第七話,猛虎の身体測定
それから1週間後の事。
真坂がどこへ消えたかは不明であるが龍之は普通に生活していた。
1週間たってようやく慣れて始めてきたものの我を失わないように龍之はいっつも心がけていた。
方や蝉麿は地道に働いて金を稼いでその金でいろいろやっていた。
たまには…
「ひひひ…この金で…」
「ああ、俺もはらってやるから…」
「ん?……げえ!!」
ズボォ…
「アッー!!!!!」
こういうこともあったが家がない事意外彼はとくに生活には困っていなかった。
そんな頃、小学校ではそろそろあのイベントがある。
『身体測定』、喜びの場でもあれば不安になる場でもある。
ところで龍之、いっくらでも食べている気がして太らないのかと思う方もいるだろう。
どうも神は優しかったらしく食っても太らない体にしてくれたらしい。
そんな事を4日前に聞いた龍之は喜ぶばかりにいろいろうまい物を食っていた。
今日学校行く際もアイスを食っていた。
「龍之、あんまり食べてばっかりいると太るわよ?」
「大丈夫大丈夫ワシいくら食っても太らないんじゃ」
「……本当かどうか疑いたくなるけどうらやましいわね……私だったらラーメン100杯食べる」
「ワシはなんでも食うぞ」
「そうね、成長期だから適度に食べて適度に運動しないとダメだよ」
「はいはい」
やがてあかねと別れ蝉麿がやってきた。
「坂上殿!…ってまた食べてるんですか?」
「いいじゃないかワシいくら食っても太らん体質らしいし」
「そりゃあ誠でありますか?うらやましいですな」
「誠じゃ誠じゃ!いやあ女になっちまったのは不満じゃがそれだけはありがたいと思ってるぞ、それより蝉麿そろそろあっちへ行け。夏奈が来るぞ」
「おっとそうですね」
龍之は夏奈に蝉麿をあわせないようにと努力していた。
その理由は蝉麿のあの姿を見た夏奈は蝉麿がトラウマになってしまって一目見ただけで龍之の後ろに隠れたり気絶したり叫びながら蝉麿を叩くようになったからだ。
龍之は夏奈のためにも蝉麿のためにも2人があうことを避けるようにとしていた。
っというわけで蝉麿が去った15秒後夏奈がやってきた。
本日はすこし元気なさそうであった。
「どうしたんじゃ夏奈?」
「だって……今日身体測定でしょ?…体重とかさ…」
「そうか?」
「龍之ちゃん気にならないの?」
「ワシあんまり気にした事ないぞ?」
「えええ!?…ある意味うらやましいかも」
「そうか、じゃあ夏奈も気にしなければよいではないか」
「ごめん、今からじゃ無理だわ多分」
(……猛虎龍之介…人間関係もかわったようだな…)
この様子をこっそりと見ていたのは真坂由紀夫だ。
女子の姿になって以降旅に出たはずなのになんでここにいるかというと理由は簡単。
『道に迷ったここはどこ、あっ戻っちゃった』ってことになったのである。
なのでこの世界での奴(龍之)の生活ぶりを見るために追跡を開始したのであった。
「よ…余もかわいい女子と友に!いや恋人になりたいぞぉぉぉ!!!!」
「なぁ~にいってんだあんた、あんた女子だべさ?」
「うっ…」
近くで水を撒いている婆さんにそれをつっこまれた。
真坂は校門近くまで追跡を続けた。
「うおおおおお!!!!かっわええ女子ばっかではないか!!!」
真坂はかなりロリコン気味であった。
なので幼女龍之介(龍之)を見ていると抱いてみたくなったりしたらしい。
そんな真性ロリコンの真坂、ちょっと危険かもしれない。
「この世界ではブラジャーとかいう下着があるらしいが余はそんなもの不要!!乳も不要である!!股間の毛も不要である!!余に必要なものは幼い女の子である!!ワッハハハハ!!!………余、なにをしとるんだろ?」
ようやく自分の言ってる事のくだらなさに気がついたのか真坂は急に大人しくなった。
「しかし小学校とかいう場所ではいったいなにをするんだろう?余は大変気になるぞ」
そういってこっそりと校内に侵入し体育館付近にいった。
扉の窓から中が見えた、なんと今時ブルマー、ロリコンである真坂は大興奮だ。
「おおお!!!余はうれしいぞ!!あんなかわいい子たちがあのようないかがわしい格好を!!こりゃあいいぞい!!!」
見た目は6歳の女の子なのでまるで変態親父のようであった。
その時。
ガシッ!!
