変態、時々バカ
オリジナル作品です。高校2年生の男女が繰り広げる恋愛ギャグコメディです!
ゲーム。アニメ。漫画。抜き抜き動画。そんな至福と性欲に塗れた春休みも終わり、僕らの新しい高校生活が始まった。僕も今日から二年生になるのか。正直実感がわかない。まぁ、学年と歳が一つ増えるだけだもんな。それで何か急に変わるなんてことはないだろう。
強いて変わったことと言えば、クラス替えで普段見る顔ぶれが変わったくらいか。それ以外はいつもと変わらない学校。そして・・・。
「よ、奏太。久しぶりだな。元気にしてたか?」
僕の親友、飛川零。僕と同じくらいイケメンで頭が良くて運動神抜群。しかも人当たりもよく誰とでも打ち解けられる性格で、おまけに実家が超有名企業。まさに(勝ち組の権化)だろう。
「久しぶりだね、零。そっちはどうだった?」
「まぁいつも通り。家の中でのイザコザが面倒だった。もう正直家業のことはもう考えたくないな。」
「そうなんだ。僕にはわからないけど、やっぱり会社経営するって難しそうだね。でも、そんなイザコザに巻き込まれるってことは、零は期待されてるんじゃない?」
「ん〜、どうなんだろうな。親父は俺にあまり具体的な話はしないからな。それに会社は俺より兄貴に継がせると思うから。そんなには期待されてはいないだろう。」
「そうなんだ。大変そうだね。」
超有名企業の御曹司。しかも、イケメン三拍子に社交性カンストの飛川零。それで明けで超楽しそう何だけどな。色々大変なのかな。
「そう言えば奏太、今日の小テストの話聞いたか?」
「あ〜、なんかそんな話あったね〜。」
「それなんだが、俺と勝負しないか?」
「ん〜いいけど、そんな小テストごとき、どうせ僕も零も満点だろうから勝負にならないと思うよ。」
「まぁまぁそういうな。ただの勝負じゃつまらない。」
「というと?」
珍しいな。零がテストにおいて全国模試以外で勝負するなんて。
「勝った方が負けた方のお宝映像が入った端末を相手に譲渡する。これでど」
「乗ったーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
自分で言うのも何だが、僕は確かにそこそこイケメンだし、運動神経抜群。頭脳だって年中冴え渡ってると言っても全然過言ではない。
でも、零と比べると全く話にならない事を僕は知っている。僕と同じく頭脳明晰、顔はイケメンだし、運動神経だってアスリート並みにいい。
さらに僕にはもってない、底抜けの社交性。ひいては、心理学者並みに長けた人間観察力。どうしても僕よりうえだ。
それでも、唯一僕が零に勝てる点といえば学業しかない。ここで零に負けるわけにはいかない。しかも、勝ったら零の秘蔵お宝映像を見ることができる!!それはすなわち・・・。
零の弱みを握れると言うこと!!!
そうすれば・・・。
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「零、今日僕バイトなんだけどさ、ちょっと用事ができちゃって。代わりに行ってくれない?」
「何言ってんだ奏太。それなら今日は休めばいいだろう。わざわざ俺が行かなくても。」
「だって休むとその分給料減らされるんだもん。それに、いいのかな?」
「な、何がだ?」
そう言うと僕は零から譲渡されたお宝映像満点のデバイスを取り出した。
「ぐっ!きたねぇぞ奏太!!」
「これがある限り、零は僕に逆らえないよ。」
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そんなことを考えていると、先生が教室にやってきた。
「みなさ〜ん、席についてください!これからSHRと小テストを始めます!!」
先生がそう言うと、クラスのみんなは席についた。そして僕は、零に挑発の念を込めて視線を送るのだった。
(零、勝つのは俺だ。そして、お前のお宝映像!見せてもらうぞ!)
