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猛虎龍之介  作者: 栗林
11/19

第一〇話,まさかの転校生

ゴールデンウィークがあけた。

思えば龍之にとっては衝撃だらけであった。

蝉麿と入れ替わるわ渡辺に犯されそうになるわ石原に突然キスされるわで…



しかもそれが影響で龍之は休み中顔色が悪かったという。

そして今日は登校日、一番気に食わないのは後ろが石原だという事だ。

決して石原は見た目も中身も悪い男ではなかった、でもあれはどう考えてもおかしいと龍之は思っていた。


ましては自分は男でありあんなやつは論外だとも思っていた。

だってそれでは龍之も石原もホモだということになる。

さて今日は学校に行くとなにやら皆噂をしていた、龍之も気になるといえば気になるので聞いてみた。


「どうした?」


「龍之か、転校生が来るらしいよ」

保美がそう答えた。

龍之は思った(今日の保美はいつもよりは大人しい気が)と。


「なんでも龍之ちゃんと一緒で変な喋り方するらしいよ」

夏奈も友からきいたのかそんな事をしっていた。

っで龍之以外に変な喋り方をする幼女といえば数えるほど、龍之には検討がついた。

そいつの正体はあいつである。


「ま…まさか…」

その時扉があいた、京子といっしょに見覚えのある女子がいた。

そう、彼こそかつて黒豹と呼ばれていた真坂由紀夫だ。


「ま…まさかの真坂!!」


「余は真坂由紀まさかゆき、そこの龍之とはいとこである」


「き…貴様!!!」


「「「「ハハハハハ!!」」」」

龍之は急に恥ずかしくなった。

しかも真坂由紀という女っぽい名前はなんなのだと思った。

自分もそういう名前にされたのだが…



幸い由紀(以下女の場合由紀、男の時は真坂と記す)とは席が離れていた。

っだがこれから先めんどくさそうな事になるのは目にみえていた。


…そういえば今日から地道に運動会の練習が始まるらしい。

「体を動かすのか!それならワシが優勝じゃ!!」っと大人の龍之ならいうだろう。

前はそういう豪快キャラであった、だがこの体ではそんな事いっても不可能なので龍之は大人しくしていた。



それにくらべて由紀は違った。

「余は動きだけは素早いぞ!!」


「ほんと!?」


「足速いの!?」


「多分!!」


龍之はその光景を呆れながらみていた。

そしてこう思った。

(…今の自分の体を考えろ……多分無理じゃと思う)

2人とも元は武将、本当に強くそれを自慢するのは簡単な話。

でもこの体だと説得力ないうえ本当に弱いのである。



んで今日の4時間目とやらにその運動会の練習?があった。

1年生とは何m走るか覚えていないがとりあえず50m。



ちなみに1年生女子の50m平均タイムは11.93秒らしい。

体操着姿の男女が列になって並んでいた。

「え~っと、これから運動会の種目の一つでもあります…50mのタイムを計ります」


京子は新米ながらもがんばっていた。

新米は新米なりに独自で勉強しまだわからないことはたくさんあるが教師として真面目にはやっていた。


まずは龍之含む4人が走るそうだ。

(あ~あ、ガキにむきになるのもどうかだが今のワシはこの通りだしなぁ…)


「よ~い!ドン!!」

4人は一斉に走り始めた。

最初は龍之が先頭にでた。

「龍之ちゃん速い!」


(おっ、ワシ以外と足速いんじゃないか!?)

っと思ったけどその栄光はすぐになくなった、最後の10mで石原が龍之を抜いていったのである。


「げっ!!己ぇぇぇ!!!!」

龍之も全速力で走って抜きにでようとした、でももうゴールだから無駄なあがきにおわった。


「え~っと、愛原さんが11.01で石原君が10.82、すごいわね2人とも平均以上よ」

一方ゴール地点では…龍之は完全につかれきっていた。


「ぜぇ…ぜぇ…なんじゃ?…歳か?それとも弱体化か?」


「大丈夫か?」


「あぁ?」

そこには石原の姿があった。

それはいつぞやかのように微笑んでいた。

「……ワシは大丈夫じゃ」


「そうか、早く戻ろ」


「…しゃあないな」

(あ…あっちへ行ってくれ!!!)

あの事件以降龍之は石原の事が嫌になっていた。

もちろんアッー!的な意味で。


ちなみに一番速かったのは悔しい事に渡辺であった。

そして威張っていた悪に遅かったのはかつて黒豹真坂と恐れられていた由紀。

平均的だったのは夏奈や保美であった。


どっちにしても龍之は足は速いほうであった、子供の頃は足が速いだけでもてはやされる。

ほぼ平均に近いあるいはそれより遅かった女からこの日、龍之はさらに支持率があがった。

一方で男もあいつすごいんじゃないかという事になった、龍之は同い年の男の平均よりも上であった。



龍之はたしかに弱体化したが同年代と比べると多少強いようであった。

んで由紀は…

「よ…余はこんなに足が遅かったのか?」


「馬鹿野郎、調子に乗りすぎじゃ」


「畜生…お前と余は同期、なにが違うんだ」


「お前、ただアホなだけなんだろう」


「ひどいじゃないか」

その後体育の時間が終わり待ちに待っていた給食であった。

給食でも以前食べていた食事よりはうまいうえご勝手におかわりもできるというのだから龍之と由紀にとっては天国であった。



ちなみに由紀もいくらたべても太らない体質にされたらしい。

「よっしゃああおかわ……ないし!!!」

渡辺がおかわりしようとしたときにはすでに2人に食い尽くされていた。


「ち…チクショー!!!…おっ!!」

その時リンゴが1個あることに気がついた。

それをもっていった。


「ぐふふ…リンゴとやらはうま……あれ!?」

続いて龍之はリンゴをとりにきたがもうなかった。

(わ…ワシの食い物を!!)


龍之は席にもどった。

「どうしたの?」

向の女子が訊いてきた。

「リンゴがない…」


「龍之ちゃんほんとすごい食欲だね、でも太るよ?」


「ワシは太らない体質らしい…」


「うそ…でも便利ね」

その会話を聞いていた男はこう思った。

(太らない→多分ずっときれいなまま)

「おおお…」


しかし龍之は元気がなくなっていた。

リンゴを確保するという作戦に失敗したためであった。

「ワシのリンゴ!!」


「いや龍之ちゃんのじゃないでしょあれ…」


「そうだけど、でもお前は取られたら悔しくないのか?」


「それは…食べたいものがなかったらあれだけど…」


「なあ、リンゴいる?」

そう話しかけてきたのは石原であった。

しかも口はつけていないものだ。

「えっ?いいのかお前?」


「いや、なんか見てたら食べづらくなったし…」


「おお、すまんのお!!」

龍之は嬉しそうにリンゴを食べた。

ちなみに石原は微笑んでいた、もしかするとと思ったのは保美であった。

こ~っそりとその光景をみていた。


(もしかして莞爾の奴……龍之の事が?)

ありがちである、しかしそれは龍之にとって困る。

何度もいう通り龍之は元男、これではただのホモであった。


そんなこと一切認めない龍之は当然嫌がっている。

「どうしたの保美?」


「えっ?ななな、なんでもない!」

夏奈に話しかけられたが適当に彼女はごまかした。

そして…今日の夜…


*愛原家*

「んじゃ、おやすみ龍之」

あかねがドアをしめた、もちろん寝るので灯りはついていない。


「……どうでもいいが、女のかはつるみのやりかたがまだわからん…」

今の龍之にとってかはつるみのほうが大きな問題であった。


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