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猛虎龍之介  作者: 栗林
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第三話,猛虎、1941で戦う

赤鬼の家は500m先だという、ちょっと寒いがいたって簡単そうな任務にみえた。

「陽はの家から酒をもってくればいいんじゃな?」


「大丈夫なんですかお嬢ちゃん」


「ワシをナメるな!これでもワシは猛虎龍之介とよばれてたほどだぞ」


「坂上殿、それは昨日までの事でしょ」


蝉麿がそうつっこんだ。

まあ実質はそうであった、現代日本じゃ知名度はないに等しいうえ実力も著しく低下している。

そんなただの幼女が猛虎とよばれる理由なんてなにもない、現に栗田にさえ負けそうになった。


「だが、500mぐらいどうってことないでしょ…」


グワーン!!グワーン!!!

「ぎゃあああ!!!な、なんじゃあ!?」


よくよく耳で音を聴いてみるとすごい音だ。

戦場のような…だが龍之が知る戦場ではない気が。

「ここはどこじゃあ!?」

龍之は赤鬼に訊いた。


「ここは1941年のソビエトです」


「ソビエト!?ソビエトってなに!?」


「我が祖国です、しかし今ドイツの侵略をうけて…我が家も占拠されて」


「よ……よくわからんけど……寒!!」


「冬ですねぇ…でも死ぬほど寒いですよ坂上殿!!!」

ちょうど今、冬将軍の季節であった。

龍之と蝉麿にとっては地獄の季節だ。

「アホー!ワシ弱体化してるのに誰だ戦場に送り出せっていった奴は!」


「坂上殿が行くといったんでしょ!」

しかもどこから飛んでくるのかわからないものが飛んでくる。

まさに恐怖だ。


「おい赤鬼!あれにあたるとどうなるんだ!?」


「まあ死ぬでしょう」


「死ぬ!?」


「ねえ、ダメですか?やっぱりとりにいけませんか?」


「ああもういってやるわ!ワシをナメるんじゃないぞ!!」

龍之は袖をめくった。

しかし…

「……寒!!」


「よしなさい!」

早速龍之達は作戦会議を行った。


まず家は500m先、路面は雪、気温は-40度ぐらい。

周囲の状況はドイツ軍に包囲され僅かなソ連軍が抵抗している。

そのため弾が飛び交い極めて危険な状態である。



ここは龍之の常識を超える場所だ。

龍之の戦術はまったく通用しない。


「う~ん、どうしてくれようかな」


「やっぱり…ダメですか」


「大丈夫だってワシらに任せろ!」


「だって…貴女ただの女の子じゃないですか」


「ワシは元は男じゃ!!」

その時、後ろから話しかけられた。

「死ねぇぇぇドイツ兵!!!」


「げっ!!おい蝉麿見つかったぞ!!!」


「待って待って我々ドイツじゃないですよ!!!」


「ん?…よくみれば、後ろにいるのはヤポンスキー(日本人)ではないか?なんでここに?」


「え…えーっと…」

龍之と蝉麿は迷っていた。

とってもめんどくさいことに巻き込まれ解決策もうかばない。

もうどうすればいいのかさっぱり検討がつかなかった、だが赤鬼はこうごまかした。


「義勇兵ですよ!!!ソビエトの為に戦うって!!」


「えっ!?えええ!?」

2人は驚いた、誰もそんなこといってないのに赤鬼にそういう設定にされたのであった。


「よし!だったらあの建物を壊してこい!ドイツに物資をあたえるな!」

そういってソ連兵は去っていった。


「た…助かった…」

さて再び3人は作戦会議を行った。

その結果…


「赤鬼、あれは?」

凍原の中に一丁の銃がおちていた。

「あれは…ソ連の銃ですね…」


「じゃあ……あれつかってお前がいけぇ!!」

龍之は赤鬼を蹴り飛ばした。


「あれぇぇぇぇぇぇ!?」

赤鬼はぶっとんでいった、そして本当に赤い液体が赤鬼から噴出した。

ドイツ兵に蜂の巣にされたのであった。


龍之と蝉麿はあぜんと、その様子をみていた。

「…帰ろうか蝉麿」


「たしかこの棒つかえば」


鬼がさっきまでもっていた棒を天にあげた、すると再び視界は真っ白になり気がついたら家にいた。

「いてぇ!!」


「いたたた……あれ?おい蝉麿!ワシら戻れたぞ!」


「おお!!」

そこは龍之の部屋であった。

ソビエトとは違ってとってもあったかい。

そもそも春であるし。


「では自分はこれで、自分がここにいると多分怒られるんで」


「ああ」