その思に応えるように、零が僕に視線を送り返してくるのだった。
(いいや、俺の勝ちだ。奏太。)
小テストを終えた。そして一つだけ分かったことがある。僕は満点だ。まぁ正直、この程度なら満点は当然だろう。後は、零が満点かどうかだけが勝負を分ける。
僕は零のお宝映像がどんなものか考えていると、先生が話し始めた。
「今回の小テスト、全教科満点の生徒が一人いました!」
そう言うと、クラスメイトが(スゲ〜)(マジか〜)などとざわつき始める。でも、満点は一人って言ってなかったか?そうすると、僕か零のどちらかは満点じゃないってことだ。
どっちだ?この勝負、男のロマンがかかってる。こんなところで負けるわけにはいかない。。どっちだ?どっちだ?どっちだ!?
「浮野奏太君!おめでとうございます!全教科満点です!」
うおっしゃーーーーー!!!!!
勉強でこんなに喜んだのは全国模試で一位を取った以来だ!!これで僕は
「それでは一位の浮野君には生徒会に所属してもらいます!!」
え?せ、生徒会?
「あ、あの先生。生徒会ってなんですか?僕、何も聞いてないんですけど・・・。」
「あら?先生言いましたよね?この小テストで一番成績の良かった生徒には生徒会に所属してもらうって。」
「いや〜、でも僕放課後は色々忙しくてですね・・・。」
おいおいまじか。
僕は放課後アルバイトをしている。表向きは、将来大学に入り一人暮らしも視野に入れれば、やはり自分で貯金すると言うのも大切だからだ。と、周りに入っているが、これはフェイクである。
本音は、僕のお宝映像を増やしたい。アニメグッズをもっと買いたいからである。え?一人暮らし?学生である以上、そんなものは絶対にしない。めんどくさいから。
とにかく、このまま生徒会なんかに入ったら僕のお宝映像の向上と存続が危ない。それだけは何としても避けなければならない。
そう思っていると、零がとんでもないことを口にした。
「いいんじゃないか?俺は生徒会には奏太が入るべきだと思う。」
な!?何言ってんだこいつ!!??
「常に成績優秀でスポーツ万能。きっと仕事もそつなくこなしてくれるだろう。と言うか、俺はこの中だったら奏太が一番この学校に貢献してくれると思う。みんな、どうだろう?」
「そうだな、確かに零が言うなら。」
「零君が言うなら間違いないね!奏太君ならそつなくこなしてくれそう!」
「俺も奏太が適任だと思う。」
まずい。今の零は発言で、クラス全体を見方につけた。これじゃあほんとに俺が生徒会に入らなければならなくなる。
「と言うわけだ。頼んだぞ、奏太。」
そう言うと零は俺に笑いかけた。そしてその笑顔には
(お前は逃げられない。さっさと生徒会に入れ)と言う想いが込められているのだった。零、お前?俺を生徒会に入れるために罠を仕掛けたな?許さない!!
「先生、僕が生徒会に入るのはわかりました。しかし、僕も知らない人たちと知らない仕事をしていくのは少なからず不安がります。なので、僕と一緒に零君も生徒会に入れさせてもらえませんか?」
「ぐっ、奏太、貴様・・・。」
まぁ百歩譲って僕が生徒会に入るのはいいだろう。しかし、お宝映像と言う餌をチラつかせて俺を罠にかけた零だけは許さん!!道連れだ!!
「皆さんも知っている通り、零君は常に成績トップで、みんなからの人望も信頼もある。きっと僕以外の生徒会メンバーとも上手く関わっていけると思います!」
「確かに、奏太君と零君の二人がいれば間違いないよね!」
「そうだな、零が生徒会に入ったらきっと革命を起こしてくれる!!」
よし、民衆の心を掴んだ!そして僕は、ゆっくりと零に向かって笑顔を見せた。
(零、お前は道連れだ。)
と言う想いを込めて。
零、滑稽だな。なんて顔してる?まるで自身のお宝映像を見られた時の絶望みたいな顔してやがる。まさか全てがお前の思い通りにいくとてでも思ったのかい。さぁ、零。俺と一緒に地獄に落ちてもらうぞ!
