136話 WBO配信!_施設の紹介
「こんにちわー! 朝の配信を見てくれた人は久しぶり! トキでーす」
「リノだよ」
「ハヤテです」
:待ってた
:どこにいたの?
:チュートリアルサーバーで待機してタケで出会わなかった
「ごめんなさーい、まさかそんなに待ってると思わなくて、リノっちのお父さんが気を利かせてくれてなんと、あたし達はプライベートサーバーにいます! イエイ!」
:グアー、まさかの課金サーバー!
:そういえば結構な重役なんでしたっけね
:金の力で娘さんを守ったか
リノP:人聞きの悪いことを言うな
:あ、いらっしゃった
:チィーッス!
今日の音頭取りはお姉ちゃん。
私は金魚のフンの如く後ろについていく。
「今日はね、このゲームを始めたばかりの妹に、街のシステムを紹介していくよー」
:課金だろ
:課金だな
:痒い所に手が届くのはいつも課金
:なんだこのコメント欄
:末期もいいところだろ
:言うて、WBOは課金ゲーだしな
:そうなのかー
:ワイAWO民、WBOにお引越しするかどうか低みの見物
:リアルを体感したいならAWO、人口多いのはWBO
:今はフレンドがログインできなくても、傭兵として呼べるから
:人口減少緩和システムやね
:AWOは長いことサービスしてるから、平均年齢がね
:あー、そっちの心配ね
:NPCが人間以上に人間してるか、AWO
:WBOもリアルだけど、ある程度は簡略化してるもんな
:それ
:WBOは平均年齢が若いかから、どうしてもバトルを優先しがち
:軍略持ってる人は大体クランに持ってかれたもんな
:クランバトル、アチーよ
:今はマップの東西南北で分かれて戦ってるんだっけ?
なんだか気になる情報が流れたね。
クランバトルかぁ。
それはさておき、街並みを見つめる。
「ここが王国通り! 基本的な装備と、アイテムが買えるよ」
「おぉ!」
「私はお料理が作りたいな!」
「そう言うのはギルドに入ることでレシピを覚えられるよ!」
「なるほどー」
:AWOは素材はイチから作るもんな
:そうなの?
:モンスターがドロップしねーんだよ、野菜
:肉も錬金だしな
:AWO、過酷すぎない?
:けど、料理の自由度はAWOの方が上
:そうなん?
:WBOはギルドに素材持ってくことでレシピ解放されるから
:あー、そう言う手間がかかるのね
「じゃあ先にギルドに入らなきゃなんだ?」
「そうなの。その前に素材集めからだね」
「レシピがない状態で製作すると?」
「これがまた『できない』んだよね」
「オリジナルレシピを作れないのは面倒だね」
:オリジナルは免許皆伝してからやね
:免許皆伝?
:調理ギルドは街ごとにあって、近隣モンスターの肉とか使うんよ
:あー、街ごとのテーマになるメニューがあるわけね
:そう言うこと
:免許皆伝することで、そのレシピをアレンジできるんだ
:なるほろー
「持ってく素材はわかる?」
「そこはクエストをタップするのだよ」
「おぉ、出た!」
「ギルドクエストは常駐クエストからの派生だから、どのギルドに入るかは、やりたいプレイスタイルによるよね。ちなみにあたしは吟遊詩人ギルドだよ」
「私は侍ギルドだね」
「じゃあ、私は調理ギルドに入る感じだね」
:そう言うこと
:バランス悪くない?
:吟遊に侍、調理か
:え、前衛一人?
:前衛どころか後の二人はお荷物です
「バトルはAWOと同じで、タイミングによってスキルを使い分ける感じだよ」
「WBOのスキルはクールタイムに縛られるから、最初は戸惑うかも」
:え、AWOのスキルってクールタイムないの?
:ないよ
:ないと言うか、効果時間短くて使い放題なのと
:一回使ったら一日使えない使い捨てがある
:ピーキーすぎんだろ
:だからバトルセンスがもりもり上がる
:モンスターも基本強い奴しかいないからな
:ハヤテちゃんのセットスキルは?
「調理、ヒット、幸運です」
:これはダメかもわからんね
:AWO基準で行くと泣きをみるよ?
:AWOでも割とダメなスキル構成です
:これでなんとかなってるの、ハヤテちゃんぐらいなんだよ
「まずはバトルだね、チュートリアルで戦ったと思うけど、通常フィールドのモンスターは、基本こっちを見つけたら襲ってくるタイプが多いから、そこ注意だよ」
:普通では?
:あ、そうかAWOは戦闘フィールドに持ってかれるけど
:こっちは同じフィールドで戦う
:つまり?
:敵意がチェインする
:あー
:戦闘はリノちゃん一人で大丈夫?
「問題ない、です」
「ちなみにリノっちは称号持ちだよ」
:おー、すごい
:どっかのイベントの上位ポイントだよね、称号着くの
:その称号の名前でどのイベントで上位取ったかわかるんだよね
:年に何回もやってるから、称号自体の価値は薄いけど
すごいのかすごくないのかどっちだろ?
そんな顔をしていると。
「ハヤテ、リノっちはこのゲーム人口の多いWBOにおいて、上から数えて10番目になったってことなんだよ? これは普通にすごいことだから」
「なんか凄さの実感が湧かないんだよね」
「そのイベントの参加率は全プレイヤーの90%に登ったの。そこでの上位10人は、いまだにその名前が語り継がれてるんだよ」
「おー、リノちゃんすごい」
パチパチと手を叩くと、リノちゃんは満更でもなさそうに胸を張った。
「その称号をつけてるとね、スキルにエフェクトが乗るんだ」
つまり派手になるってことだね。
それで戦闘が有利になるかはわからないけど。
まぁお手並み拝見と行こうか。