蝉麿はまどから外に出ていった。

15秒たつとアッー!っという声がきこえたが龍之は気にしなかった。

そもそもなにがあったかもわからないのでほっといた。


「はぁ…疲れた」

その時扉があいた、あかねが来た。


「あれ?龍之、さっきどこにいってたの?」


「えっ?ああいや、寝てた」


「寝てた?…う~ん、まあいいや。それより散歩いかない?どうせ暇でしょ、鞆の裏の道についても知っといたほうがいいと思うし」


「…う…うん」


こうして龍之はあかねと散歩に行く事になった。

靴は昨日美香子が用意してくれたらしい、龍之曰く機能的でうごきやすいらしい。

靴を履いて外へ出たら龍之とあかねは並んであるいていた。


「ほぉ…」


なにからなにまですごすぎて龍之は言葉すらでなかった。

しかし楽しい時間はそれまでであったその時。

「あ!栗田!生きてたの!?」

なんと栗田が目の前に…なんで生きていたかは不明だ。


「昨日はよくも…」


「そうだな、俺の後輩をよくもやってくれたな」

なんと悪そうな高校生2人がいた。


「どうしよう……とりあえず栗田はロリコンだから…龍之逃げて!!…ってあれ?」


一方龍之はというと民家の後ろに隠れて、カプセルから槍を出し叫んだ。

「ワシや猛虎じゃ!!!!!!!!!!!!!」














その時龍之の体が光った、なにやら力がみなぎる感じもあった。

光は5秒ぐらいつづいたらおさまった、その時龍之の視点が高く感じた。

服装もあれ、槍も健在、そう龍之は爺の言うとおり一時的に『猛虎、坂上龍之介』に戻ったのであった。


「おおお!!なんと元に!!これならあの男どもを……昨日の屈辱を!!」

龍之介(音この時はこういうことにする)はすぐさまあかねのもとに走っていった。

あかねは服をつかまれていた、抵抗はしているが無駄に見えた。

そこへ龍之介が現れたのだった。


「待てい!!」


「なんだお前!?…ってどこの武将だよ!!!」

3人でつっこんだ、もちろんそういわれたら龍之介はこう答えた。


「ワシは猛虎龍之介!!!貴様らなどこの槍の錆にしてくれるわい!!」


「りゅ…龍之介?」


あかねは不思議に思った、似たような事を名乗っていた女の子が消えその直後にこの男が現れた事に。

男は顔立ちから決して若い男には見えなかった、しかし見た目からしてかなり強そうに見えた。

槍には自分の家の家紋と近衛の印があった。


もちろんなんなのかはあかねには解らないがこれもどこかで見た事があった。

「でぇい!!」

まず1人を槍で突き刺した。

「貴様ぁぁ!!」

ドンッ!!

もう1人がかかってきたがそいつは突き刺されはしなかったが腹をやられた。


「工藤1号先輩と2号先輩!!!」


「次は貴様じゃ!!!秘技!!『夢想乱突き』!!」

この厨臭い技、ただ槍をつきまくるだけなのだが恐ろしく速い速度でやるから強い。

別に秘技でもなんでもない。


ズズズズズズズズン!!!」

「ぁぁ…ぁぁぁ…」

バタン…


しかし一発も命中していない。わざとあてなかったのである。

よくみれば槍で突き刺された奴も負傷しても大丈夫な場所であった。

「弱者はワシに殺される権利などない、もうすこし修行してからかかってこい」


「馬鹿なの…お前が喧嘩うってきたんだろ!!おぼえてろー!!!」

栗田は2人を抱えて敗走した。


「…」

あかねは唖然としていた。

ただ、目の前にいるおっさんがとても強く、勇ましく、たくましく、そしてかっこよく見えた。

あかねは、感謝の気持ちでいっぱいだった。


「あの!ありがとうございます…」


「なぁに、ワシは男として、情けない者に当然の事をしたまでじゃ、それではそろそろ時間である」

龍之介は走って民家の裏に行った。


「…猛虎、坂上龍之介…強いわねあの人…でも龍之ったらどこに…」


「ねえねえあかね、今の人すごかったなぁ」


「えっ?」

なんとちゃっかり龍之はあかねの側にいた。

笑顔であった。


「あれ?…あのさ龍之、さっきの龍之介って…」


「ワシはしらないぞ」


「う…うん」


早速あかねは疑惑を抱き始めた。

でも常識的に考えてそんな事あるはずもないと思っていた。

さてこの先どうなる。



御意見、御感想などお待ちしています。

だいたい龍之介の本来の強さは今回の通りです。

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