「くそ、奏太の奴、俺を道連れに・・・。」
さぁ、先生。僕と零の二人を生徒会に
「ごめんね、奏太君!もう他の生徒会メンバーは決まってて、これ以上うちのクラスからは入れないんだよ!」
「な!?」
「もし一人で不安だったら先生に相談してね!零君も。生徒会には入れないけど奏太君の力になってあげてね!
「はーい。だ、そうだ。奏太、何かあったらいつでも俺に相談しろよ!」
零はそう言うと再び俺に笑顔を見せた。
(残念だったな。奏太、俺の勝ちだ!)
さらば、僕の汗と涙とその他色々な液体の日々よ。
「でも零君も惜しかったね〜。全教科99点!もう少しで奏太君と並んでクラス一位だったよ!」
「そうだったんですか。でも、俺は全力を出した結果なので悔いはありません。やっぱり奏太はすごいな!みんな!やっぱり生徒会にふさわしいのは奏太だ!みんな!応援してやろう!」
零め。まあいい、俺は零との賭けにかった。すなわち、零が大事にしてきたお宝映像が僕のもとに。これで零を脅せば、生徒会の代わりなんていくらでもさせることができる。
「それじゃあ奏太君!生徒会の方、よろしくね!!」
こうして、僕の波乱とハレンチに染まった高校2年生の生活が始まった。もしかしたら、この一年間は僕にとってとても変化をくれる一年になるかもしれない。悲観的にならず、もっと楽観的に物事を捉えよう。今の人類に足りないものの一つだ。さて、これからどうしようかな。
とりあえず、零を殺す。
「零!?あれはどう言うことだ?」
「あれって、生徒会のことか?」
「そうだ!貴様、この小テストでクラストップだったやつが生徒会に入らされるって知ってたな!?知ってて俺を罠にかけたな!?」
「まぁな。あのままテストを受けてたら俺とお前が満点になっちまう。そしたら、俺が生徒会に入れられちまうだろ?」
「自分の方が人望あるみたいな言い方するな!!」
「だから俺は勝負を仕掛けた。あぁ後、あれは罠じゃない。交渉だ。」
「罠だろ!どっからどう見ても罠だろ!!」
「おいおい、俺は有名企業の御曹司。取引先と交渉なんて朝飯前に決まってるだろ。」
つくづくふざけたやつめ。もう僕が生徒会に入るのは仕方ない。それより、レイの物を押収しなくては。
「分かったもういい。僕が交渉に載せられたってことでいいよ。それより、僕が勝ったんだから、零のお宝映像をくれ!」
「あいよ。」
そう言うと零は僕にタブレット端末を渡した。やけに素直だな。
「零はそう言うのスマホで見るんじゃないんだ?」
「スマホでそう言うサイトに行くとウイルスが怖いんでな。この端末はそれ専用なんだ。」
「ふーん。」
まぁ確かに、ウイルスは怖いよね。僕は他愛もない会話をしながら零の端末を起動させた。
「ねぇ零、パスコードは?」
「パスコード?教えないぞ〜。」
「は?」
おい何言ってんだこいつ。ふざけるな。
「何だよそれ!そんなの卑怯だぞ1テストの点で低かった方はお宝映像を譲渡するって言ったじゃないか!?」
「いいや言ってない。俺が言ったのは、お宝映像が入ったデバイスを譲渡する、ってだけだ。故に俺は今、お宝映像が入ったデバイスをお前に譲渡した。」
「なっ!?そんなの無効だ!この詐欺師目!!」
「おいおい言ったろ!これは詐欺でも罠でもない。ただの交渉だ。」
こいつ、どこまでも調子に乗りやがって・・・。いや、待てよ。
「ねぇ零、賭けの内容は、(負けたらお宝映像が入ったデバイスを譲渡する)だったよね?」
