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超変則将棋型バトルゲーム クロスレイド  作者: 音村真
第七章 次元激闘篇
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第百五話「シャイニング・レイ」

◇ ◆ ◇


 途中、銀子ぎんこの話を遮ったのは金太郎きんたろうだった。

「え? そ、その駒とカードって……」


 思わず銀子が聞き返す。

「ん? なに? 金太郎、その駒とカードを知ってるの?」

 

 動揺しながら答える金太郎。

「いや……。同じのかどうかわからないんだけど、少し前に俺の中からクロスレイドの駒とカードが現れて……」

 金太郎は、思わず知りたいことを次々と質問していく。

「その駒から出てきたって女神……どんな容姿だった……? 名前は……?」



 飛鳥あすかの前に現れたという女神の容姿を口頭で説明する銀子。名前は読めなかったという。


「クロスレイドの駒とカードにように見えたけど……名前が読めないというよりも、文字そのものが読めなかったのよ……」

 銀子の答えを聞いて、金太郎の想像が確信に変わる。

「やっぱり俺が子供のころに夢で会った女神からもらった駒とカードだよ、それ……」


「え? なにそれ?」

 姉である銀子も初耳の話だったので、驚いた顔を金太郎に向けた。


「子供のころに夢の中で女神にクロスレイドの駒とカードをもらって、目が覚めたら布団の中でそれを手にしていたことがあって……押し入れの奥に閉まってずっと忘れていたんだけど、この次元に来てから俺の中からそれが出てきてどこかに飛んで行ったんだよ」

「……は?」

 金太郎の話に混乱する銀子。

 話している金太郎の方も、どこから話していいのかわからない感じで混乱気味である。


「少し前に金太郎の中から変な駒とカードが出てきたのは本当だぜ。俺たちも見ている」

 将角まさかどが横から答えた。



「だったら、飛鳥ちゃんを救ったあれは金太郎の……」

 そう銀子が言いかけたその時────



「……何か来るぞ!」

 歩夢あゆむが叫んだ。


 金太郎たちが向かっていた太陽のある方向──

 竜崎りゅうざきのいる方角から向かってくる、ものすごい数のモンスターの気配。


「な、なんて数だ…………! これは……千体…………いや……数千体はいるぞ!」

 将角の言葉が緊張をもたらした。


 全員が敵の存在を確認し、その場で身構える。


「さっきの戦いで精神力が回復しきっていないのに……! 竜崎と対峙する前にこんな数のモンスター相手にしたら──」

 金太郎の額からも汗が流れ落ちる。


 そうしている間に、先陣はもう目と鼻の先まで近づいてきていた。



「や、やるしかねえ! 全員ドラゴンを呼び出せっ……!」

 叫んだのは将角。


 将角の言葉と同時に、六人全員がドラゴンを呼び出してモンスターの群れを迎え撃つ。

 隙をみて全員が次々とドラゴンを進化させ、襲い来るモンスターを撃破していく。


「な、なんて数……! まだまだいっぱいくるよ……!」

 桂の言葉からは余裕が感じられない。


 だが、それは他の五人も同様だ。

 もうすでに六人とも精神力が限界に来ていた。



「くそっ……! まさかこんな数で襲いかかって来るなんて…………!」

「愚痴るのはあとだ! とにかく……いまは目の前のモンスターに集中しろ!」

 文句を口にしている歩夢に喝をいれる将角。


 襲い来るモンスターの群れは、いよいよ最後尾の群れに差し掛かっていた。

 全員が最後の力を振り絞って、モンスターを倒していく。


「も、もう少しだ……!」

 いよいよ、モンスターの数も残りわずかとなってきた、その時────



 歩夢が何かを察知して、動きを止めた。

 しばらく無言で太陽の方向を見つめていた歩夢の顔が、みるみる青くなっていく。


「う、うそだろ……? また……ものすごい数のモンスターの気配が現れたぞ……⁉」

 歩夢の顔には、絶望と呼ぶに相応しい表情が浮かんでいた。


 歩夢の言葉を聞いた他の五人は、目の前まで来ていたモンスター群の残りをすべて片づけてから、新たに発生した気配を確認する。


 もう誰も戦う力は残っていない。

 



「マジかよ……⁉ さ、さすがに限界だぜ……」

 将角も表情にも苦痛の色が浮かんだ。



 六人とも満身創痍。

 すでに六人のドラゴンは進化前の状態に戻ってしまっていた。


「も、もう無理だ……!」

 思わず金太郎が口にした。


 他の五人も沈黙しているが、思っていることは同じだった

 そうしている間にも、凄まじい速度で近づいてくる再発生したモンスターの大群。


 この絶望的な状況に、六人の闘志が失われていく。

「ここまでか……」

 金太郎たちが、諦めかけたその時だった。






「──────シャイニング・レイ」






 背後から聞こえたのは、聞き覚えのある声。

 直後、左耳のすぐ横を超高速で通過していった細い線のような光を、金太郎が確認した次の瞬間────



 遥か前方、モンスターの大群がいたと思われる位置に一筋の光が横に流れた。


「……え⁉」

 金太郎たちが瞬きする間もないほどの出来事だった。


 前方に発生した一筋の光が走ったあと、モンスターの大群がいたあたりの光がみるみると広がっていく。

 まるで超新星爆発のような光。


 気づいたときには、何十万キロも先にいた数千体ほどのモンスターの気配はすべて消え去っていた。



「……い、いまのは?」

 あまりにも瞬間的な出来事に思考が追いつかなかったが、金太郎は気づいていたのだ。


 その声の正体に──



 一瞬遅れてうしろを振り返る金太郎。


「ま……まさか⁉」

 振り返った金太郎の表情には、自然と笑みが生まれていた。



 そこにいたのは見覚えのある純白の美しいドラゴン。

 金太郎が無意識にその名を口にした。

「ルミナス・ドラゴン────リュミエール……」


 さらに、その後ろには輝くブロンドの長髪をなびかせた女神の姿があった。

 王将〈ミネルバ〉──。


 飛鳥が愛用していたモンスターたち。




 少しの静寂をはさんだ後、ミネルバが金太郎に笑顔を向けて答えた。


「おまたせ────金ちゃん!」

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