「なっ!?なにをする!?はなさんか!!!」
「ひっひっひ…わざわざ学校休んで来たかいがあったぜ」
なんと同じくロリコンの栗田がやってきた。
ロリコンという点では同種族だが今回の場合真坂が被害者であった。
なんせ真坂は、今幼女の姿だからだ。
「ついでに学校のかわいい女の子全員貰っちゃお」
栗田はさらなる非行に出た。
一方中では…
「え~っと、龍之ちゃんは115.2cmと…」
ドンドン!!
「ん?」
ドン!
「えっ?」
「きゃああああ!!!!」
栗田は刃物を真坂に突きつけつつ要求した。
龍之以外のほとんどの女の子は叫んだ。
「ゴルァ先公!!女の子俺にちょうだいや!!!」
「な、なんなのよあれ!!」
「は、犯罪者よ!!」
っという声があちこちから聞こえる、一方龍之はある事に気がついた。
人質になっているのが…
「あいつ…真坂じゃないか?」
ガシッ!
その時夏奈が龍之にくっついてきた。
「龍之ちゃん!!」
「ちょ、夏奈はなれんかい!!」
「うん…」
夏奈が離れた瞬間龍之は周りの視線に気がついた。
どいつもこいつもみんな龍之の事をみていた。
「な、なんじゃ!?」
「龍之、貴女前に夏夏を助けたでしょ?じゃああいつもやっちゃって!」
同じクラスの女子がそう龍之に頼んだ。
「アホ!ありゃ夏奈の協力もあってだな…」
「皆さん大丈夫です先生方に任せてください!」
龍之はじゃあ任せようかと思ったが…
「おい猛虎!余を助けんかい!」
「げ!!」
「こりゃ!余とお前さんは同期だろ!!」
まずい状況になった、しかも夏奈も真坂のことを思い出したのだった。
「あの人龍之ちゃんのいとこの人じゃ?」
「うっ…」
さらに龍之が苦手としている黒江保美という奴までこう言ってきた。
「あんた夏奈のこと不審者から助けた事あるでしょ、あんなメガネデブやっちゃってよ」
「冗談じゃないぞ!だったらお前がやらんかい」
「い、嫌に決まってるでしょ!まああんたがやらなくていいのはたしかにそうだけど」
「あちょー!!」
その時変な叫び声が聞こえた。
こんな声で人を斬るのはただ1人、蝉麿である。
栗田は背中から血を噴射しながら倒れこんだ。多分死んでいないがぱっとみ死んでいるように見えた。
「おお!蝉麿!よいところに来たじゃないか!!」
「旅に出たはずの真坂殿を目撃したので追跡してきたらこのありさまでしたので」
こういう時蝉麿は役に立つ。
体もそのまんまならば実力もそのまんまである。
若いながら実戦経験豊富な彼は別名「白虎」「猛虎の補佐」と呼ばれるほどの実力を持っていた。
まあそんな肩書き日本では通じないが。
「…うおお!!実にありがたいぞぉぉ!!」
その時真坂はなんでかわからないが龍之に抱きついてきた。
「ぎゃああああ!!!!」
龍之は拒絶反応を起こしていた、なんせ真坂も龍之も元は男。
これではホモ同然である。
「よいではないか、かわいいぞ!」
「き、、きも!!きもちわるいぞ!!」
「アホかお前ら!!」
バキ!ドス!
真坂も龍之も保美にボコられた。
「なんでワシまで!」
「変な事してたでしょ、あんたも同罪でしょ」
「馬鹿者!ワシは被害者じゃ!!」
「なによ爺気取り!」
「きどっとらんわい!」
「2人ともやめなさい!」
京子が止めに入った、多分あと10秒で戦闘状態になっただろう。
その様子をみていた蝉麿はこう言った。
「…坂上殿…見苦しい争いであります」
どうやら彼は龍之がだんだん子供化してきるているのではないかと本気で思っていた。
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