130話 AWO配信!_ファンサービス
「と、言うわけでお姉ちゃんがお料理を頑張るためにも、私は精錬頑張りまーす」
:失敗しろ、失敗しろ
:失敗したら、リスナーが困るのでNG
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧みなさん頑張ってー
:お父さんも手伝ってくださいよ
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧悪いね、僕は採掘持ってない
:バトルメインならそうですよねー
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧僕はサポーターなので、バトルはそこそこ
:この子にしてこの親あり!
:これはお母さんに頼るしか
:なーんか忘れてるような気がするんだよな
:なんの話?
:おじいちゃんが精錬の騎士だって話したじゃん?
:したね
:で、その娘さんて確か……
お、とうとうお母さんの正体に気付いたっぽい人が出てきた。
そのタイミングでクリティカル!
「はい、インゴット」
「ハヤちゃん、安定してるね」
:こっちは安定の精錬技術
:失敗して、ようやく掴んだ成功に比べて、面白みがないな
:いや、実際問題パーティ組むならどっちにする?
:おいおい、配信として面白いかだろ
:なお、パーティ誘うならハヤテちゃん一択
:言うなよ
「あ、だからって誘われてもいきませーん。他の人とか怖いし」
:それはそうよ
:リスナーとは今日会ったばかりだもんな
:こんな将来有望な子、すでに唾つけられてるって
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧流石に知らない人とパーティは早いかなって
:それはそう
:親の前でよく誘えるな
:精錬の騎士の娘ってやっぱりあの人だよな
「午後からはお姉ちゃんがWBOを配信してくれるので、そっちも楽しみにしててくださいねー」
:はーい
:俺、アカウント持ってるから参加してもいいですか?
「参加は自由ですけど、私はそっちのこと何も知らないので、何をするかは現地で決めるっぽいですよ?」
:把握
:喉元まで出かかってるんだけどなー
:さっきからなんの話?
:精錬の騎士の娘さん
:銀姫ちゃんやろ?
:あ!
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧追っかけやってました
:銀姫ちゃんなー
:そういえばあれから結婚したんだっけ?
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧アイドルは結婚なんてしないよ!
お父さん、嘘が下手くそすぎるよ!
でもお母さんを守ってるんだね。
かっこいいよ!
:永遠のアイドルかー
:で、それがなんだって?
:ハヤテちゃんのおじいちゃんが精錬の騎士のクラマスだって話
:銀姫ちゃんの妹の子供じゃないの?
:一人っ子だって聞いてたんだけど
:あの子煩悩がそんな個人情報漏洩するわけ
:なら俺は偽情報に踊らされてた?
オクト:マリンには妹がいる、これ豆ね
え、初耳!
って流石にこれは嘘か。
おじいちゃん、わざわざその発言しにきたの?
いよいよ身内配信ぽくなってきたね。
:そ、そうだったのか!
:おじいちゃんだ!
:借金200億背負った伝説の!
嫌な覚え方されちゃってる。
ごめんね、おじいちゃん。
でも話振ってきたのはそっちなので粛々と受け止めてほしい。
オクト:うちの孫は威勢がいいからね、一体誰に似たのやら
:おじいちゃんじゃないの?
:ねぇ、今どんな気持ち、どんな気持ち?
オクト:背負ったのは僕だけじゃないからね
:そういえばリノちゃんのおじいちゃんも?
オクト:リーガルさんもクランでの立場ないって嘆いてたな
:リーガル!?
:じゃあお母さんてあの!?
リーガル:村正には妹がいるぞ
:なんだ
:じゃあ、違うかー
さっきから予想と憶測の反復横跳びが激しい。
話の脱線のさせ方はスズキさん仕込みかな?
何はともあれ、ここまで情報が出てるのに、私たちのお母さんが誰かもわからないと言うのも面白い。
しれっとリーガルさんまで出てきちゃって。
モーバさんから話を聞いたか、ひよりさんが教えたか。
うちのおじいちゃんが表に出てきた以上、黙っているのも面倒になったかな?
「インゴット、二つ目ねー」
:鉱石掘りする身からしたら、失敗するなって念を飛ばす羽目に
:目の前で石ころになるあの絶望よ
:見てる分には面白いけど、我が身のことになると話は別
:それが普通
:他人が失敗してるの見て胸の奥がスッとする
:それは性格悪すぎない?
「お姉ちゃんだって好きで失敗してるわけじゃないからね。私は命中率アップ持ってるおかげもあるから」
:スキル骨子の罠なんだよ
:そういえば一つ20億でスキル取り替えられるアイテムもらったって
:そうじゃん! それで……
「全部使いましたけど? 鍛治、銀細工、革細工、木工細工、調理に」
:何も、何も残ってなかった!
:いや、全スキル変更するってなったら100億貢いでもそこまで変わらねーから
:先にこれという明確な設定しなかったのか
「なんだよー、お料理習いたいなーって気持ちと、オリジナルの武器作りたいなーって気持ちが先行したんだよー。悪いかよー」
「あんまりお姉ちゃんいじめちゃダメだよ?」
:これ、悪いの俺らなの?