「やとわかってくれたか奏太。そうだ、それであってる。」
なるほど。零がそう言うスタイルで行くなら、僕もその(交渉)とやらに従おう。それに、こんな綺麗な桜の前で言い争いなんてみっともないじゃないか。
季節は春。今日もいつもと変わらない心地いい風が教室を吹き抜ける。桜も散り始め、それはまるで僕らに時の流れには逆らえない、とでも言わんばかりのはかなげな風景だ。教室ではみんなの楽しそうな笑い声、女の子の揺れる長い髪、集団ごとに群れる生徒たち。
僕らは今青春なんだ。みんな今、一度だけ、一度しかないこの瞬間を全力で楽しんでいる。
なら僕は、一体どうすべきなのだろう。一生に一度の青春。僕も今日この時を、一瞬一瞬を大事に生きたい。
なら、僕は。僕のすべき事は・・・。
「お〜っと!ごめん零!手が滑った〜〜〜〜!!」
僕はそう言うと、零のタブレットを思いっきり窓から投げ捨てた。ちなみに2年生の教室は3階。この学校の最上階だ。零の端末はきっとバキバキに割れているだろう。
「おい!!奏太!!??貴様なんてことを!!??そんなことしたら画面が割れて使えなくなるだろう!!」
「ごめんね零!でももしかしたら、画面割れてないかもしれないよ?早く拾いにいこ♪」
「ふざけんな!お前!絶対わざとだろ!」
もちろん。
「もろちん♪いや、間違えた。今のはわざとじゃないよ!たまたま!不可抗力だったんだって!」
「そうか、奏太。わかった。まぁ誰しもそう言う時はあるからな。あまり気にするな。」
ん?零のやつどうしたんだ。ともあれ、これで僕もすっきりした状態で生徒会に行けるってわけだ!と思っていた矢先。
「悪い奏太!俺も拳が滑ったーーー!!!」
「グフっ!?」
零のやつ、僕に腹パンしやがった!
「嘘つけ!そんなことあるか!絶対わざとだ!!」
「わざとじゃない!!大体、零が僕を汚い罠にはめるのが悪いんだ!!」
「言ったろ!?あれは交渉だ!?元はと言えば、お前が俺の端末を窓から放り投げたのが原因だ!?」
もうこうなったらただじゃおかない。僕の拳をお見舞いしてやる!!
「うるさいこの詐欺師!!」
「グハっ!く、黙れこの情弱!!」
「うおっ・・・。」
そうしてお互いに殴り合っていると、背後から先生の声が聞こえてきた。
「奏太君、零君。こんなところで何をしているのかな♪」
僕らは声をそろえて言った。
「先生!悪いのはこい・・・。」
言葉が止まってしまった。
先生は僕たちを見て笑いながら問いかけた。あぁ、なんて綺麗な笑顔なんだ。美鈴先生は今日もお美しい。ほっそりとしていてきれいな体。まるで人気声優のような天使の声に、まるで恋する乙女のような色をしたピンク色の長い髪の毛。
でもなぜだろう。その美しい笑顔とは裏腹に、怒りのねんでポニーテールでまとめた綺麗な髪が揺れているのは・・・。
「まさか、こんなところで喧嘩?なんてしてたわけじゃないですよね?」
ははっ。人間ってこんなに怖いオーラ出すことができるんだ。これは新発見だ。
「次、こんなふざけたことしたら・・・。わかってますよね?」
「はい・・・。」
僕たちは声を揃えて返事をした。きっと零も感じたのだ。あの禍々しいオーラを。
「よろしいです!それと奏太君、今日の放課後生徒会室に向かってくだい。顔合わせがあります。」
「今日からですか!?わかりました・・・。」
こうして、頭脳明晰、運動神経抜群、イケメンと三拍子揃った二人のどこか抜けている青春が始まっていくのだった。