21 ブーメラン
うーん、疲れを取る方法ですか……何かいい案は出ませんかね? 首を右に左に傾げてうんうん唸る。
しかしなかなか私の頭は閃きません。
「私だったらどう疲れを取るか……」
そこから考えた方が分かりやすいかもしれませんね。私だったら……美味しいものを食べて、日向ぼっこをして、お昼寝をする、ですね。だいたいこれのうちの一つ二つを実行すれば疲れは取れます。
その中でもやっぱり一番疲れを取るには仮眠がいいですかね。あ、でもその前にご飯を食べないと元気も出ませんね。
「ラル様、今日のお昼ご飯はどうされるつもりでしたか?」
「ああ……弁当は持ってきたが、今教室に行けば先程までの二の舞だろうから……」
先程のクラインさんの様子を思い出して納得してしまいました。
「確かにそうですね。ですがこのままというわけにもいきませんし……」
「いや、いい。一食食べなくても問題ない。」
「それは駄目ですよ。その疲れも取れません。ですから……あ、食堂行きません? 人混みに紛れられればご飯も食べられるのではないでしょうか。」
「ま、まあそうだな。」
「なら善は急げ、ですね。私もお弁当を持っていくので一緒に食べましょう?」
「……分かった。行こう。」
お腹を満たすのは重要ですから。さて、お弁当を一度仕舞い、いざ食堂へ! ですね!
お昼休みになってから幾分か時間が経っていたこともあり、ちらほら席が空いてきていました。これならすぐ座れるので良かったです。
ラル様はお昼ご飯を注文し、二人ともふっと一息つきます。
「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
ラル様はお疲れのようですし、ここは静かにしていましょう。いつものような気まずさはこの時はありませんでした。
「マ……」
「ああー!! 月光様ここに、いたぁー! ……って、悪、役令嬢もい、る! あんたの、仕業ね!?」
ああ、ラル様の言葉を遮って聞こえて来たのは五月蝿いほどの大声。途切れ途切れの声から、ずっと走っていたことが想像出来ました。
しかしもう少し声のボリュームを下げて欲しい所です。これでは気品も何もありませんからね。
ラル様は眉間に皺を寄せ、嫌そうな表情を浮かべていました。五月蝿さに皺を寄せたのか、はたまたクラインさんに対して皺を寄せたのか……いえ、考えるのはよしましょう。
「ふー、ちょっと悪役令嬢! 嘘ついたね!?」
「何がですか?」
「月光様は朝から見てないって言ったじゃん!」
「あの後会ったので共に食事をと誘いました。」
「はあ!? そんな嘘通じると思ってるの!?」
まあ確かに嘘ですけど、筋は通っているとは思います。どの部分を持ってして嘘だと確信しているのでしょうか。
「月光様に付き纏わないでよ!」
あら、クラインさんのその言葉、ブーメランですね。ですが素直にそれを指摘してしまうと、きっとクラインさんはもっと激昂してしまう可能性がありますし……
どうしましょう。うーん、いい返し方は……
「お前がな。」
どう反応していいかと考えていたその時、ぽつりとラル様が呟きます。その声はいつも以上に冷ややかでした。