:そりゃ見ず知らずの人より姉妹を優先するでしょ
:それはそう
「はい、これで銀鉱石ある分全部錬成し終わりましたー」
:お疲れー
:うず高く積まれている
:こうやって見上げるくらいあると、壮観だな
:これが採掘してすぐ手に入るとか
「お手伝いしてくれた皆さんに、インゴットひとつづつプレゼントしますねー」
:おめでとう
:これ、このままもらって帰属するのか?
:トレードなのでする
:マーケットに出品できた
「あ、転売はマナー違反ですよ」
:違う違う帰属チェックや
そういうのがあるんだ?
アイテムなんてあげっぱなしだから気づかなかった。
:アホみたいに高い値段つけたので、時間切れを待ってる
:あ、入札入ったぞ
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧入札した
:このアホ親ーーーー!
:いくらで設定したのさ?
:100万
:え、これ銀インゴットだろ?
:基本いくらなの?
:高くても1000かな?
:千倍で草
:ボロ儲けですやん
「後でお父さんにはメッしときます」
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧そんな……
ハヤテM:どんまいw
:お母さんもこれにはドン引き
:ドン引きか?
:普通に笑ってません?
:ほら、男親って馬鹿だから
リーガル:リノは採掘しないのか?
「しない。今の所」
リーガル:ちなみにスキルチェンジャーは?
「もう使った。大事にしてる」
リーガル:ならよし!
:おじいちゃん、ホクホク顔ですやん
:内訳聞かなくていいの?
:いいんだろうよ
:投資した値段で孫の笑顔が買えた、最高のご褒美じゃん
オクト:僕にも感謝の言葉があってもいいと思うけど?
:背負った借金で宮殿買えそうですもんね!
「おじいちゃん、ありがとう! あたし、音楽以外でこうやってみんなとワイワイするの初めてだから戸惑うこともいっぱいあるけど、なんか新しい道がひらけた気がするよ」
オクト:うんうん
:めっちゃいい顔してそう
:そりゃ孫からの感謝の言葉が一番効くから
「おじいちゃん、孫にいい顔させたいなら、もう少しみんなに迷惑かけないお値段のにしてね? お値段聞いてすごくびっくりしちゃった」
オクト:おうふ
:それはそう
:これ、ハヤテちゃんベタ褒めしてたらまた散財してたぞ
:こういうしっかりしてる系の孫をもててよかったな、爺さん
:普通は搾り取るだけ搾り取ってくるぞ
:流石にこんな借金背負わせる爺さんの方が稀
リーガル:流石に俺もどうかと思った
ボロクソに言われてるじゃん。
でも、まぁこれだけは伝えておかないと。
「でもね、だからこそこうして感謝もしてるの。私、ゲームで遊ぶのはこれが初めてだから、私にいっぱい投資してくれてありがとう! 全部は返しきれないけど、いつかおじいちゃんに負けないくらいビッグになるから。楽しみにしててね!」
オクト:グフッ!
:ああ、おじいちゃんに致命打!
:説教からの感謝の言葉は心臓に負担が強すぎたか!
:ハヤテちゃん、策士すぎる
:でもハヤテちゃん、このゲームが初めてってどうして?
:すごい慣れてる感じだったのに
「ハヤテはね、ずっと体が悪くとほとんどとこに伏せってたの。色々ゲームにログインできるか試していたんだけど、生体データが唯一反応したのがこのAWOでね」
「そうなんです」
:え!
:そうだったのか
:でもこの後WBOやるって言ってなかった?
「最近体調が良くて、きっとこのゲームで遊んだからだと思うんですが、WBOにも生体データが無事通せるようになりまして」
:そっか、そっかぁ
:おじいちゃんの感動もひとしおだな
:お父さんが入札するのもわかるわ
:これ、家族からしたら本当にお宝なんだろうな
:ただの銀インゴットだと思って転売しちゃってごめんなさい
ハヤテP:( • ̀ω•́ )✧むしろファインプレー
:やっぱりあれ転売だったのか?
:帰属チェックというのも嘘じゃなかったけど、入札されるとは思わなかったんや
:入札されたら転売成立だもんな
「そういうわけで、これからたくさんのゲームに触れていきたいなって」
「あたしのお友達に誘われて、他のゲームも遊ぶつもりなんだよね?」
「うん!」
:へぇ、どんなゲームなんやろ
:今流行ってるの?
「確か……Earth project onlineだったかな?」
:あっ
:おいバカやめろ
:楽しく遊ぼうとしてる子を作業地獄に突き落とすんじゃない!
「私、詳しくないんですけど、そんなに酷いんですか?」
:なんていうか、うん
:楽しいという定義とは真反対というか
:お金をもらいに行ってるガチ勢しかいないから
:半端な行動するとすぐキレる
:民度はあまり良くないよな
「へぇ」
イメージは最悪と。
でもまだ、そっちのプレイヤーはいない感じだし。
答えを出すのはまだ早いかな。