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猛虎龍之介  作者: 栗林
12/19

第一一話,龍を探せ

5月のとある週末。

中休み時間の事であった。



中休みとは2時間目と3時間目の間に設定されているらしいふつうの休み時間より長い休み時間である。

小学校にはある場合が多いらしい(っというか知らん)が中学以降はみられない。

だいたい15分~20分ほどである。



しかも小学校だとこれにくわえて昼休みもあるというのだからなんと楽な事であろう。

しかも今日は4時間授業だったのであと2時間勉強して給食食って変えるだけだ。

そんなお時間の事である、龍之の友の1人である中川琴音なかがわことねがこんな事をいってきた。




「ねえねえ、皆、もし本当だとしたらすごい話手に入れたよ」


「なに?まさか宇宙人がでるかというんじゃないよね?」

そう訊いたのは保美であった。

また龍之もそうであるように保美も信憑性がなさすぎると思ったのだろう。


「学校の裏のほうにある山にさ、龍がいるって話」


「ええ、すごいじゃない」

夏奈は感激していたが龍之と保美は違った。

考えて見れば2人は仲は悪いが現実的といえばそうであった。


「だ…誰から聞いたんだ琴音?」


「えーっと、由紀だったかな?」


「ゆ…由紀?」

(つまり由紀夫のやろうか…信用できんぞ…)

由紀の常識がこの世界で通用するものではないのは明らかである。

もしかするとこの世界ではあたりまえのものがそういうことになったのかもしれない。

…まあ土日は暇である、行くというならばそれはそれでいい暇つぶしであった。


「そうだ!!余は聞いたんだ!!山奥の某所には龍が眠っていると!!」


「まさ…由紀、ワシはお前が信用できん、案外身近なものではないのか?」


「余は話をきいてついでにあるといわれている場所を聞いただけだ!余は見た事ない!っというわけで皆で龍探しに以降ではないか!」


「いいよ、おもしろそうだし」


「私も龍、みてみたい」


「えっ!?う~ん…まぁ暇つぶしにはなるかな」

龍之はなんでみんなこんな奴のいう事を聞くんだと思った。

今までの経験上、とくにこっちの世界にきてからというものの由紀と一緒にいてよかったと思った事はまだ一度もない。


(う~ん……夏奈達をこやつと一緒に同行させるのは危険だろうしなぁ…)


「なんだ?お主はいかんのか?」

なにか腹立つような感じで由紀はそういった。

夏奈らが由紀と行動するのは危険と思いついていこうとおもっていたのにたかが同期生の癖にこんな事をいわれてしまっては龍之の心に火がつくのも当然であった。


「当然ワシも行く」


「それでこそ男だ」


「あの~、龍ちゃん女の子だと思うけど…」

琴音はなぜか龍之の琴を龍ちゃんと呼ぶ。

どこかにいそうな男の名前であった。

(元々男だが…)



行くのは休日、明日だ。



*っというわけで翌日*


「あ、龍之ちゃん!」


「よ…よう」

これで5人(1人元男、武将。3人普通の女の子、1人変態元男少女)全員が集まった事になる。

由紀が適当に書いた地図によればここをまっすぐいけばあるという。


「おい由紀…その地図は正確なのか?」


「余は知らん」


「それならワシの感のほうがあたってそうじゃ」


「まあよいではないか」


「迷ったらお前のせいだぞい」


しかしこの裏山。

あるいてみたらただの山であった。

しかも登山が簡単で小学1年生女子でも大丈夫であった。

現に普通の小学生の夏奈、保美、琴音はちゃんとついてきている。

変態元男由紀は龍之にとっては気に食わないことであるが先頭にたって歩いていた。


「おお!噂によるとあれだ!!」


「あれ?ただの木造の建物に見えるけど…本当にあれなの?」

保美は疑っていた。


「余は知らんよ」


「ええ!?っじゃあ中に農機具でも入ってたらなんのために来たのよ!」


「まあまあ、落ち着いてよ保美…」

琴音が落ち着くよう保美に言った。

こういうシーンだと大抵誰か1人は怖がっている、今回の場合夏奈がその約になりそうだ。

だが本当らにごく普通の森でしかも近くに登山道がある為まったく緊張感というものはなかった。


「由紀、誰に聞いたんじゃ?その噂?」


「水撒き婆さん」


「…」

今までワクワクしていた夏奈や琴音も黙り、4人は沈黙してしまった。

まず由紀につっこんだのは龍之と保美であった。

「「一番信用ならん人物じゃないか!!」」


「あ、仲悪いのにハモってる!」


「案案外龍ちゃんと保美って仲いいんじゃない?」


「喧嘩するほど仲がいいっていうしね」


とにかくこの木造倉庫の扉をあけないかぎりは正体が不明だ。

龍之は由紀に扉をあけるように指示をした、当然由紀は断る。


「鍵がないぞ」


「ねぇ、これなに?」

龍之と由紀が振り向くとそこには石碑のようなものがあった。

石には文字が刻まれていた。


「おい、読め」


「ワシに命令するな……え~っとこれは…國井達志、此処ニ眠ル……誰じゃ?」


「人の名前ね…」


「も…もしかしてこの倉庫の中に人骨が!?」


「んなアホな!あるわけないでしょ!」

突然顔色を青くした夏奈、たしかにこんな碑があってしかも山奥だしそんな事も考えられるといえば言える。

この碑はいたずらで実は殺人事件の現場でこの遺体はまだみつかっていないとか。


「おい!この扉、開くぞ」


「えっ?」

5人は中を見た、一見はなにもないがその中で目立つものがあった。


「こ…これが龍?」


「なんかイメージとは違うわね…」


「ってかこれ飛行機やん」

保美がいうに、龍と言われていたものはただの飛行機であった。

しかし水撒き婆さんは認知症気味であった、ボケているとしたらありえる話だ。


「な~んだ、期待して損した…」

夏奈も琴音もがっかりしていた。


「あんたらなにしてるっぺよ?」


「げっ!?」

5人が後ろを振り向いた時、噂の水撒き婆さんがいた。

「それ、さわってないな?」


「は…はい…」

その時、つい先ほどまで厳しい表情だった婆さんの顔が急に優しくなった。


「そうかい、まあ別によかったんじゃが、そこの少女にここの場所を教えたのはあたしだし」

やっぱり龍之は思った、由紀にだまされたと。

その後話をきく限り元々は1年前まで生きていた兄のものだったらしいが死後は婆さんが兄さんこと國井達志に代わって整備を行っているらしい。

もっともこの婆さんがなんで整備方法を知っているかは不明であるしこの飛行機自体登録されたものなのかも不明だ。


「じゃあ…結局めずらしいものでもないのね…」


「そういうことだな、ただこの子がめずらしいものはないかと言ったから適当な伝説っぽい嘘を教えただけじゃ」


「なにぃ!?余が聞いたのは嘘だったのか!!」


「ほら、お前のいう事は信用できん」


「そんな固いことをいうな猛虎よ」

これは完全に失敗であった。

だが、暇を潰すと言う目的だけは成功していた。

ここで発見された謎(?)の飛行機がまさか後々の戦いで戦力になるとはこの時誰も思っていない。

なんたって、こんな事をしているが猛虎龍之介が龍之として1年生になりすましているのは神曰くこの地球を救うためだから…





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