートだね!」
「系列とかあるんだ?」
「あるよー、ここから中身が変わっていっぱい分期する」
「へぇー」
案の定、全部???。
これは次の街にいかないとわからないのかもしれない
何はともあれ、この調子でスープをマスターしていく。
オニオンスープにコーンスープを次々にマスター!
マスターまでに必要なアイテムは10個なので、アイテムバッグには大量のスープがストックされた。
「そういえばこのお料理って、バッグ入れても大丈夫なの?」
「スープストックっていうアイテムに入れれば大丈夫だよ」
「そのアイテムは」
「課金だねー」
「ノーー」
:いつもの
:便利アイテムのサガ
:料理のデメリットは日持ちのしないところ
:ポーションは30日持つけど
:料理は3日
「三日持つならいいかな?」
「そうだね、どうせ食べるのはあたし達くらいだし」
「私はチキンサンドとコーンスープもらっていい?」
「どうぞどうぞ」
:微笑ましい
:調理ギルドは施設の中にフリーの食事エリアあるのがいいよね
:ここで素材回収に協力してくれたプレイヤーに振る舞えるんですよ
:ええな
:これって各町にあるの?
:普通はそうじゃない?
:AWO、お前……
:どうしてセカンドルナに調理台置いてないんだよー
:AWOの理不尽具合、ここか
:サードウィルから微妙に敵が強くなるんだよなー
:向こうは向こうで大変なのね
:生産の自由度はめちゃくちゃ高いんだけどな
:それ相応の理不尽もあると
:そんな感じ




